NO LUCAちゃん NO LIFE🕯NHKスペシャル 人体Ⅲ 第3集 命のつながり 細胞40億年の旅
命のつながり
こんにちは
猫好き父さんです
今回のゲストのお二人は
難病を克服されて
今をしっかりと生きていらっしゃお二人で
言葉のもつ重みが違うように
感じました。
内容
タモリ×山中伸弥「人体」シリーズ最新作!私たちの「命」はいつ始まり、そしてどこから来たのか?重度の腎臓病を改善する驚きの最新治療を入り口に、地球生命と私たち人間の“深い繋がり”に迫っていく。じつは地球上すべての生きものは、“細胞きょうだい”と言うべき存在。命の根源を遡ると、そこには40億年の生命の歴史にまつわる壮大な「科学的事実」が―。ゲストの米倉涼子さん、池江璃花子さんと一緒に深く考えていく。
出演
【司会】タモリ,山中伸弥,【ゲスト】米倉涼子,池江璃花子,【語り】久保田祐佳
細胞内キャラクター
「細胞内キャラクター」という言葉は、主にNHKスペシャル『人体III 遺伝子 DNA』シリーズ(特に「命の源 細胞内ワンダーランド」)などで、細胞内で様々な働きをする分子やタンパク質、細胞小器官などを、あたかも意思を持って活動しているかのように擬人化して表現するために用いられた造語です。
これは、複雑でミクロな細胞内の活動を視聴者に分かりやすく伝えるための工夫であり、特に以下のような分子や細胞小器官が「キャラクター」として描かれました。
代表的な「細胞内キャラクター」の例
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モータータンパク質(キネシン、ダイニンなど):
- 細胞内の「運送屋」や「運び屋」として描かれます。微小管というレールの上をトコトコと歩き、細胞小器官やタンパク質などの荷物を運ぶ姿がアニメーションで表現されます。ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー源を消費して動く様子が、まるで動力で動く機械のように見えます。
- NHKスペシャルでは、「目的地に着くとキネシンは離れ、小胞が保管される」「これが(喜怒哀楽)全ての活動に関わる」といった表現が使われています。
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リボソーム:
- 遺伝情報(mRNA)を読み取り、アミノ酸をつなぎ合わせてタンパク質を合成する「工場」や「組み立てロボット」として描かれます。
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DNA・RNA:
- DNAは「設計図」や「司令塔」、RNAは「情報伝達役」や「コピー機」として描かれます。遺伝子の情報に基づいてタンパク質が作られる過程が、キャラクターたちの連携プレーとして表現されます。
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プロテアソーム:
- 不要になったタンパク質を分解・リサイクルする「分解工場」や「ゴミ処理班」として描かれます。ドーナツのような形をしており、タンパク質を引っ張って解体する様子が描写されます。
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免疫細胞(白血球、マクロファージなど):
- アニメ『はたらく細胞』で有名ですが、ウイルスや細菌と戦う「兵士」や「警備員」として描かれます。
なぜ「キャラクター」と呼ぶのか
細胞内の分子や構造は、単なる物質の集合体ではなく、それぞれが特定の役割を持ち、精巧な連携プレーによって生命活動を維持しています。しかし、その動きや仕組みは非常に複雑で、一般の人にはイメージしにくいものです。
そこで、「キャラクター」と呼ぶことで、
- 親しみやすさ: 視聴者が感情移入しやすくなります。
- 分かりやすさ: それぞれの分子がどのような役割を担っているのか、直感的に理解しやすくなります。
- 動的な理解: 静止画では伝わりにくい分子の動きや相互作用が、アニメーションを通じて明確になります。
このように、「細胞内キャラクター」という表現は、科学的な正確さを保ちつつ、生命の神秘と複雑さを魅力的に伝えるための、優れた教育的・広報的ツールと言えます。
アニメ『はたらく細胞』は、まさにこの「細胞内キャラクター」化を極限まで推し進めた作品で、体内の細胞を擬人化し、それぞれの役割をコミカルかつ分かりやすく描くことで、老若男女問わず大ヒットしました。
ロバート・モンゴメリー医師
ロバート・モンゴメリー医師は、アメリカの移植外科医であり、特に異種移植の分野における先駆的な研究と実践で知られています。
専門分野と所属
- 専門: 移植外科、特に腎臓移植、そして近年は異種移植(動物の臓器をヒトに移植すること)に注力しています。
- 所属: ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスの移植研究所の責任者を務めています。
主な業績と研究
