世界はほしいモノにあふれてる「“小さな宝物”ボタンを探す旅」🔘6/4 (水) 14:51 ~ 15:36
“小さな宝物”ボタンを探す旅
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内容
「ボタン」が秘めた奥深い世界へ!ボタン専門店のバイヤーが、心ときめくボタンを求めてフランスと中東を旅する。パリでは、伝説のデザイナーのオートクチュールやスパイが愛した“危険なボタン”など、まさかの逸品に次々遭遇。さらなる憧れのボタンを求めて、旅はパレスチナ暫定自治区のベツレヘムへ。イエス・キリスト生誕の地で、密かに守られてきた「祈りのボタン」に息をのむ。
出演
【出演】三浦春馬,JUJU,ボタン専門店店主…小坂直子,【語り】神尾晋一郎
ベツレヘム
ベツレヘムは、中東のパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区南部にある都市で、キリスト教徒にとって非常に重要な聖地です。エルサレムの南約10kmに位置し、標高約775mの丘陵地帯にあります。
歴史的・宗教的意義
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イエス・キリスト生誕の地:
ベツレヘムが最もよく知られているのは、新約聖書においてイエス・キリストが生まれた場所とされているためです。ルカによる福音書やマタイによる福音書にその記述があります。この伝承に基づき、イエスが生まれたとされる洞窟の上に、**聖誕教会(降誕教会)**が建てられています。この教会は、現存するキリスト教の教会の中でも世界最古級の一つとされ、2012年には「イエス生誕の地:ベツレヘムの聖誕教会と巡礼路」としてユネスコ世界遺産に登録されました。
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ダビデ王の町:
ヘブライ語聖書(旧約聖書)では、「ダビデの町」として言及されています。古代イスラエル統一王国の第2代王であるダビデがここで生まれ、羊飼いとして育ったとされています。
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地名の由来:
ベツレヘムという地名はヘブライ語で「パンの家」を意味し、古くから穀物の産地であったことを示唆しています。アラビア語では「バイト・ラフム」と呼ばれます。
現在のベツレヘム
- パレスチナ自治区: 現在はパレスチナ自治政府が管轄するヨルダン川西岸地区に属しています。イスラエルとの間には検問所が設けられており、両地域の移動には制限があります。
- 経済: 主に観光業に依存しており、特にクリスマスシーズンには世界中から多くのキリスト教巡礼者や観光客が訪れます。
- キリスト教共同体: 世界最古のキリスト教共同体が存在しましたが、紛争や経済的な理由から移住が進み、その規模は縮小しています。
- 政治状況: パレスチナ自治政府の行政の中心地の一つであり、市民はパレスチナのアイデンティティを強く持っています。一方で、周辺にはイスラエル人入植地も存在し、政治的な緊張が続く地域でもあります。
- 近年の状況: 近年のイスラエル・ガザ間の紛争の影響はベツレヘムにも及び、特にクリスマスなどの祝祭行事が中止されるなど、観光業は深刻な打撃を受けています。
聖誕教会(降誕教会)
- 構造: イエスが生まれたとされる洞窟(降誕の洞窟)の上に建てられた教会で、現在の建物は6世紀に再建されたものです。
- 入口: 敵の侵入を防ぐため、「謙虚の門」と呼ばれる非常に小さな入口(かがまないと通れないほど低い)が特徴的です。
- 内部: 薄暗い内部には金属製のランプが多数吊るされ、厳かな雰囲気が漂います。地下に降りると、イエスが誕生したとされる場所を示す星が埋め込まれた場所や、飼い葉桶の跡とされる場所を見ることができます。
ベツレヘムは、その宗教的な重要性から、長年にわたり多くの人々の信仰と歴史の中心となってきた特別な場所です。
祈りのボタン
ベツレヘムパールとしての「祈りのボタン」は、単なる衣料品の付属品という以上の、深い歴史と精神的な意味合いを持つ工芸品です。
歴史と起源
ベツレヘムパールは、キリスト生誕の地であるパレスチナ自治区のベツレヘムで、15世紀頃からキリスト教徒によって受け継がれてきた伝統的な貝細工です。この技術は、フランシスコ会の修道士によってこの地に伝えられたとされています。
当時の巡礼者たちは、聖地ベツレヘムを訪れた証として、また聖地からの特別な贈り物やお守りとして、これらの貝細工を持ち帰りました。ボタンは、その小ささと携帯性から、特に人気のある品目の一つでした。職人たちは、信仰心を込めて一つ一つ手作業でこれらの品を作り上げてきたため、それが「祈りのボタン」と呼ばれる所以となっています。
かつては300以上もの工房があったとされますが、現在は職人の減少や政治情勢の影響を受け、その数は限られています。
特徴と製作方法
- 素材: 主に「マザーオブパール」と呼ばれる**白蝶貝(しらちょうがい)**が用いられます。この貝は、真珠の母貝であり、その内側は真珠のような美しい光沢と虹色の輝きを放ちます。
- 繊細な透かし彫り: ベツレヘムパールの最大の特徴は、その繊細な透かし彫りです。白蝶貝に小さく開けた穴に糸鋸を通して、職人がフリーハンドで一つ一つ丁寧にカットして模様を形作ります。この手作業は、高い技術と長年の経験を要するものです。
- モチーフ: 聖書に登場するモチーフが多く用いられます。
- ベツレヘムの星: イエス・キリストの誕生を告げた星であり、ベツレヘムのシンボルでもあります。
- 鳩: 平和の象徴。
- 花: ユリ(純潔)、バラ(愛)など、キリスト教において象徴的な意味を持つ花々。
- キリスト教的なシンボル: 十字架や聖人の図像なども見られます。
- 幾何学模様やアラベスク調の模様も彫り込まれることがあります。
- 用途: 当初は巡礼者のための記念品や、教会で用いられる聖具の一部として作られました。ボタンの他にも、ロザリオ、ブローチ、ネックレス、イヤリング、写真立て、教会のミニチュア模型など、様々な装飾品や日用品に加工されました。
- 「祈り」の意味合い: 職人たちは、祈りを捧げながら、聖地を訪れる人々や、その品を手にする人々の幸福を願って製作してきました。この精神性が、単なる工芸品を超えた「祈りのボタン」としての価値を与えています。
現代における価値
ベツレヘムパールは、その希少性と美しさ、そして深い歴史的・精神的な背景から、現在でも高い価値を持つ工芸品として知られています。アンティークのベツレヘムパールは特に珍重され、コレクターの間でも人気があります。また、現代の職人たちも、厳しい状況の中で伝統の技術を守り、新しい作品を創造し続けています。
日本のボタン専門店やセレクトショップなどで、その歴史的背景とともに「祈りのボタン」として紹介されることもあり、多くの人々がその美しさと物語に魅了されています。