ベストスマイルと慢性ヒ素中毒、SLE、心タンポナーデ、光線過敏症🥼天久鷹央の推理カルテ #2 【名探偵の天才ドクターVS水神様の祟りの謎】
指定難病とその他疾患の組み合わせ
こんにちは
猫好き父さんです
今回も病気のオンパレード
心タンポナーデは
救急救命ドラマの定番みたいな
ものでしたが最近はあまり観なくなりました
その処置もよく街頭でボールペンを使ってとか
ありえない状況が多かったのですが
今回は割とまっとうな表現でしたね
では、最後に天久鷹央の
ベストスマイルをどうぞ
あらすじ
「“水神様”が私を殺そうとしている…」錯乱状態の水原真樹が救急搬送されてきた。腕には何者かに強く掴まれたような無数の手形が浮かび上がっている。天久鷹央(橋本環奈)と小鳥遊優(三浦翔平)が真樹の母・水原真知子(斉藤由貴)に話を聞くと“水神様”とは水原家を祟り続けるいわくつきの神様だと判明。鷹央は謎を解き明かすべく、小鳥遊と鴻ノ池舞(畑芽育)と水神様の祠へ行くも、鷹央が井戸の中へ吸い込まれてしまい…!?
出演
橋本環奈、三浦翔平、畑芽育、玉田志織、凰稀かなめ・佐々木希・柳葉敏郎 【ゲスト】斉藤由貴、森山未唯、石井智也、ひょうろく、ニッチロー
知念実希人『天久鷹央の推理カルテ』(実業之日本社文庫刊)
浜田秀哉
田村直己(テレビ朝日)
音楽
【音楽】得田真裕 【主題歌】Da-iCE『Black and White』(avex trax) 【オープニングテーマ】CROWN HEAD『Hidden』(ユニバーサルミュージック/Virgin Music)
慢性ヒ素中毒
慢性ヒ素中毒は、比較的少量のヒ素に長期間にわたって曝露されることによって引き起こされる健康障害です。急性ヒ素中毒のように短時間で重篤な症状が現れるのとは異なり、数ヶ月から数年、あるいはそれ以上の時間をかけて徐々に様々な症状が現れるのが特徴です。
原因:
慢性ヒ素中毒の主な原因は、ヒ素を含む水や食品を長期間摂取することです。
- 飲料水: 自然由来のヒ素が高濃度に含まれる井戸水などを継続的に飲むことが、世界的に最も一般的な原因です。鉱山周辺地域などで環境中のヒ素濃度が高い場合に問題となることがあります。
- 食品: 海産物(特に海藻類や一部の魚介類)にもヒ素が含まれることがありますが、これらは比較的毒性の低い有機ヒ素の形態であることが多いです。しかし、特定の食品(例えば、ヒ素に汚染された土壌で栽培された作物など)から無機ヒ素を摂取するリスクもあります。
- 職業性曝露: 鉱業、製錬業、ガラス製造業、半導体製造業など、ヒ素やその化合物を取り扱う特定の職業において、粉塵や蒸気を吸入したり皮膚から吸収したりすることによる曝露も原因となります。
- 汚染された土壌: ヒ素で汚染された土壌に由来する粉塵の吸入や、その土壌で生産された農産物の摂取も原因となり得ます。
症状:
慢性ヒ素中毒の症状は非常に多様で、摂取量や曝露期間によって異なります。特徴的な症状としては以下のようなものがあります。
- 皮膚症状:
- 初期には皮膚炎が見られることがあります。
- その後、体の擦れる部分を中心に**色素沈着(皮膚が黒ずむ)や色素脱失(皮膚が白くなる、白斑)**が現れることがあります(砒素白斑黒皮症)。
- 手掌や足底を中心に**角化症(皮膚が厚く硬くなる)**が見られるようになります。これらの角化症は皮膚がんの前段階である可能性も指摘されています。
- 皮膚がん(ボーエン病、有棘細胞癌など)のリスクが高まります。
- 神経系障害:
- 手足のしびれ、痛み、感覚異常といった末梢神経障害が現れることがあります。重症化すると筋力低下や歩行障害を引き起こすこともあります。
- 頭痛や倦怠感が見られることもあります。
- 消化器症状:
- 吐き気、下痢、腹痛などが慢性的に続くことがあります。
- 呼吸器症状:
- 慢性の咳などが見られることがあります。鼻粘膜の炎症や潰瘍、鼻中隔穿孔(鼻の真ん中の壁に穴が開くこと)が見られることもあります。
