MRIの緊急消磁(クエンチ)は再稼働に高額な費用がかかる💰天久鷹央の推理カルテ #7 【過去最高難度!天才ドクターVS恩師殺人事件の謎】
あらすじ
天才医師・天久鷹央(橋本環奈)の恩師である御子神氷魚(賀来千香子)が、密室のカルテ庫で謎の死を遂げた。氷魚から生前“ある人物に殺される可能性”を打ち明けられ、謎解きを託されていた鷹央は、氷魚の姪・鮎奈(内田理央)の協力を得て独自調査を開始。しかし、恩師からの最後の挑戦状は混迷を極め、必死で頭を悩ませる鷹央。「私は探偵失格、いや医師失格だ」−鷹央の前に、難攻不落…かつてない最大の壁が立ちはだかる!!
出演
橋本環奈、三浦翔平、畑芽育、平山浩行・佐々木希・高島礼子、柳葉敏郎 【ゲスト】賀来千香子、内田理央、梶原善
知念実希人『天久鷹央の推理カルテ』(実業之日本社文庫刊)
音楽
【音楽】得田真裕 【主題歌】Da-iCE『Black and White』(avex trax) 【オープニングテーマ】CROWN HEAD『Hidden』(ユニバーサルミュージック/Virgin Music)
氷魚(ひうお、ひお)
アユの稚魚である「氷魚(ひうお、ひお)」は、その透明な姿と独特の風味から、特に琵琶湖周辺で冬の味覚として親しまれています。
生態と特徴
- 姿: 体長は2~6cm程度で、体が氷のように透き通っていることから「氷魚」と呼ばれます。孵化直後は特に色素が少なく、半透明な姿をしています。成長とともにウロコができ、体型も変化し、5月頃には「小鮎(コアユ)」と呼ばれるようになります。
- アユのライフサイクル: アユは秋に川で産卵し、孵化した仔魚はすぐに川を下り、通常は海で半年ほど生活します。その後、春になると再び川を遡上(そじょう)して淡水で成長し、夏には「香魚」として知られる成魚になります。
- 琵琶湖のアユ(陸封型アユ): しかし、琵琶湖のアユは、川で孵化した後、海へ下らずにそのまま琵琶湖内で成長するという特殊な生態を持っています。このため、琵琶湖ではアユの仔稚魚を捕らえることが可能であり、「氷魚」という滋賀県固有の呼び名が生まれ、古くから漁が行われてきました。
- 水温への適応: 仔稚アユは、成長するにつれて低い水温を好む性質があります。河口域や冷たい河水が混ざる汽水域に集まるのは、この性質が関係していると考えられています。
- 遡上行動: 稚アユは昼間、特に夕刻に活発に遡上行動(川を上る行動)をとることが知られています。
漁獲と旬
- 漁期: 琵琶湖での氷魚漁は、主に12月から3月頃まで行われます。特に1月上旬から全面解禁となり、春の訪れを告げる味覚として親しまれます。
- 漁法: 琵琶湖の伝統漁法である「エリ漁(魞漁)」で主に捕獲されます。これは、琵琶湖の中に矢印型に網を設置し、魚が行き止まりに誘導されて捕まる習性を利用した持続可能な漁法です。その他、沖合のツボ状の網をたぐる「エリ汲み」という独特の漁法も行われます。
食べ方
氷魚は、その繊細な風味と食感を楽しむために、シンプルな調理法が好まれます。
- 釜揚げ: 最も一般的な食べ方です。しらすのように塩茹でにすると、透き通っていた身が白くなり、しっとりとしてなめらかな舌触りになります。ほんのりとしたアユ特有の香りと、程よい苦味が特徴で、ポン酢醤油や大根おろしで食べると絶品です。
- かき揚げ: 野菜などと一緒に衣をつけて揚げるかき揚げも人気です。
- 佃煮: 甘辛く煮詰めて保存食にする佃煮も作られます。
- 踊り食い: ごく新鮮なものは、熱湯にくぐらせて二杯酢などで踊り食いをすることもあったそうですが、現在では漁獲量が減少し、食用として流通することが少なくなったため、珍しい食べ方となっています。
現状
近年、琵琶湖のアユ漁獲量は減少傾向にあり、氷魚も以前よりは漁獲量が減っています。そのため、貴重な水産資源として、資源保護の取り組みも行われています。一部の氷魚は食用として流通するほか、全国各地の河川に放流されるアユの稚魚(アユ苗)としても利用されています。
