吉沢亮さん主演💛NHK大河ドラマ、青天を衝け

青天を衝け

画像は番組公式さんからの引用です。

青天を衝け

NHK大河ドラマ「青天を衝け」は、2021年に放送された第60作目の記念すべき作品です。日本資本主義の父と称される渋沢栄一を主人公に、激動の幕末から明治、大正、昭和にかけての日本の近代化の歩みが描かれました。

概要

放送期間: 2021年2月14日～12月26日（全41回）
主演: 吉沢亮（渋沢栄一役）
脚本: 大森美香
語り: 徳川家康（北大路欣也）
タイトル: 渋沢栄一が青年期に詠んだ漢詩「勢（いきおい）は天を衝（つ）く」に由来。志を持って突き進む栄一の人生を表しています。

あらすじ

物語は、現在の埼玉県深谷市にあたる武蔵国血洗島村で、貧しいながらも豊かな知的好奇心と行動力を持った青年、渋沢栄一の少年時代から始まります。彼は家業である藍玉づくりや養蚕を手伝いながら、独学で『論語』を学び、世の中の矛盾や不公平に疑問を抱きます。

青年期には尊王攘夷思想に傾倒し、過激な行動に走ろうとしますが、やがて縁あって最後の将軍となる徳川慶喜に仕えることになります。パリ万国博覧会のために渡欧し、そこで近代的な資本主義社会を目の当たりにし、日本の未来を切り開くには実業が必要だと確信します。

明治維新後、官僚として新政府で活躍しますが、やがて「官」の限界を感じ、実業界へ転身。日本初の銀行である第一国立銀行（現・みずほ銀行の前身の一つ）をはじめ、約500もの企業の設立・育成に尽力し、「日本資本主義の父」と呼ばれます。

晩年には、教育や福祉、国際親善など、約600もの社会貢献事業にも力を注ぎ、「道徳経済合一説」を掲げ、私利私欲だけでなく公益を重んじる精神を生涯貫きました。

ドラマでは、栄一の波乱に満ちた生涯を、家族や友人、そして徳川慶喜をはじめとする時代を彩った様々な人物との交流を通して、人間味豊かに描かれました。

時代設定

幕末（天保～慶応）: 栄一の青年期。尊王攘夷思想に傾倒し、徳川慶喜に仕えるまで。
明治維新期: パリからの帰国、明治政府での官僚時代。
明治・大正・昭和初期: 実業家としての活躍、社会貢献活動。

特徴と評価

「経済」に光を当てた大河ドラマ: これまでの大河ドラマが政治家や武将を中心に描くことが多かったのに対し、実業家である渋沢栄一を主役にした点で画期的でした。
『論語と算盤』の精神: 栄一の根底にある「道徳経済合一説」が分かりやすく描かれ、現代にも通じる普遍的なテーマが提示されました。
豪華キャスト陣: 主演の吉沢亮の熱演に加え、草なぎ剛が演じた徳川慶喜や、和久井映見、木村佳乃、北大路欣也など、豪華俳優陣が脇を固め、物語を深めました。
語りによる丁寧な解説: 北大路欣也による徳川家康の視点からの語りが、歴史的背景や当時の状況を分かりやすく解説し、視聴者の理解を助けました。
エンターテインメント性: 難しいテーマを扱いながらも、コミカルな描写や人間ドラマを交え、老若男女が楽しめる大河ドラマとして高い評価を得ました。

「青天を衝け」は、渋沢栄一という一人の人間の情熱と行動力が、いかにして日本の近代化を推進したのかを、丁寧にそしてダイナミックに描いた作品として、多くの視聴者に感動と学びを与えました。

渋沢栄一（しぶさわえいいち）さん

渋沢栄一（しぶさわえいいち）は、1840年（天保11年）に現在の埼玉県深谷市で生まれ、1931年（昭和6年）に91歳で亡くなるまで、日本の近代化と経済発展に多大な貢献をした実業家です。「日本資本主義の父」と称され、2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公としても描かれました。2024年度からは、新1万円札の肖像にも採用されています。

生涯の歩み

生い立ちと青年期：武士を目指す農民の子
- 武蔵国榛沢郡血洗島村（現在の埼玉県深谷市）の裕福な農家に生まれます。家業の農業に加え、養蚕や藍の製造・販売も兼営していました。
- 幼い頃から家業を手伝いながら、従兄の尾高惇忠のもとで『論語』などの漢学を学び、深い教養を身につけます。
- 青年期には、尊王攘夷思想に傾倒し、高崎城乗っ取りなどの計画を立てる過激な行動に出ますが、中止。その後、京都へ逃れ、最後の将軍となる徳川慶喜に仕えることになります。
渡欧と近代経済の学び：ヨーロッパでの衝撃
- 1867年（慶応3年）、徳川慶喜の弟・徳川昭武に随行し、パリ万国博覧会へ派遣され、ヨーロッパを視察します。
- このヨーロッパ滞在で、進んだ資本主義経済や株式会社制度、銀行制度などを目の当たりにし、日本の近代化にはこれらを導入することが不可欠であると痛感します。
明治政府への貢献と実業家への転身：近代経済システムの構築
- 明治維新後、明治政府に招かれ、大蔵省に入省します。ここで、租税制度や貨幣制度、土地制度、度量衡の整備、国立銀行条例の制定など、近代国家の基盤となる政策の確立に尽力しました。
- しかし、官僚としての仕事に限界を感じ、民間経済の発展こそが日本の未来を築くと考え、1873年（明治6年）に大蔵省を辞任します。
「日本資本主義の父」としての偉業：約500社の設立・育成
- 大蔵省退官後、日本初の銀行である第一国立銀行（現みずほ銀行の前身の一つ）を設立し、総監役（頭取）に就任します。これは日本初の株式会社でもありました。
- これを皮切りに、約500もの企業の設立や経営に携わりました。その業種は、銀行、保険、鉄道、ガス、電気、製紙、紡績、ビール、ホテル、劇場、造船など多岐にわたり、現在の日本経済を支える多くの企業の礎を築きました。
- 主な関連企業：東京証券取引所、東京ガス、帝国ホテル、帝国劇場、王子製紙、IHI、キリンビール（旧札幌麦酒）、東洋紡、日本郵船など。
- また、東京商工会議所の前身である東京商法会議所の設立にも尽力し、実業界の発展に貢献しました。
「道徳経済合一説」の提唱：公益を重んじる思想
- 渋沢栄一の最も重要な思想は、「道徳経済合一説」です。これは、『論語』に代表される儒教の教えに基づく道徳と、経済活動によって利益を追求することとは決して矛盾しない、むしろ道徳に基づいた経済活動こそが社会全体の発展と真の利益をもたらすという考え方です。
- 彼は、私利私欲だけでなく、社会全体の公益を追求することの重要性を説き、多くの企業経営者や社会に影響を与えました。
社会貢献・国際親善への尽力：実業から公共へ
- 明治42年（1909年）に実業界を引退した後は、約600もの社会公共事業や福祉、教育、国際親善活動に尽力しました。
- **東京養育院（現在の東京都健康長寿医療センター）**の院長を長く務め、社会福祉の充実に貢献しました。
- 日本赤十字社や東京慈恵会の設立・支援にも携わりました。
- 女子教育の振興にも力を入れ、日本女子大学校（現・日本女子大学）や東京女学館の設立にも関与しました。
- 民間外交にも積極的に取り組み、アメリカとの親善活動や、ノーベル平和賞候補に2度ノミネートされるなど、国際平和にも貢献しました。