- その他:
- 肝機能障害(肝硬変など)
- 貧血
- 腎臓障害
- 血管障害(閉塞性動脈硬化症など)
- 肺がん、膀胱がん、大腸がんなど、各種のがんのリスクが高まることが知られています。
症状はヒ素の摂取を始めてから数年から十年以上経過してから現れることが多く、初期には特異的でない症状のため見過ごされることもあります。
診断:
慢性ヒ素中毒の診断は、以下のような情報を総合して行われます。
- 曝露歴の確認: 長期間にわたるヒ素への曝露があったかどうか(居住歴、職業歴、飲水歴など)を詳しく調べます。
- 臨床症状: 特徴的な皮膚症状、神経症状、その他の全身症状があるかを確認します。
- 生体試料中のヒ素濃度測定: 尿、血液、髪の毛、爪などに含まれるヒ素の濃度を測定し、体内にヒ素が蓄積しているか、あるいは最近曝露があったかなどを評価します。特に尿中のヒ素濃度は最近の曝露を反映しやすく、髪の毛や爪は過去数ヶ月間の曝露の目安となります。
- その他の検査: 肝機能検査、腎機能検査、神経学的検査、画像検査(X線、CTなど)、皮膚生検など、必要に応じて行われます。
治療と管理:
慢性ヒ素中毒に対する根本的な治療法は限られていますが、主に以下の点が重要となります。
- 曝露源からの離脱: 最も重要なのは、これ以上ヒ素を体内に取り込まないように、曝露の原因となっている水や食品、作業環境から離れることです。
- キレート剤による排泄促進: 体内に蓄積されたヒ素の排泄を促すために、キレート剤と呼ばれる薬剤が使用されることがあります。ただし、慢性中毒に対する効果については、急性中毒ほど劇的ではない場合もあります。
- 対症療法: 現れている様々な症状(皮膚症状、神経症状など)に対して、それぞれの症状を和らげるための治療が行われます。
- 合併症の管理: ヒ素中毒に関連して発症した他臓器の障害やがんなどに対して、適切な治療が行われます。定期的な健康診断で、がんなどの合併症の早期発見に努めることも重要です。
慢性ヒ素中毒は、一度発症すると症状の改善が難しい場合もあり、特に皮膚の色素沈着や角化症、神経障害などは後遺症として残ることがあります。そのため、原因となるヒ素への曝露を防ぐことが最も重要となります。過去には日本でも公害病として問題となった地域があり、現在も一部の地域では健康管理調査などが続けられています。
全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus; SLE)
全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus; SLE)は、日本の厚生労働省が定める指定難病の一つであり(指定難病49)、国の医療費助成の対象となる疾患です。自己免疫疾患と呼ばれる病気で、本来なら体外からの異物(細菌やウイルスなど)を攻撃して体を守るはずの「免疫」のシステムに異常が生じ、自分自身の体の細胞や臓器を攻撃してしまうことによって全身に様々な症状を引き起こします。
概要:
DNAに対する抗体(抗DNA抗体)などの自己抗体とDNAなどが結合してできる「免疫複合体」が、体の様々な臓器や組織に沈着し、そこで炎症を引き起こすことが病気の本態と考えられています。病気の勢い(活動性)は変動し、症状が落ち着いている「寛解(かんかい)」期と、症状が悪化する「増悪(ぞうあく)」期を繰り返しながら、慢性的に経過することが多い病気です。
原因:
SLEの原因は、現在のところ完全には解明されていません。しかし、いくつかの要因が複雑に関与していると考えられています。
- 遺伝的要因: SLEになりやすい体質(遺伝的な素因)があることが示唆されています。一卵性双生児の一方がSLEを発症した場合、もう一方も比較的高い確率で発症することが知られています。