氷魚は、琵琶湖という特殊な環境で育まれる、冬限定の繊細で奥深い味わいを持つ特別な食材です。
知奴(チヌ)
「知奴」と書いて「チヌ」と読む魚は、一般的にはクロダイのことを指します。特に西日本で「チヌ」という呼び名が広く使われています。
クロダイ(チヌ)の基本情報
- 分類: スズキ目タイ科クロダイ属に分類される魚の一種です。
- 学名: Acanthopagrus schlegelii
- 地方名:
- 関東では「クロダイ」
- 関西から西日本では「チヌ」
- その他、「カイズ」(若魚)、「チンチン」(幼魚)、「オオグロ」など、地域によって50を超える地方名があります。
- 分布: 北海道から九州までの日本の沿岸域に広く生息しており、朝鮮半島、中国大陸沿岸、台湾など東アジアの沿岸域にも分布します。
- 生息環境: 沿岸の比較的浅い水域を好み、内湾の砂泥底、岩礁帯、河口域、さらには汽水域や淡水域にも入り込むことがあります。
クロダイ(チヌ)の特徴
- 体色と形態: 体高があり、マダイに似た扁平な楕円形の体形をしています。体色は銀色に光沢のある灰色で、背中やヒレは黒灰色を帯びています。若魚には不明瞭な縦縞が見られることがありますが、成長すると目立たなくなります。エラブタの上部に黒い斑点があるのが特徴です。
- サイズ: 成魚は平均で30~50cm程度ですが、60cmを超える大物も存在します。寿命は10年以上、時には20年にも及ぶことがあります。
- 食性: 非常に雑食性が強く、エビ、カニ、貝類、ゴカイ、小魚などの動物性の餌のほか、海藻やスイカ、トウモロコシなど植物性の餌も食べます。この雑食性が、釣り人にとっては様々なエサで狙える魅力となっています。
- 性転換: 面白い生態として、クロダイは性転換する魚です。1〜2歳まではオスですが、3歳頃になるとメスが現れ、その後は雌雄半数ずつになると言われています。
- 適応能力: 水温の変化に対する適応能力が高く、5℃から30℃という幅広い水温で生息可能です。このため、年間を通して釣りの対象となります。
- 漁獲方法: ごち網、一本釣り、小型定置網、刺網漁法などで漁獲されます。
食味と食べ方
クロダイは、真鯛(マダイ)と比較されることが多い魚ですが、その食味は生息環境や個体差によって大きく異なります。
- 旬: 旬は地域によって多少異なりますが、一般的には秋から冬にかけて脂が乗って美味しいとされます。特に冬場のクロダイは、身が締まっていて美味とされています。
- 身質: 透明感のある白身で、血合いは赤みを帯びています。マダイに比べて身に水分が多く、歯ごたえは柔らかめですが、熱を通しても硬くなりにくい特徴があります。
- 臭み: 沿岸の汚れた環境にいる個体や、捕獲後の処理が悪いと、独特の磯臭さや泥臭さがあることがあります。しかし、きれいな海域で獲れた新鮮な個体や、適切な下処理(血抜き、内臓除去)を施されたものは、風味と旨味が豊かで非常に美味しい魚です。
- おすすめの食べ方:
- 刺身: 臭みがなければ、活き締めしてしっかりと血抜き・熟成させたものは、透明感のある白身で美味です。カルパッチョや昆布締めもおすすめです。
- 塩焼き: 身の旨味が凝縮され、定番の食べ方です。
- 煮付け: 甘辛いタレで煮付けると、ご飯が進む一品になります。
- ポワレ/ムニエル: 洋風の調理法でも美味しくいただけます。
- 鍋物: 身が熱を通しても硬くなりにくいので、鍋物にも適しています。
- チヌ飯: 西日本、特に瀬戸内海などでは、クロダイを使った炊き込みご飯「チヌ飯」が漁師料理として有名です。
クロダイは、釣り人からも非常に人気の高い魚であり、その引きの強さや食味の良さから、長年多くの人々に親しまれています。
塞栓剤(そくせんざい)
塞栓剤(そくせんざい)とは、医療現場で血管や臓器への血流を意図的に遮断するために用いられる物質の総称です。主に「塞栓術(そくせんじゅつ)」と呼ばれる血管内治療で使用されます。
塞栓術とは
