波瑠さん主演🚄土曜ドラマ【路~台湾エクスプレス~】
路~台湾エクスプレス~



路~台湾エクスプレス~
土曜ドラマ「路~台湾エクスプレス~」は、吉田修一の小説「路(ルウ)」を原作とした、NHKと台湾の公共放送局・PTS(公共電視台)の共同制作によるテレビドラマです。
概要
- 2020年5月16日から5月30日まで、NHK総合およびNHK BS4Kの「土曜ドラマ」枠で全3回が放送されました。
- 台湾でも同時に放送されました。
- 1999年から2020年までの時代を舞台に、台湾新幹線プロジェクトの軌跡を縦糸に、日本と台湾の人々の「国境」と「時間」を越えた心の交流を詩情豊かに描いています。
あらすじ
- 1999年、日本の商社に勤める多田春香(波瑠)は、高校時代に知り合った台湾人のエリック(アーロン)と再会を約束していました。しかし、921台湾大地震が起こり、連絡が途絶えてしまいます。
- 2007年、春香は台湾新幹線建設プロジェクトのメンバーとして台湾に赴任し、エリックを探し始めます。
主な出演者
- 多田春香:波瑠
- エリック:アーロン
- 安西誠:井浦新
- 澤村勝一郎:寺脇康文
- 多田繁之:高橋長英
- 葉山勝一郎:邵雨薇(シャオ・ユーウェイ)
- 高清源:楊烈(ヤン・リエ)
- 林彩雲:林美秀(リン・メイシュウ)
特徴
- 日台共同制作ならではの、両国の俳優による共演や、台湾ロケによる美しい映像が魅力です。
- 台湾新幹線プロジェクトという実在の出来事を背景に、日本人と台湾人の心の交流を描いています。
- 吉田修一の原作の持つ、繊細な人間描写や、時代や文化の変遷を丁寧に描いています。
関連情報
- このドラマは、台湾新幹線プロジェクトの軌跡を縦糸に、日本と台湾の人々の「国境」と「時間」を越えた心の交流を詩情豊かに描いた吉田修一氏の小説『路(ルウ)』が原作です。
- NHKと台湾の公共放送局・PTSで共同制作されました。
- 主演の多田春香役は波瑠が務めました。
- 台湾の青年・エリックを演じるのはアーロンです。
台湾新幹線プロジェクト:日本の技術が実現した「台湾一日生活圏」
台湾新幹線
(正式名称:台湾高速鉄道、略称:台湾高鉄)は、台湾の二大都市である台北と高雄を最短約90分で結ぶ高速鉄道プロジェクトです。日本の新幹線システムが初めて海外に輸出された画期的な事例として知られ、台湾の経済、社会、文化に大きな変革をもたらしました。
プロジェクトの概要
区間: 台北市・南港駅~高雄市・左営駅
総距離: 約345km
開業日: 2007年1月5日(板橋~左営間で仮開業)、同年3月2日(台北~左営間で正式開業)
事業方式: 民間が建設(Build)、運営(Operate)し、一定期間後に政府に譲渡(Transfer)するBOT方式を採用。
日本の技術が選ばれた劇的な経緯
プロジェクト計画当初、入札ではドイツ・フランスの欧州連合が優勢とされていました。しかし、1999年に発生した台湾大地震(921大地震)をきっかけに、地震多発地帯である台湾の地質条件が改めて重要視されることになります。
地震に対する豊富な経験と高度な耐震設計・安全技術を持つ日本の新幹線システムが再評価され、最終的に日本企業連合(JR東海、川崎重工業、三菱重工業、日本車両製造など)が逆転で受注しました。これは、日本の新幹線技術が世界的に高い評価を得る象徴的な出来事となりました。
日本の技術と貢献
台湾新幹線には、車両から運行システムまで、日本の新幹線技術が随所に活かされています。
車両 (700T型): 東海道・山陽新幹線で活躍した「700系のぞみ」をベースに、台湾の気候や地形に合わせて改良された専用車両です。最高営業速度は300km/hに達します。
コアシステム: 車両だけでなく、自動列車制御装置(ATC)などの信号システム、電力システム、通信システム、運行管理システムといった心臓部も日本製が採用されています。
安全対策: 地震発生時に列車を緊急停止させる早期地震検知警報システム(ユレダス)など、日本の高度な防災技術が導入されています。
開業後の影響と現在の状況
開業当初は、運賃の高さなどから利用客数が伸び悩みましたが、その速達性と利便性が認知されるにつれて利用者は飛躍的に増加しました。
「一日生活圏」の実現: 台北と高雄が日帰り圏内となり、ビジネスや観光の流動性が格段に向上。台湾西海岸の主要都市が緊密に結ばれました。
国内交通への影響: 台湾新幹線の開業により、並行する高速バスや台湾鉄道は大きな影響を受け、特に台北-高雄間の国内航空路線はほぼ全ての便が廃止に追い込まれました。
利用者数の増加: 開業以来、利用者数は右肩上がりに増加しており、2023年には年間利用客数が過去最多の約7,308万人を記録するなど、台湾に不可欠な交通インフラとして定着しています。
さらなる進化と今後の展望
台湾新幹線は開業から15年以上が経過し、さらなる進化を遂げようとしています。
新型車両の導入: JR東海の最新型車両「N700S」をベースにした新型車両12編成(144両)の導入が決定しており、日立製作所と東芝が製造を受注しました。2026年以降に順次納入され、2027年からの運行開始を目指しています。これにより、さらに快適でエネルギー効率の高いサービスが提供される見込みです。
路線の延伸計画:
北部(宜蘭延伸): 現在の起点である南港駅から、北東部の主要都市・宜蘭までの延伸計画が進行中です。完成すれば、台北から宜蘭へのアクセスが大幅に改善されます。
南部(屏東延伸): 終点の左営駅から、さらに南の屏東まで延伸する計画も具体化しています。
台湾新幹線プロジェクトは、日本の優れた鉄道技術が海外で成功を収めた輝かしい事例であると同時に、台湾の国土発展に大きく貢献した国家的プロジェクトとして、今もなお進化を続けています。