モンゴメリー医師は、臓器移植を必要とする多くの患者のために、臓器不足という世界的な課題を解決すべく、異種移植の研究を進めています。
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遺伝子改変ブタの腎臓のヒトへの移植:
- 2021年10月に、遺伝子改変されたブタの腎臓を脳死状態のヒトに移植する実験を行い、腎臓が基本的にヒトの腎臓と同様に機能し、拒絶反応の兆候が見られなかったことを確認しました。この実験では、拒絶反応を抑えるためにブタの胸腺の一部も同時に移植されました。
- 2024年4月には、人工心臓ポンプを装着した生きた患者(リサ・ピサーノさん)に遺伝子改変ブタの腎臓を移植する手術を行いました。この腎臓は最終的に機能せず、5月下旬に摘出されましたが、モンゴメリー医師は「ピサーノさんの貢献は計り知れない」と述べています。
- さらに、2024年11月下旬には、別の女性患者(トワナ・ルーニーさん)に遺伝子改変ブタの腎臓を移植する手術を行い、この腎臓は130日間機能したものの、最終的に拒絶反応により摘出されました。モンゴメリー医師は、今回のケースが異種移植による治療を受けた患者の中で最も長く臓器が機能した記録であるとし、「新しい治療法の確立には時間を要し、単打や二塁打を着実に積み重ねていく進歩が鍵となる」と述べています。
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拒絶反応の抑制: 遺伝子操作によってヒトが拒絶反応を示す要因をブタの臓器から除去する研究や、ブタの胸腺の同時移植によって免疫の働きを抑える方法など、拒絶反応を抑制する技術の開発に尽力しています。
哲学と動機
モンゴメリー医師自身も心臓移植の経験があり、この経験が彼の研究の大きな動機となっています。彼は、現在の臓器移植の仕組みでは、臓器を待つ多くの人々が亡くなっている現状を強く懸念しており、「誰かを生かすには誰かが死ななければならないという昔ながらの仕組みは、絶対にもたない」と述べています。彼は、倫理的な議論があることを理解しつつも、異種移植が臓器不足の解決策となる可能性を信じています。
今後の展望
モンゴメリー医師は、ブタからの臓器移植が将来的に心臓、肺、肝臓といった他の臓器にも応用される可能性を考えており、これらの研究が「クリニックに移して実施しても大丈夫だという新たな自信を、今回得られた」と語っています。
ジョージ・チャーチ教授
ジョージ・チャーチ教授は、アメリカの遺伝学者、分子工学者、化学者であり、現代ゲノミクスと合成生物学の分野における最も影響力のある人物の一人として広く認識されています。ハーバード大学医学部の遺伝学教授であり、マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授も務めています。
主な業績と貢献
チャーチ教授は、そのキャリアを通じて、生命科学に革命をもたらす多くの画期的な技術を開発してきました。
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ヒトゲノム計画への貢献:
- ヒトゲノム計画の発案者の一人であり、その推進において中心的な役割を果たしました。
- DNAシーケンシング(塩基配列決定)技術の初期の開発に貢献し、次世代シーケンサー技術の基盤を築きました。これにより、ゲノム解析のコストを劇的に下げ、その普及に貢献しました。
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パーソナル・ゲノム・プロジェクト (Personal Genome Project: PGP):
- 2005年に、個人のゲノム情報と医療情報や表現型(身体的特徴など)を統合し、それを一般に公開することで、医学研究の進展を加速させることを目的としたプロジェクトを立ち上げました。これは、倫理的な側面でも大きな議論を呼びました。
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ゲノム編集技術 (CRISPR-Cas9) の開発への貢献:
- CRISPR-Cas9システムを用いたゲノム編集技術の初期の研究において重要な役割を果たしました。彼の研究室は、ヒト細胞でCRISPR技術が遺伝子を「編集」できることを示した初期のグループの一つです。
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合成生物学とゲノム合成:
- ゲノム(全遺伝情報)を人工的に合成する技術の開発にも深く関わっています。これは、細胞を一から作り出す「合成ゲノム」の研究に繋がっています。
- ウイルス耐性を持つ微生物や細胞の作製、さらには微生物全体をウイルスの感染から保護する技術の開発にも取り組んでいます。
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マンモス復活プロジェクト:
- 絶滅したケナガマンモスの遺伝子を、現生のゾウの遺伝子に組み込むことで、マンモスを「再生」させるという壮大なプロジェクトを推進しています。これは、絶滅種の復活(デ・エクスティンクション)という分野の最先端研究であり、生物多様性の保全や気候変動対策への貢献を目指しています。このプロジェクトには、巨額の資金が投じられています。
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異種移植のためのブタの臓器改変:
- 人間への移植に適した臓器を持つブタを作製するための遺伝子改変の研究も行っています。これにより、深刻な臓器不足問題の解決を目指しています。彼の研究室は、人間への臓器移植を目的として42の遺伝子改変を施したブタの作製にも携わっています。
特徴と哲学
- 革新性と大胆な発想: チャーチ教授は、常に科学の限界を押し広げるような大胆なアイデアと、それを実現するための革新的な技術開発で知られています。
- 倫理的議論への積極的な関与: 彼の研究は、生命倫理に関わる深い問いを投げかけることが多いため、彼は常に倫理的な議論に積極的に関与し、研究の安全性、セキュリティ、公平性、スティグマ化といった側面にも配慮するよう提唱しています。
- オープンサイエンスの推進: 自身の研究成果や遺伝子データをオープンに公開し、共有することで、科学研究の加速を目指す「オープンサイエンス」の提唱者でもあります。
- 多岐にわたる事業展開: 彼は20以上の企業を共同設立しており、その研究成果を社会実装することにも積極的です。
ジョージ・チャーチ教授は、その卓越した知性と、生命科学の未来を形作る大胆なビジョンによって、世界中の科学者や一般の人々に大きな影響を与え続けています。
造血幹細胞移植
造血幹細胞移植(Hematopoietic Stem Cell Transplantation:HSCT)は、主に血液がん(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など)や再生不良性貧血などの血液疾患、一部の遺伝性疾患などに対して行われる、根治を目指す治療法です。大量の抗がん剤治療や放射線治療によって破壊された患者自身の造血幹細胞を、健康な造血幹細胞と入れ替えることで、新たな造血機能と免疫機能を再構築することを目的とします。
造血幹細胞とは?
造血幹細胞は、骨髄に存在する「血液の種」となる細胞です。赤血球、白血球、血小板など、あらゆる種類の血液細胞を作り出す能力(造血能力)と、自分と同じ造血幹細胞を増やす能力(自己複製能力)を持っています。
移植の目的
- 腫瘍細胞の根絶: 血液がんの場合、大量の抗がん剤や全身放射線照射によって、体内の腫瘍細胞を最大限に死滅させます。この強力な治療は、患者自身の正常な造血幹細胞も破壊してしまうため、その後に健康な造血幹細胞を補充する必要があります。
- 免疫機能の再構築: 移植されたドナー由来の免疫細胞が、残存するがん細胞を攻撃する「移植片対腫瘍効果(Graft-versus-tumor effect; GVT効果)」が期待できる場合があります。また、再生不良性貧血などの場合は、正常な造血機能を回復させることを目的とします。
造血幹細胞移植の種類
造血幹細胞の提供源によって、大きく2種類に分けられます。
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自家移植(じかいしょく):
- 患者さん自身の造血幹細胞をあらかじめ採取・保存しておき、大量の化学療法などで腫瘍細胞を死滅させた後に、保存しておいた自身の幹細胞を体に戻す方法です。
- 拒絶反応(GVHD)の心配がなく、主に悪性リンパ腫や多発性骨髄腫などで用いられます。
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同種移植(どうしゅいしょく):
- 他人の造血幹細胞を移植する方法です。患者さんとドナーの白血球の型(HLA型)が適合することが重要です。HLA型が合わないと、強い拒絶反応が起こる可能性があります。
- 白血病や再生不良性貧血など、患者自身の造血幹細胞に異常がある場合や、移植片対腫瘍効果を期待する場合に用いられます。
- ドナーの種類:
- 血縁ドナー: 兄弟姉妹など、血縁者の中にHLA型が一致する人がいる場合。
- 非血縁ドナー: 日本骨髄バンクや臍帯血バンクに登録されている、血縁関係のないドナーから探す場合。
- 骨髄移植: ドナーの腰の骨(腸骨)から骨髄液を採取します。全身麻酔が必要です。
- 末梢血幹細胞移植(PBSCT): ドナーに造血幹細胞増殖因子(G-CSF)を投与し、末梢血中に流れ出した造血幹細胞を成分採血装置で採取します。全身麻酔は不要です。
- 臍帯血移植(さい帯血移植): 出産時に採取・保存された臍帯(へその緒)の血液から造血幹細胞を採取して移植します。小児を中心に利用されます。HLA型の一致度が低くても移植できる場合があるのが特徴です。
移植の流れ
