改めて紙の辞書の存在意義について📚【ドラマ10】舟を編む ~私、辞書つくります~(8)
改めて紙の辞書の存在意義について
こんにちは
猫好き父さんです
いろいろと考えさせてくれる
ドラマですね
猫好き父さんもダメ出しして
ドラマが終わらないように
したいです
しかし、終わりのないドラマはないし
終わるからこそ良いんだろうけど
あらすじ
デジタルとのセット販売が決まり、「大渡海」の編集作業も大詰め。みどり(池田エライザ)は馬締(野田洋次郎)に、歴代の編集者や松本先生(柴田恭兵)が集め続ける100万枚の用例採集カードが眠る資料室を案内され、その重みを実感する。宮本(矢本悠馬)と“究極の紙”作りに試行錯誤しながら2年の歳月が流れ、刊行はいよいよ来年2020年。最後の抄造テストをむかえる中、みどりはある重大な問題に気づいてしまう…
出演
【出演】池田エライザ,野田洋次郎,矢本悠馬,美村里江,渡辺真起子,前田旺志郎,堤真一,柄本時生,勝村政信,伊藤歩,岩松了,向井理,柴田恭兵、松田龍平
原作
【原作】三浦しをん,【脚本】蛭田直美
中型辞書作成の工程と期間
中型辞書の作成は、専門的な知識と多くの労力を要する複雑なプロジェクトです。辞書の規模や対象言語、参加する人数によって期間は大きく変動しますが、ここでは一般的な工程と目安の期間について解説します。
1. 企画・設計段階 (目安期間: 6ヶ月〜1年)
まず、どのような辞書を作るのかを詳細に決定します。これが辞書全体の品質と方向性を左右する最も重要なフェーズです。
対象読者の設定: 誰がこの辞書を使うのか(学生、専門家、一般の学習者など)。
収録語の選定: どのような言葉を何語収録するのか。単語、熟語、慣用句、専門用語の範囲を決めます。
用例・語釈のスタイル定義: どのような例文を載せるか、語釈(言葉の意味)をどのように記述するかといったルールを定めます。
編集方針の策定: 辞書全体の構成(見出し語の配列、付録など)やデザインの方向性を決めます。
2. データ収集・分析段階 (目安期間: 1年〜2年)
この段階では、実際に辞書に載せる言葉や用例を集めます。
コーパス(言語資料)の構築: 新聞、雑誌、書籍、インターネットなどから、膨大な量の言語データを集めてデータベース化します。これにより、言葉がどのように使われているかの傾向を分析します。
単語・語義の選定: コーパスの分析結果をもとに、実際に収録する見出し語やその意味(語義)を決定します。
用例の収集と整理: 信頼性の高い情報源から、選定した語句の用例を収集し、整理します。
3. 執筆・編集段階 (目安期間: 2年〜3年)
複数の執筆者が分担して、語釈や用例を書き上げていきます。
語釈の執筆: 専門の執筆者が、各見出し語の意味を、定義されたルールに従って正確かつ簡潔に記述します。
用例の作成・選定: 語釈を補う用例を作成、または収集した用例から適切なものを選びます。
編集作業: 執筆者が書いた原稿を、編集者が統一されたスタイルに整え、内容の正確性を確認します。
4. 校閲・校正段階 (目安期間: 1年〜2年)
執筆された原稿の誤りを徹底的にチェックします。
第一校: 初稿の誤字脱字、文法的な間違いなどをチェックします。
校閲: 内容の正確性や、語釈が適切であるかなどを専門家が確認します。
第二校・最終校: 複数回の校正を通して、すべての情報が正確であることを保証します。
5. 制作・印刷・出版段階 (目安期間: 6ヶ月〜1年)
完成した原稿を形にします。
DTP(デスクトップパブリッシング): 原稿を印刷用のレイアウトに組み上げます。
索引や付録の作成: 巻末の索引や付録などを作成し、本文と統合します。
印刷・製本: 印刷所で辞書を印刷し、製本します。
流通・販売: 完成した辞書を書店などに流通させ、販売を開始します。
これらの工程をすべて合わせると、中型辞書の作成には、およそ5年から8年ほどの期間が必要となります。これは、多くの専門家が関わり、膨大な情報の収集と厳密なチェックを繰り返すためです。
辞書作りのデジタル化
デジタル化は、従来の辞書作りの工程を根本から変え、効率と精度を飛躍的に向上させました。特に大きく変わった点を、工程ごとに見ていきましょう。
データの収集と分析(コーパス言語学の導入)
最も大きな変化は、この部分です。
従来: 新聞、雑誌、書籍など、限られた紙媒体から編集者が手作業で言葉や用例を収集し、分析していました。膨大な時間と労力がかかり、データ量にも限界がありました。