- 環境要因: 遺伝的な素因に加えて、様々な環境要因が病気の発症や悪化のきっかけ(誘因)となると考えられています。
- 紫外線: 日光(紫外線)を浴びることが、皮膚症状の悪化だけでなく、病気全体の活動性を高める誘因となることがあります。
- 感染症: ウイルス感染などが免疫システムを刺激し、病気を誘発したり悪化させたりする可能性があります。
- 薬剤: 一部の薬剤がSLEに似た症状を引き起こすことがあります(薬剤誘発性ループス)。
- 妊娠・出産: 女性ホルモンの変動が病気の活動性に影響を与えると考えられています。SLE患者さんの約9割が女性であることからも、性ホルモンの関与が示唆されています。
症状:
SLEの症状は全身の様々な臓器に現れるため、非常に多彩です。患者さんによって現れる症状やその組み合わせ、重症度は大きく異なります。
- 全身症状: 発熱(特に微熱が続くことが多い)、全身倦怠感、疲労感、体重減少などがよく見られます。これらの症状が病気の初期に現れることもあります。
- 皮膚・粘膜症状:
- **蝶形紅斑(ちょうけいこうはん):**鼻から両頬にかけて蝶が羽を広げたような形の赤い発疹は、SLEに特徴的な症状の一つです。
- **円板状皮疹(えんばんじょうひしん):**顔、耳、頭部などによく見られ、円板状の厚い紅斑で、表面がカサカサしたり角化したりします。瘢痕を残すこともあります。
- 日光過敏症: 日光(紫外線)に当たると、皮膚に強い発疹や水ぶくれなどが現れます。
- **口腔内潰瘍:**口の中や鼻、のどなどに痛みのない(あるいは痛みが少ない)潰瘍(口内炎のようなもの)ができることがあります。
- 脱毛、レイノー現象(寒さなどで手足の指の色が白、紫、赤と変化する現象)、しもやけに似た皮疹なども見られます。
- 関節・筋症状: 関節の痛みや腫れ(関節炎)が高頻度に見られます。特に手指の関節に多く、移動性の関節炎となることもあります。筋肉の痛みや筋力低下が見られることもあります。
- **腎臓の症状(ループス腎炎):**腎臓の炎症(ループス腎炎)は、SLEの予後を左右する重要な病態の一つです。初期には自覚症状が少なく、尿検査で蛋白尿や血尿が見つかることが多いですが、進行すると腎機能が低下し、むくみや高血圧が現れ、最終的に腎不全に至ることもあります。
- **神経・精神症状(精神神経ループス):**脳や神経の障害(精神神経ループス)は、痙攣(けいれん)、意識障害、頭痛、精神症状(うつ状態、錯乱、幻覚、妄想など)など、様々な形で現れます。
- 肺・心臓の症状:
- 胸膜炎(胸の痛み、胸水)
- 心膜炎(胸の痛み、心嚢水)
- 間質性肺炎、肺胞出血
- 肺高血圧症
- 血液の異常: 貧血(自己免疫性溶血性貧血など)、白血球減少、リンパ球減少、血小板減少などが見られます。
- **漿膜炎(しょうまくえん):**肺を覆う胸膜や心臓を覆う心膜、お腹の内臓を覆う腹膜などに炎症が起き、水が溜まることがあります(胸水、心嚢水、腹水)。
診断:
SLEの診断は、特徴的な症状、診察所見、そして様々な検査結果を組み合わせて総合的に行われます。特定の項目にいくつ以上当てはまるか、といった分類基準(例えば、アメリカリウマチ学会の分類基準や、より新しいSLICC分類基準など)が診断の参考として用いられます。
主な検査としては、以下のようなものがあります。
- 血液検査:
- 自己抗体: 抗核抗体、抗DNA抗体、抗Sm抗体などがSLEに特徴的な自己抗体です。これらの抗体の有無や量などが調べられます。
- 補体: 免疫反応に関わる補体というタンパク質の量が低下していることが多いです。病気の活動性の指標にもなります。
- 血球数: 白血球、赤血球(ヘモグロビン)、血小板の数などが調べられます。
- 炎症反応を示す項目(CRP、赤沈など)
- 尿検査: 蛋白尿や血尿、細胞性円柱がないかなどが調べられ、ループス腎炎の有無や程度を評価します。