- 前処置: 移植の数日前から、患者さんに大量の抗がん剤や全身放射線照射を行います。これは、がん細胞を死滅させるとともに、移植される造血幹細胞が拒絶されないように患者さんの免疫力を一時的に低下させる目的があります。
- 造血幹細胞の輸注: 前処置の終了後、採取された造血幹細胞を点滴で患者さんの体に戻します。これは輸血と同じような感覚で行われます。
- 生着(せいちゃく): 輸注された造血幹細胞が患者さんの骨髄にたどり着き、そこで増殖して正常な血液細胞を作り始めることを「生着」といいます。生着には、通常2~4週間かかります。この期間は、免疫力が極度に低下しているため、感染症や出血のリスクが高く、厳重な管理が必要です。
- 回復期: 生着後も、免疫機能の回復には時間がかかります(数ヶ月から1年以上)。この期間は、感染症予防やGVHDの管理が重要になります。
リスクと合併症
造血幹細胞移植は、強力な治療であるため、様々なリスクや合併症を伴います。
- 移植前処置による副作用: 吐き気、嘔吐、口内炎、脱毛、下痢、臓器障害(心臓、肝臓、腎臓など)など。
- 感染症: 免疫力が低下しているため、細菌、ウイルス、真菌などによる重篤な感染症のリスクが高いです。
- 移植片対宿主病(GVHD:Graft-versus-Host Disease): 同種移植に特有の合併症で、移植されたドナーの免疫細胞が、患者さんの体を「異物」と認識して攻撃する反応です。皮膚、肝臓、消化管などに症状が出やすく、急性GVHDと慢性GVHDがあります。
- 拒絶反応: 移植された造血幹細胞が患者さんの体内で生着しない、あるいは生着しても機能しない状態です。
- 晩期合併症: 移植後数ヶ月から数年後に現れる合併症で、二次がん、甲状腺機能低下、不妊症、骨の障害などがあります。
成功率と予後
移植の成功率は、疾患の種類、病期、患者さんの年齢や全身状態、HLA適合度など多くの要因によって異なります。一般的に、適合したドナーが見つかり、合併症を乗り越えられれば、高い治療効果が期待できる治療法です。白血病の種類や病期、再生不良性貧血など疾患によっては、移植後5年生存率が60%〜90%以上となるケースもあります。しかし、ハイリスクな治療であることには変わりなく、医師と十分に相談し、リスクとベネフィットを理解した上で選択することが重要です。
造血幹細胞移植は、命に関わる重篤な血液疾患に対し、根治を目指せる数少ない治療法であり、多くの患者さんにとって希望の光となっています。
脳脊髄液減少症
脳脊髄液減少症は、脳と脊髄の周りを満たしている脳脊髄液が、何らかの原因で減少することで、様々な症状を引き起こす疾患です。日本では、篠永正道医師らによって提唱された比較的新しい疾患概念であり、国際疾病分類にはまだ明確に記載されていません。
脳脊髄液とは?
脳脊髄液は、脳や脊髄を衝撃から守るクッションの役割を果たし、栄養素の運搬や老廃物の排出にも関わっています。脳と脊髄を覆う硬膜(くも膜下腔)の中を循環しています。
原因
脳脊髄液減少症の原因は、主に以下のものが挙げられます。
- 外傷性: 交通事故(追突、接触、同乗)、スポーツ中のケガ(頭部打撲、転倒)、転落、暴力など、頭部や体への強い衝撃が引き金となることが多いとされています。比較的軽微な事故やケガでも発症する場合があります。
- 医原性: 脊椎手術、腰椎穿刺(髄液検査)、整体治療などが原因となることもあります。
- 特発性: 明らかな外傷などの原因がない場合でも発症することがあります。
- その他: 出産、脱水症状を伴う発熱や大量発汗時の水分摂取不足なども関与する可能性があります。
症状
脳脊髄液が減少すると、脳や脊髄が下に沈み込むことで、周囲の組織が引っ張られたり圧迫されたりして、様々な症状が出現します。特に、体を起こしたときに症状が悪化し、横になると楽になる「起立性」の症状が特徴的です。
主な症状は以下の通りです。
- 頭痛: 特に起立性頭痛(立つと悪化し、横になると改善する頭痛)が特徴的です。
- 頚部痛(首の痛み)〜腰痛、四肢痛: 首から背中、腰にかけての痛みや、手足のしびれ、痛み。
- 全身倦怠感・易疲労性: 体がだるい、疲れやすい。
- めまい・耳鳴り: ふわふわするめまい、耳鳴り。
- 視機能障害: 視力低下、光がまぶしい(羞明)、目がかすむ。
- 吐き気・食欲不振・下痢などの消化器症状
- 動悸・息切れなどの自律神経症状
- 思考力・注意力の低下、記憶力低下、うつなどの高次脳機能障害
- 不眠、易感染性、内分泌症状 など
症状は天候や気圧など環境の影響を受けやすく、体調が良いときには症状が目立たないこともあります。
診断
脳脊髄液減少症の診断は、症状の問診に加え、画像検査によって脳脊髄液の漏れの有無や減少状態を確認します。
- 脳神経外科または神経内科の受診が推奨されます。
- 画像診断:
- 脊髄MRI/MRミエログラフィー: 腰椎穿刺が不要な検査で、脊髄の硬膜外に液貯留があるかなどを確認します。
- CTミエログラフィー/RI脳槽シンチグラフィー: 腰椎穿刺を行い、造影剤や放射性同位元素を脳脊髄液腔に注入し、その漏れや脳脊髄液の循環状態を調べる検査です。