塞栓術は、カテーテル(非常に細い管)を血管内に挿入し、目的の部位(例えば、腫瘍に栄養を送る血管や出血している血管など)まで進め、そこに塞栓剤を注入して血流を遮断する治療法です。
主な目的:
- 腫瘍への栄養供給の遮断(兵糧攻め): 癌などの腫瘍は、その成長のために多くの血液を必要とします。腫瘍に血液を供給する血管を塞ぐことで、腫瘍への栄養や酸素の供給を止め、腫瘍を壊死させたり、縮小させたりします。肝細胞癌に対する「肝動脈化学塞栓療法(TACE)」が代表例です。
- 出血の止血: 外傷による出血、消化管出血、喀血(かっけつ)、産科出血など、止血が難しい出血に対して、出血している血管を塞栓剤で塞ぐことで、出血を止めます。
- 血管奇形や動脈瘤の治療: 脳動静脈奇形や静脈奇形、動脈瘤など、異常な血管構造を閉塞させることで、症状の改善や破裂の予防を図ります。
- 過剰な機能の抑制: 脾臓の機能が亢進している場合などに、脾臓を栄養する動脈の一部を塞栓することで、脾臓の機能を抑制し、症状の改善を図ることもあります。
塞栓剤の種類
塞栓剤には、その効果の持続時間や物質の種類によって様々なタイプがあり、治療目的や部位、血管の状態に応じて使い分けられます。
1. 一時的塞栓物質
- ゼラチンスポンジ: 医療用ゼラチンでできたスポンジ状の物質で、血液を凝固させる働きがあります。一般的に広く用いられ、数週間で体内に吸収されるため、一時的な血流遮断に用いられます。
- 例:肝癌破裂、外傷、上部消化管出血など。
- リピオドール: 油性の造影剤で、抗がん剤と混ぜて使用されることが多いです。腫瘍内の血管にとどまりやすく、抗がん剤の効果を高める目的で肝癌の治療によく用いられます。日本では血管内投与が禁忌とされている場合もありますが、臨床現場では広く使用されています。
- 微小デンプン球(スフェレックスなど): デンプンをもとに作られた微小粒子で、血中アミラーゼによって分解されるため、約30分~1時間程度の短時間で効果が消失します。
2. 永久的塞栓物質
- 金属コイル(プラチナコイルなど): プラチナやステンレス製の細いコイルで、血管内で展開して血栓を形成し、血管を永久的に閉塞させます。動脈瘤や動脈性出血の止血、血管奇形の治療に用いられます。合成繊維が付着しているものもあります。
- 液体塞栓物質:
- NBCA(n-ブチル-2-シアノアクリレート、商品名ヒストアクリルなど): いわゆる医療用「瞬間接着剤」に近い性質を持つ液体で、血液と接触すると瞬時に固まり、血管を永久的に閉塞させます。脳動静脈奇形や動脈瘤、外傷による出血など、より精密な塞栓が必要な場合に用いられます。
- エタノール(エタノールアミンオレイン酸塩など): 血管の内膜に炎症を起こさせ、血管を閉塞させる効果があります。血管奇形や腎癌などに用いられることがあります。
- ONYX(オニキス): 脳動静脈奇形に対する塞栓物質として承認されている液体塞栓剤です。
- プラスチック粒子(エンボスフィアなど): 均一な粒子の形状をした非吸収性の物質で、多血性腫瘍や動静脈奇形などに用いられます。血管内を転がり、目的の深さで塞栓されます。
治療のプロセス(一般的な例)
- カテーテル挿入: 主に足の付け根(大腿動脈)から細いカテーテルを挿入します。
- 目的部位への誘導: X線透視装置などを用いて、カテーテルを目的の血管まで慎重に進めます。
- 造影と確認: 造影剤を注入して血管の形状や血流、病変の場所を正確に確認します。
- 塞栓剤の注入: 確認した血管に、適切な塞栓剤を注入します。必要に応じて抗がん剤などを同時に注入することもあります。
- 効果の確認と終了: 塞栓が成功し、血流が遮断されたことを確認した後、カテーテルを抜いて止血します。
副作用と注意点
塞栓術は低侵襲な治療ですが、以下のような副作用や合併症が起こる可能性があります。
- 発熱、痛み、吐き気: 治療後に一時的に起こることがあります。
- 肝機能や腎機能の一時的な悪化: 特に肝臓や腎臓の治療の場合に起こることがあります。