- 臓器の評価: 胸部X線検査、心電図、心エコー、腹部超音波検査、CT、MRIなど、必要に応じて全身の臓器の状態を評価するための画像検査が行われます。
- 生検: 皮膚や腎臓など、病変が疑われる組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる病理検査が行われることがあります(皮膚生検、腎生検など)。
治療法:
SLEの治療の目的は、病気の活動性を抑えて症状をコントロールし、臓器障害の進行を防ぐことで、患者さんの生活の質を維持・向上させることです。病気の状態や症状の重症度、障害されている臓器の種類などによって、治療法は個々の患者さんにあわせて選択されます。
治療の中心となるのは薬物療法です。
- **非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):**関節痛や発熱などの炎症を抑えるために使用されます。
- **ステロイド薬:**免疫の働きを強く抑え、全身の炎症を強力に抑える最も重要な薬剤です。病気の重症度に応じて、内服や点滴で用いられます。病状が落ち着いたら、副作用を減らすために徐々に減量されますが、自己判断での中止は危険です。
- **免疫抑制薬:**ステロイド薬の効果が不十分な場合や、ステロイド薬の量を減らすために、ステロイド薬と併用して使用されます。アザチオプリン、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムスなどが用いられます。
- **抗マラリア薬(ヒドロキシクロロキン):**皮膚症状や関節症状、全身症状の改善効果が期待でき、病気の再燃(ぶり返し)を予防する効果も報告されています。比較的副作用が少なく、長期に使用されることが多い薬剤です。日本では2015年にSLEの治療薬として承認されました。
- 生物学的製剤: 既存の治療法で効果が不十分な一部の患者さんに対して、特定の免疫物質の働きをピンポイントで抑える生物学的製剤(ベリムマブなど)が使用されることがあります。
- 抗血小板薬・抗凝固薬: 抗リン脂質抗体症候群(血栓ができやすくなる病気)を合併している場合に、血栓の予防のために使用されます。
薬物療法の他にも、日常生活での注意点も重要です。紫外線対策(日焼け止め、長袖の着用など)、感染予防(手洗い、うがい、ワクチン接種など)、十分な休息とバランスの取れた食事、禁煙などが推奨されます。
近年、治療法の進歩によりSLEの予後は大幅に改善しており、多くの患者さんが病気と付き合いながら通常の生活を送ることができるようになっています。しかし、病気の活動性が高まったり、重要な臓器に障害が生じたりすることもあるため、定期的な通院と医師の指示に従った治療の継続が非常に大切です。
心タンポナーデ(Cardiac Tamponade)
心タンポナーデ(Cardiac Tamponade)は、心臓を包んでいる二重の膜である「心膜(しんまく)」の間(心膜腔)に、液体(心嚢液 - しんのうえき)が異常に貯留し、心臓が外側から圧迫されて十分に拡張できなくなる、生命に関わる重篤な状態です。
概要:
心臓は心膜という袋に囲まれており、通常、心膜腔には少量の心嚢液が存在し、心臓の動きを滑らかにしています。しかし、何らかの原因でこの心嚢液が大量に、あるいは急速に増加すると、心膜腔の内圧が上昇し、心臓、特に右心房や右心室が血液を取り込む際に十分に広がることができなくなります。その結果、全身に送り出す血液の量(心拍出量)が低下し、全身の臓器に十分な血液が行き渡らなくなり、命に関わる状態となります。
原因:
心嚢液が異常に貯留する原因は多岐にわたります。
- 心膜炎: ウイルス、細菌、結核菌などによる感染性心膜炎や、膠原病(関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなど)による非感染性心膜炎、尿毒症などにより心膜に炎症が起こり、滲出液が貯留します。