- 頭部MRIのみで脳脊髄液減少症を否定することはできません。
治療
脳脊髄液減少症の治療法は、主に以下の3つがあります。
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保存的治療:
- 発症早期や軽症の場合にまず行われます。
- 具体的には、厳重な臥床安静(ベッド上で水平に横になる)を10〜14日程度継続し、十分な水分摂取(経口補水液や点滴など)を行います。
- 症状に応じて、鎮痛薬などの薬物療法も併用されます。
- 小児や若年者では特に有効性が高いとされています。
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硬膜外腔生理食塩水注入:
- 脳脊髄液が減少した硬膜外腔に生理食塩水を注入し、減少した髄液を一時的に補う治療法です。漏出が軽度の場合や症状緩和を目的として行われます。
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ブラッドパッチ療法(硬膜外自家血注入療法):
- 脳脊髄液減少症の主要な治療法の一つです。
- 患者さん自身の静脈血を採取し、脳脊髄液が漏れている脊椎硬膜外腔に注入します。注入された血液が凝固し、漏れ出ている部分を物理的に塞ぎ、髄液の漏出を止めます。
- この治療法は、2016年4月から国の診断基準で「脳脊髄液漏出症」と診断された場合に保険適用となりました。
- 治療後は一定期間の安静が必要です。
脳脊髄液減少症は、診断や治療が確立されてきた一方で、症状の多様性や原因の不明瞭さから、まだ診断が難しいケースや、周囲の理解が得られにくいといった課題も存在します。症状が長期化し、日常生活に支障をきたしている場合は、専門の医療機関(脳神経外科、神経内科)を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
LUCA(ルカ)
LUCA(ルカ)とは、Last Universal Common Ancestor の略で、日本語では「全生物最終共通祖先」や「最終共通祖先」と訳されます。これは、現在地球上に存在するすべての生物が、その系譜をたどると行きつく最も古い共通の祖先であるとされている生命体です。
LUCAのポイント
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全生命の共通祖先: 地球上のあらゆる生命(細菌、古細菌、真核生物の3つのドメインすべて)は、共通の遺伝の仕組み、タンパク質を作る仕組み、そして共通の代謝系を持っています。これらの共通性から、すべての生命は一つの祖先生物から進化してきたと考えられており、その「最後の」共通祖先がLUCAです。
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「最初の生命」ではない: ここで重要なのは、LUCAが「地球上で最初に誕生した生命体」ではないという点です。生命の起源はさらにさかのぼり得るもので、LUCAは「現存するすべての生命の共通の祖先」として位置づけられています。LUCA以前にもさまざまな原始生命体が存在していたとみられていますが、LUCA以外の系統は淘汰された結果、今日の生物はすべてLUCAの子孫であると考えられています。
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存在時期と場所の推定:
- 時期: 約38億年前から41億年前の地球上に存在したと推定されています。これは地球形成からわずか約3億年後に誕生していたという研究報告もあります。
- 場所: 多くの研究者の意見が一致しているのは、深海の海底にある「熱水噴出孔」という場所です。特に、最高400度もの熱い水が噴き出す場所や、高アルカリ性のホワイトスモーカーと呼ばれる熱水噴出孔が有力な候補とされています。高温で安定したエネルギー源、豊富な生命の材料がそろっていたため、生命が誕生する条件がそろっていたと考えられています。
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LUCAの特徴(推定):
- 高温環境での生息: 現在の最も原始的な古細菌たちが極限環境(100℃を超える深海底の熱水噴出孔など)を好むことから、LUCAも高温の環境で生まれた好熱性微生物であったと推定されています。
- 代謝能力: 酸素を必要としない嫌気性のアセトゲン(アセトゲナーゼ)であったと推測され、Wood-Ljungdahl経路を用いて二酸化炭素と水素から酢酸を生成する経路で炭素固定を行っていたと考えられています。これは初期地球の無酸素環境に適応した代謝様式です。
- 複雑な分子機構: 推定されるLUCAは、すでに現代の生命と共通する高度な分子機構、すなわち環状のDNAを持つ遺伝の仕組みやタンパク質を作る仕組みを備えていたと考えられています。
研究の意義