デジタル化後: **「コーパス言語学」**という手法が主流になりました。インターネット上のWebサイト、SNS、電子書籍など、膨大なデジタルテキストをコンピュータで自動的に収集・分析します。これにより、言葉が実際にどのように使われているかを、より大規模かつ正確に把握できるようになりました。新しい言葉や流行語の出現も、迅速に検知できます。
執筆と編集(共同作業の効率化)
編集者や執筆者の作業環境も大きく進化しました。
従来: 執筆者が各自で作成した原稿を、編集者が紙ベースで確認し、修正していました。物理的なやりとりが多く、情報の共有や進捗管理に時間がかかっていました。
デジタル化後: 複数の執筆者や編集者が、クラウドベースの共同編集システムを使って、リアルタイムで作業を進められるようになりました。原稿の修正履歴が残り、内容の整合性を保ちやすくなったため、作業効率が大幅に向上しました。
校閲・校正(自動化と精密化)
ミスの発見プロセスも、より高度になっています。
従来: 校閲者と校正者が、ゲラ刷り(試し刷り)を何度も見比べて、誤字脱字や内容の誤りを手作業でチェックしていました。
デジタル化後: 執筆段階からスペルチェックや文法チェックの自動化が進みました。さらに、データベース全体での表記揺れ(例:「コンピュータ」と「コンピューター」)を一括で検出・修正することも可能です。
成果物の多様化(紙からデジタルへ)
完成品の形態も大きく変化しました。
従来: 最終的な成果物は、印刷・製本された**「紙の辞書」**のみでした。
デジタル化後: 印刷用データから、電子辞書、オンライン辞書、スマートフォンアプリなど、多様なデジタル製品を同時に作成できるようになりました。これにより、ユーザーは場所やデバイスを選ばずに辞書を利用できるようになりました。
これらの変化により、辞書作成の全工程がスピードアップし、より正確な情報をより迅速に、多様な形でユーザーに届けられるようになっています。
紙の辞書は残っていくのか?
デジタル化が急速に進む現代において、紙の辞書は利便性や検索速度ではデジタルに敵いません。しかし、それらが提供できない独自の価値を持つため、完全に消えることはないでしょう。
紙の辞書が残る理由
紙の辞書には、デジタル版にはない強みがあります。
偶発的な学び(セレンディピティ): ページをめくる過程で、目的の単語の周辺にある言葉や例文が自然と目に入ります。この「偶然の出会い」が、知らず知らずのうちに語彙を広げ、言葉の体系的な理解を深めることにつながります。
学習の記録と達成感: 実際に線を引いたり、書き込みをしたりすることで、学習の足跡が目に見える形で残ります。使い込まれてボロボロになった辞書は、これまでの努力の証となり、達成感や自信を与えてくれます。
権威性と信頼性: じっくりと編集・校正された紙の辞書は、安易な情報が氾濫するインターネット上とは異なり、権威ある情報源として多くの人々に信頼されています。
電源不要の安定性: 電池切れや通信環境に左右されることなく、いつでもどこでも使えるというアナログならではの利点があります。
役割の変化
今後は、紙の辞書は「万能の検索ツール」という役割から、より**「学習のための道具」や「文化的な存在」**としての役割へとシフトしていくでしょう。
専門性の高い辞書: 広辞苑のような網羅的なものや、語源辞典、類語辞典といった専門性の高い辞書は、深く言葉を掘り下げて学びたい人にとって不可欠な存在であり続けます。
鑑賞物・コレクション: 美しい装丁やデザインの辞書は、本そのものが持つ魅力として、所有する喜びや贈答品としての価値が高まります。
結論として、手軽な検索はデジタルに任せ、紙の辞書は「じっくりと学びたい」「言葉と向き合いたい」というニーズに応える特別な存在として、今後も私たちの生活に残り続けるでしょう。
📚今夜10時!
— NHKドラマ (@nhk_dramas) August 4, 2025
ドラマ10【#舟を編む】
みどりの目線で織りなすドラマ版に、映画版で馬締を演じた #松田龍平 さんが"山目満治"役でご出演✨
どんなキャラクターか放送をお楽しみに!
同時・見逃し配信はこちら🔻https://t.co/tQ5kJiHZce pic.twitter.com/DfHZSQM5It
前回までの舟を編む
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