- 悪性腫瘍: 肺がん、乳がん、悪性リンパ腫などが心膜に転移したり、心臓周囲の悪性腫瘍が進展したりすることで、心嚢液が増加することがあります。
- 外傷: 交通事故による胸部打撲や、刺創、銃創など、胸部に外傷を受けた際に心臓や血管が損傷し、血液が心膜腔に流れ込むことがあります。
- 心臓手術やカテーテル検査・治療の合併症: 心臓や血管の手術後、あるいは心臓カテーテル検査・治療中に、出血や心臓の損傷により心嚢液が貯留することがあります。
- 大動脈解離: 大動脈の壁が裂け、その血液が心膜腔に流れ込んだ場合に発生することがあります。
- 急性心筋梗塞による心破裂: まれではありますが、心筋梗塞を起こした部分が破裂し、心膜腔に出血することがあります。
- 薬剤: 一部の薬剤の副作用として心嚢液貯留が起こることがあります。
- 原因不明: 特定の原因が特定できない場合もあります。
貯留する液体の量やスピードによって、症状の現れ方が異なります。急速に多量の液体が貯留した場合は、少量でも急激に症状が現れ、生命の危険が高まります(急性心タンポナーデ)。一方、ゆっくりと液体が貯留する場合は、ある程度の量になるまで症状が出ないこともあります(慢性心タンポナーデ)。
症状:
心タンポナーデの症状は、心臓の圧迫による循環不全が原因で起こります。古典的な徴候として「Beckの三徴」が知られています。
- Beckの三徴:
- 低血圧: 心拍出量が低下するため血圧が下がります。
- 心音減弱: 心膜腔に溜まった液体がクッションとなり、心臓の音が聴診器で聞き取りにくくなります。
- **頸静脈怒張(けいじょうみゃくどちょう):**心臓に戻る血液の流れが悪くなるため、首の静脈が膨らんで見えます。
これらの三徴全てが揃わないことも多く、他にも以下のような様々な症状が現れます。
- 呼吸困難・息切れ: 心臓が十分に血液を送り出せないため、肺に血液がうっ滞したり、全身に酸素が十分に行き渡らなくなったりすることで起こります。座っている方が楽になることがあります。
- 胸の痛み・不快感: 心膜の炎症や圧迫による痛みを感じることがあります。
- 全身倦怠感・だるさ: 心拍出量低下による全身の血流不足で起こります。
- 動悸: 心臓が心拍出量を維持しようとして、心拍数を増やそうとすることがあります。
- 意識障害: 脳への血流が低下すると、意識レベルが低下することがあります。
- チアノーゼ: 酸素が全身に十分に行き渡らないため、唇や手足などが青紫色になることがあります。
- 顔面や手足のむくみ: 慢性の場合に見られることがあります。
診断:
心タンポナーデは迅速な診断と治療が不可欠です。
- 問診・身体診察: 症状や病歴、そしてBeckの三徴などの身体所見を確認します。
- **心エコー検査(心臓超音波検査):**心膜腔にどのくらいの量の液体が溜まっているか、心臓の動きがどの程度圧迫されているかなどをリアルタイムで観察でき、診断において最も有用でゴールドスタンダードとされる検査です。
- 心電図: 心臓の電気的な活動を調べますが、心タンポナーデに特異的な波形(例えば、低電位など)が見られることがありますが、診断の決め手とならない場合もあります。
- 胸部X線検査: 心臓の陰影が拡大して見えることがありますが、心嚢液の量によっては変化が見られないこともあります。
- CT検査・MRI検査: 心嚢液の貯留の程度や範囲をより詳しく評価したり、原因疾患(大動脈解離や腫瘍など)を特定したりするために行われることがあります。
- 血液検査: 原因疾患の特定や、全身の状態を評価するために行われます。
治療:
心タンポナーデは緊急性の高い状態であり、貯留した心嚢液を除去して心臓への圧迫を取り除くことが最も重要です。