LUCAの存在を解明する研究は、生命が地球上でただ一度誕生した可能性が高いという見方を支えています。なぜバクテリアから人間に至るまで、同じ遺伝暗号を用い、同じエネルギー代謝を行うのか。その理由を、LUCAという一つの出発点に見いだすことができるとされています。
LUCAの研究は、現代の生命の共通性から、太古の生命の姿や、生命がどのようにして誕生し、進化してきたのかを探る重要な手がかりとなっています。また、地球外生命の探索においても、初期生命がどのような環境で誕生したかの理解に役立つと期待されています。
細胞きょうだい
「細胞きょうだい」という言葉は、主にNHKスペシャル『人体III 遺伝子 DNA』シリーズで使われた、**「地球上のすべての生命の細胞が、約40億年前に誕生した共通祖先(LUCA)からひたすら分裂を繰り返し、地球の隅々にまで広がっていった」**という概念を分かりやすく表現するための言葉です。
「細胞きょうだい」の核心
この言葉が伝えたいのは、以下の重要なポイントです。
- 全生命の共通の起源: 地球上のあらゆる生物(人間、動物、植物、微生物など)の細胞は、遠い昔に存在したたった一つの祖先細胞から分裂を繰り返して誕生した、いわば「きょうだい」のような関係にある、ということです。
- 細胞の共通性: その証拠として、地球上の生物の細胞は皆、基本的な「同じ材料」(DNA、RNA、タンパク質、細胞膜など)でできており、基本的な機能(細胞分裂、代謝、遺伝情報の複製など)も共通しています。これは、LUCA(全生物最終共通祖先)が既にこれらの基本的な分子機構を備えていたことを示唆しています。
- 生命のつながり: この「細胞きょうだい」という概念は、人間と動物、そして地球上のすべての生命が、決してかけ離れた存在ではなく、深い「命のつながり」を持っていることを示しています。私たちは皆、遠い過去に共通の祖先を持つ「細胞きょうだい」である、という壮大な生命の歴史を表現しているのです。
NHKスペシャル「人体III」での表現
NHKスペシャル「人体III」では、この「細胞きょうだい」というテーマを、最新のバイオイメージング技術や高精細CGを駆使してビジュアル化し、視聴者に分かりやすく生命の壮大な物語を伝えています。生命の始まりから、細胞がどのように多様な生物へと進化し、私たちの体を作り上げているのかを、この「細胞きょうだい」というキーワードで描いています。
例えば、
- 約40億年前に一つの細胞が誕生し、それが分裂を繰り返して地球上の生命の多様性へと繋がったこと。
- 人間の体内にある約40兆もの細胞が、それぞれ異なる役割を持ちながらも、根本的には共通の起源を持つ「きょうだい」として協力し合って生命を維持していること。
などが、「細胞きょうだい」という視点を通して語られます。
「細胞きょうだい」は、科学的な概念を親しみやすい言葉で表現することで、生命の神秘と、私たち自身の体の中に秘められた驚くべきメカニズムへの理解を深めることを目的とした、番組の工夫と言えるでしょう。
キタシロサイ
キタシロサイは、シロサイの亜種の一つで、現在、事実上絶滅寸前の状態にあります。絶滅危惧種の象徴として、その保護と繁殖に向けた国際的な取り組みが続けられています。
基本情報
- 学名: Ceratotherium simum cottoni
- 分類: 哺乳綱ウマ目サイ科シロサイ属
- 特徴: シロサイはサイ科では最大種で、体長は335〜420cmにもなります。頭部には2本の角があり、吻端の角は最長で160cmに達することもあります。草食性で、平たい口が特徴です。視力は低いですが、聴覚と嗅覚に優れています。
- 生息地(かつて): アフリカ中央部、具体的にはウガンダ、チャド、スーダン、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国(旧ザイール)に広く生息していました。サバンナに生息し、数頭からなる小規模な群れを形成していました。
絶滅の危機に瀕した経緯
キタシロサイは、主に人間の活動によって数を激減させました。
- 密猟: 最も大きな原因は、角を目的とした大規模な密猟です。サイの角は、中国やベトナムなどで漢方薬の効能があると信じられていたり、中東では短剣の柄として珍重されたりするため、高値で取引されてきました。1970年代から1980年代にかけて密猟が激化し、個体数は急速に減少しました。
- 内戦と政情不安: 1990年代後半にコンゴ民主共和国(旧ザイール)で内戦が勃発すると、保護区の管理が行き届かなくなり、さらに密猟が横行しました。戦火が収まった後には、キタシロサイは野生ではほぼ姿を消してしまいました。
- 生息地の破壊: 農地開発や牧草地の拡大なども、生息地の減少に拍車をかけました。
2008年には野生個体の絶滅が確認され、その後は動物園で飼育されている個体のみとなりました。
現在の状況
2024年5月現在、地球上に生存しているキタシロサイは、メス2頭のみです。
- ナジン (Najin): 30歳代のメス。高齢のため繁殖プロジェクトからは引退しています。
- ファトゥ (Fatu): ナジンの娘で、10歳代のメス。現在も繁殖プロジェクトの中心となっています。
この2頭は、ケニアのオルペジェタ自然保護区で厳重な保護のもと飼育されています。
2018年3月には、最後のオスであった「スーダン」が45歳で死亡し、これにより自然繁殖でのキタシロサイの存続は不可能となりました。
絶滅回避に向けた取り組み
自然繁殖が不可能な状況下で、キタシロサイの絶滅を回避するため、国際的な科学者チームが最先端の生殖補助技術を駆使したプロジェクトを進めています。
- 体外受精(IVF):
- 残された2頭のメス(ファトゥ)から卵子を採取し、過去に冷凍保存されていたオスの精子(スーダンや他のオスのもの)を用いて体外受精を行い、受精卵を作成する試みが進められています。
- 2024年までに、複数の受精卵が作成され、冷凍保存されています。
- 代理母:
- キタシロサイの受精卵を、近縁種であるミナミシロサイのメスに移植し、代理出産させる計画が進められています。
- ミナミシロサイの代理母による出産成功例はまだありませんが、この手法が成功すれば、キタシロサイの個体数を増やす突破口となります。
- iPS細胞技術:
- 日本の大阪大学などの研究チームは、キタシロサイのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、精子や卵子の元となる「生殖細胞」を誘導することに成功しています。この技術が確立されれば、冷凍保存されているキタシロサイの細胞から新たな生殖細胞を作り出し、種の保全に貢献できる可能性があります。
キタシロサイの保護活動は、密猟や生息地の破壊といった人間の活動が動物の絶滅に直結する典型的な例として、野生生物保護の重要性を世界に訴え続けています。
始原生殖細胞
始原生殖細胞(しげんせいしょくさいぼう、Primordial Germ Cell; PGC)は、将来的に精子や卵子といった生殖細胞(配偶子)になる、その根本となる細胞を指します。発生のごく初期段階で、他の体細胞とは異なる特殊な運命をたどることが特徴です。
始原生殖細胞の主な特徴と役割
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生殖細胞の起源:
- 始原生殖細胞は、発生の非常に早い時期に、胚体内のごく一部の細胞から分化して生じます。
- その後、男性であれば精子、女性であれば卵子へと分化していきます。
- 女性の場合、始原生殖細胞は卵原細胞になり、その後卵母細胞を経て卵子に分化します。
- 男性の場合は、始原生殖細胞は精原細胞になり、精母細胞、精細胞を経て、精子に分化します。
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移動と生殖巣への定着:
- 始原生殖細胞は、胚の中で特定の場所(例えば、マウスでは胚体外胚葉)で発生した後、自ら動いて生殖巣(精巣や卵巣になる原基)へと移動します。この移動は、アメーバ運動のように周囲の細胞間をすり抜けながら行われます。
- 正しく生殖巣にたどり着くことが、その後の生殖細胞への分化と機能に不可欠です。
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分化の決定:
- 始原生殖細胞の時点では、まだ精子になるか卵になるかは決まっていません。
- 生殖巣に到達した後、性腺の環境(性ホルモンなど)からのシグナルを受け、性に応じて精子または卵子へと分化する方向性が決定されます。
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エピゲノムの初期化:
- 始原生殖細胞は、次の世代に遺伝情報を正確に伝えるために、非常に重要なエピゲノムのリプログラミング(初期化)を行います。エピゲノムとは、DNAの塩基配列は変えずに遺伝子の働きを調節するメカニズムのことです。この初期化によって、親から受け継いだエピゲノム情報がリセットされ、新たな生命を始めるための準備が整います。
研究と再生医療への応用
始原生殖細胞の研究は、生命の発生、生殖のメカニズムを理解する上で極めて重要です。近年では、iPS細胞(人工多能性幹細胞)研究の進展に伴い、以下の応用が期待されています。
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体外での生殖細胞作製:
- マウスやヒトのiPS細胞から、試験管内で始原生殖細胞様細胞(PGCLCs)を誘導し、さらに精子や卵子へと分化させる研究が進んでいます。
- これは、不妊治療の新たな選択肢となる可能性を秘めています。
- 例えば、京都大学の斎藤通紀教授らのグループは、ヒトiPS細胞から精子や卵子のもととなる細胞を大量に作製する技術を開発し、注目を集めています。
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絶滅危惧種の保全:
- キタシロサイの例でも触れましたが、絶滅危惧種の体細胞からiPS細胞を作り、そこから始原生殖細胞を経て、生殖細胞を人工的に作り出すことで、種の保存に貢献できる可能性があります。