- **心嚢穿刺(しんのうせんし):**局所麻酔を行い、胸壁から針を刺して心膜腔に溜まった心嚢液を体外に排出する処置です。心エコーガイド下で行われることが多く、比較的低侵襲で心臓の圧迫を速やかに解除できます。一時的に症状を改善させ、その後の精密検査や治療を行うための時間を稼ぐ目的でも行われます。
- 心膜ドレナージカテーテル留置: 心嚢穿刺でチューブを留置し、持続的に心嚢液を排出する方法です。原因によっては長期的に液が貯留する場合に用いられます。
- 心膜切開術/心膜開窓術: 外傷による大量の出血がある場合や、心嚢穿刺では十分に排液できない場合、あるいは液がすぐに再貯留する場合などに、手術で心膜の一部を切開または切除して、心嚢液が心膜腔に溜まらないようにする方法です。
- 原因疾患の治療: 心嚢液貯留の原因となっている病気(心膜炎、悪性腫瘍など)に対して、並行して根本的な治療が行われます。
心タンポナーデは、早期に診断して適切な処置を行えば救命できる可能性が高いですが、発見や対応が遅れると命に関わる非常に危険な状態です。胸の苦しさ、息切れ、だるさなどが急激に悪化した場合や、安静にしていても症状が改善しない場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
光線過敏症(こうせんかびんしょう)
光線過敏症(こうせんかびんしょう)は、通常の人では問題にならない程度の日光や紫外線などの光線に対して、皮膚が過剰に反応して炎症を起こす状態の総称です。いわゆる「ひどい日焼け」とは異なり、アレルギー反応や光毒性反応などが関与しています。
概要:
光線過敏症は一つの病気ではなく、様々な原因によって引き起こされる皮膚の病態です。日光にさらされた部分に、赤み、かゆみ、ぶつぶつ、水ぶくれなどの症状が現れます。症状の程度は、原因や個人によって大きく異なります。
原因と種類:
光線過敏症の原因は多岐にわたり、大きく「外因性」と「内因性」に分けられます。
-
外因性光線過敏症:
- 薬剤性光線過敏症: 内服薬や外用薬(塗り薬、貼り薬など)に含まれる成分が、体内で光線と反応して皮膚症状を引き起こすものです。
- 光毒性反応: 薬剤が光によって直接的に皮膚にダメージを与える反応で、比較的短時間で起こりやすく、誰にでも起こる可能性があります。強い日焼けのような症状が現れます。
- 光アレルギー反応: 薬剤が光と反応してアレルギーの原因物質となり、免疫システムが過剰に反応して起こるものです。アレルギー体質の人に起こりやすく、光が当たった場所以外にも症状が広がることもあります。湿疹やかぶれのような症状が現れます。
- 原因となる薬剤には、一部の抗生物質、精神安定剤、降圧剤、解熱鎮痛剤(特に貼り薬など)、抗がん剤などがあります。
- 光接触皮膚炎: 化粧品、香料、植物(レモンやセロリなど)、サンスクリーン剤などに含まれる成分が、皮膚に付着した状態で光線を浴びることで皮膚炎を起こすものです。薬剤性と同様に光毒性反応と光アレルギー反応があります。
- 薬剤性光線過敏症: 内服薬や外用薬(塗り薬、貼り薬など)に含まれる成分が、体内で光線と反応して皮膚症状を引き起こすものです。
-
内因性光線過敏症:
- 自己免疫疾患: 全身性エリテマトーデス(SLE)など、免疫の異常によって自分の体を攻撃してしまう病気の一部で、光線過敏症が見られます。SLEの場合、蝶形紅斑などが日光によって悪化することが知られています。
- 遺伝性疾患: 生まれつき光線に対する異常な感受性を持つ病気です。色素性乾皮症(XP)やポルフィリン症などが含まれます。これらの病気では、わずかな紫外線でも重篤な皮膚障害を引き起こし、皮膚がんのリスクが高まります。
- 原因不明の疾患: 多形日光疹(たけいにっこうしん)など、はっきりとした原因が特定できない光線過敏症もあります。春から夏にかけて日光が当たった部分に繰り返し湿疹などが現れることが特徴です。
- 日光蕁麻疹: 日光を浴びて数分以内に、光が当たった部分に一致してかゆみを伴うミミズ腫れ(膨疹)が現れるアレルギー反応の一種です。