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生殖細胞発生メカニズムの解明:
- 始原生殖細胞は、発生初期に数が非常に少ないため、研究が困難でしたが、iPS細胞からの誘導技術によって、この細胞の発生メカニズムや、生殖細胞が持つ特別な性質(遺伝的・分子的特性)をより詳細に解析することが可能になっています。
始原生殖細胞は、生命の連続性と多様性を支える、まさに「命のバトン」を次世代へつなぐ重要な細胞と言えるでしょう。
池江璃花子さん
池江璃花子さんは、日本の女子競泳選手です。
経歴
- 2000年7月4日、水中出産で生まれました。
- 3歳から水泳を始め、5歳で4泳法すべてで50メートルを泳げるようになりました。
- 江戸川区在住で、小岩第四中学校出身です。
- 2014年には50メートルおよび100メートル自由形で短水路中学記録を更新するなど、頭角を現し始めました。
- 2015年4月には、日本選手権女子50mバタフライで優勝し、中学生での日本選手権優勝は19年ぶりの快挙でした。
- 2016年、16歳でリオデジャネイロオリンピックに7種目に出場し、100mバタフライで5位に入賞しました。
- 2018年には日本選手権出場4種目で計6個の日本記録を更新し、一躍日本の競泳界を牽引する存在となりました。
- 現在は横浜ゴムに所属しています。
闘病と復帰
- 2019年2月12日、18歳の時に白血病を公表し、長期療養に入りました。
- 合併症が起きたために骨髄移植といった造血幹細胞移植を受けました。
- 約10ヶ月間の療養を経て退院し、2020年3月17日には406日ぶりにプールに入ることが許されました。
- 2020年8月には実戦復帰し、翌年の東京2020オリンピック出場を果たしました。
- 2024年9月25日には、急性リンパ性白血病の完全寛解を報告しています。
近年の活躍
- 東京2020オリンピック(2021年開催)に出場。
- 2024年のパリオリンピックには、女子100mバタフライで3大会連続となる個人種目でのオリンピック出場を果たしました。混合4×100mメドレーリレーでは8位、女子4×100mメドレーリレーでは5位となりました。
- 2028年に開催予定のロサンゼルスオリンピックを目標に掲げ、現在もトレーニングに励んでいます。
池江璃花子選手は、その競技成績だけでなく、病を乗り越えて再び世界の舞台で活躍する姿が、多くの人々に勇気を与え続けています。
米倉涼子さん
米倉涼子さんは、日本の女優であり、ファッションモデルです。
経歴
- 1975年8月1日生まれ、神奈川県横浜市出身です。
- 5歳から15年間、クラシックバレエを続けていました。
- 1992年、第6回全日本国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞しました。
- 翌年からファッション誌「CanCam」の専属モデルを務めました。
- 1999年に女優宣言し、テレビドラマ、映画、舞台、CMなど多岐にわたるジャンルで活躍しています。
- 2020年3月にオスカープロモーションを退所し、同年4月からは個人事務所「Desafio」に所属しています。
主な出演作品
- テレビドラマ:
- 『天気予報の恋人』
- 『ラブ・レボリューション』
- 『整形美人。』
- 『松本清張 黒革の手帖』
- 『交渉人〜THE NEGOTIATOR〜』
- 『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』シリーズ(第1位の人気を誇る代表作)
- 『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』
- 映画:
- 『交渉人 THE MOVIE タイムリミット 高度10000mの頭脳戦』
- 『櫻の園』
私生活・健康
- 2014年に結婚し、2016年に離婚しています。
- 2019年には「脳脊髄液減少症」を患っていることを公表しました。これにより、まっすぐ歩けなくなったり、だるさ、立ち上がれない、座っていることすらできないといった症状を経験したと語っています。車のライトが全部つながって見え、自分がどこにいるか分からなくなる感覚も伴ったそうです。
- 2022年には、「急性腰痛症及び仙腸関節障害による運動機能障害」により、ブロードウェイでのミュージカル『シカゴ』の出演を辞退しました。
米倉涼子さんは、その演技力と存在感で多くの作品で主演を務め、日本のエンターテインメント界で長年活躍し続けています。
#タモリ × #山中伸弥 でお届けする「 #人体 」最終章
— NHKスペシャル(日)夜9時 (@nhk_n_sp) May 19, 2025
第3集のゲストは #米倉涼子 さん #池江璃花子 さん
私たち“人間”と“地球上すべての生命”のつながりに迫る
人体Ⅲ 第3集
命のつながり 細胞40億年の旅
25(日)夜9時~[総合]
👇米倉さん、池江さんのコメントはこちらhttps://t.co/MDP59aXCV6