症状:
症状は光線にさらされた部位(顔、手、腕、首など)に現れるのが典型的ですが、重症の場合や光アレルギー性の場合は、光が当たっていない部分にも症状が広がることがあります。主な症状は以下の通りです。
- 紅斑(皮膚の赤み)
- 浮腫(腫れ)
- 丘疹(ぶつぶつとした盛り上がり)
- 水疱(水ぶくれ)
- びらん・潰瘍(ただれ)
- かゆみ
- 痛み、ヒリヒリ感
- 皮膚の肥厚、苔癬化(慢性化した場合)
- 色素沈着、色素脱失(治癒後)
診断:
光線過敏症が疑われる場合、原因を特定するために様々な検査が行われます。
- 問診: 症状が現れた時期、場所、日光に当たった時間、使用している薬剤や化粧品、既往歴などを詳しく聞き取ります。
- 視診: 皮膚症状の特徴や分布を確認します。
- 光線テスト: 患者さんの背中などに特定の波長(UVA、UVB、可視光線など)の光線を様々な量で照射し、どの種類の光線に、どのくらいの量で反応するかを調べます。
- 光パッチテスト: 原因の可能性がある物質(薬剤、化粧品成分など)を皮膚に貼り、その上から光線を照射して反応を見ることで、薬剤性や光接触皮膚炎の原因物質を特定します。
- 血液検査: 全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患や、特定の代謝異常がないかを調べます。
- 皮膚生検: 皮膚の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べ、病理学的な変化を確認することがあります。
治療と対策:
光線過敏症の治療と対策は、原因を特定し、それを取り除くことが基本です。
- 原因物質の除去: 薬剤や化粧品などが原因の場合は、可能であればその使用を中止します。ただし、自己判断せず必ず医師に相談してください。
- **遮光(光線を避けること):**これが最も重要かつ基本的な対策です。
- 日中の紫外線の強い時間帯(特に午前10時~午後2時頃)の外出を控える。
- 外出時は、長袖の衣服、帽子、手袋、サングラスなどを着用する。紫外線カット効果のある素材の衣類も有効です。
- サンスクリーン剤(日焼け止め)を適切に使用する。紫外線防御効果の高い(SPF、PAの高い)ものを、表示通りにムラなく塗ることが重要です。こまめに塗り直すことも大切です。
- 室内でも窓ガラスを通して紫外線が入ってくるため、レースのカーテンを引くなどの対策も有効です。
- 薬物療法: 現れている皮膚の炎症やかゆみなどの症状を抑えるために、塗り薬や内服薬が用いられます。
- ステロイド外用薬: 皮膚の炎症を抑えるために使用されます。
- 抗ヒスタミン薬: かゆみを抑えるために内服薬が使用されます。
- ステロイド内服薬: 症状が重い場合や全身症状がある場合に使用されることがあります。
- 原因疾患(SLEなど)がある場合は、その病気自体の治療を行います。
光線過敏症は、単なる日焼けとは異なり、体質や様々な要因が関係する病気です。光線を避ける対策を徹底することが非常に大切ですが、自己判断せずに皮膚科医に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
◤#天久鷹央の推理カルテ 🆕予告◢
— 『天久鷹央の推理カルテ』火曜よる9時【公式】 (@Ameku_ex) April 29, 2025
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\第3話・予告🎥 /
鷹央 🆚 密室殺人事件
密室の手術室で起きた殺人事件
容疑者は鷹央の姉真鶴⁉︎
"密室殺人の謎"を解明🔍
絶妙なキャスティング&インスリンノーマ,自閉スペクトラム症とサヴァン症候群🥼[新]天久鷹央の推理カルテ #1 【ついにスタート!新感覚・本格医療ミステリー】