- 非標的部位への塞栓: 目的以外の血管に塞栓剤が流れてしまうと、予期せぬ臓器に障害が起こる可能性があります。
- 血栓症: 治療に伴って血栓(血の塊)ができるリスクがあります。
塞栓術は、様々な疾患に対して有効な治療法であり、塞栓剤の種類や手技も進化を続けています。
ペースメーカー
ペースメーカーは、心臓の電気的な活動を助け、脈拍を正常に保つための医療機器です。主に、心臓の脈が遅くなる「徐脈性不整脈」の治療に用いられます。
ペースメーカーの仕組み
ペースメーカーは、大きく分けて以下の2つの部分で構成されています。
- 本体(パルスジェネレーター):
- 鎖骨の下の皮下(通常は利き腕の反対側)に埋め込まれる、約20~30gの小さな金属製(チタン製など)の機器です。
- 内部には、電気回路(心臓の電気活動を監視し、必要に応じて電気パルスを生成する制御装置)と、長時間の作動を維持するための小型電池が内蔵されています。電池の寿命は、使用状況や種類にもよりますが、通常5~10年程度です。
- リード(電極):
- 本体から伸びる細い電線で、静脈を通して心臓内に挿入され、先端が心臓の壁(心房や心室)に固定されます。
- 心臓の電気信号を本体に送り返し、また本体で生成された電気パルスを心臓に伝える役割を担っています。リードの本数は、治療する不整脈の種類によって1本(シングルチャンバー)または2本(デュアルチャンバー)が一般的です。
働き:
ペースメーカーは、心臓の動きを24時間監視しています。
- もし心臓が正常な電気信号を出していれば、ペースメーカーは作動しません。
- しかし、心臓の脈が遅くなったり、止まってしまったりすると(徐脈を検出すると)、ごく弱い電気刺激を心臓に送り、心臓を収縮させて脈拍を正常なリズムに戻します。
ペースメーカーの適応となる主な症状・疾患
以下のような徐脈性不整脈が、ペースメーカーの適応となります。
- 洞不全症候群: 心臓の自然なペースメーカーである洞結節の機能が低下し、脈拍が極端に遅くなったり、一時的に停止したりする状態。
- 房室ブロック: 心房から心室への電気信号の伝達が妨げられることで、心室の収縮が遅くなったり、途切れたりする状態。
- その他: めまい、ふらつき、失神、息切れなどの徐脈による症状がある場合に検討されます。
ペースメーカーの種類
大きく分けて、以下の種類があります。
- 経静脈リード型: 最も一般的なタイプで、上記の通り、鎖骨下の皮下に本体を埋め込み、リードを静脈を通して心臓内に留置します。
- リードレスペースメーカー: 2017年に日本で承認された比較的新しいタイプです。本体とリードが一体化しており、カテーテルを用いて直接心臓の右心室内に留置するため、体表に本体の膨らみがなく、リードの断線や感染のリスクが低いとされています。
- 皮下植込み型除細動器(S-ICD): ペースメーカーとは異なりますが、重篤な頻脈性不整脈(心室頻拍、心室細動)による突然死のリスクがある患者さんに植え込まれる機器です。本体を左側胸部に、リードを皮下を通して心臓の前に留置し、必要に応じて電気ショックを与えます。徐脈に対するペーシング機能は通常ありません。
- 両心室ペースメーカー(CRT-P)/両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D): 重症心不全の患者さんに対して、心臓の両心室を同時に刺激することで、心臓のポンプ機能を改善させることを目的とした機器です。
植え込み手術と入院期間
- 手術: 局所麻酔または全身麻酔下で行われます。通常、鎖骨の下を4~5cm程度切開し、皮膚と筋肉の間に本体を埋め込み、リードを静脈から心臓に留置します。手術時間は1~2時間程度です。
- 入院期間: 一般的に約1週間程度です。術後は、植え込み部位の安静と、ペースメーカーの動作確認が行われます。
日常生活での注意点と過ごし方
ペースメーカー植え込み後は、基本的に通常の生活を送ることができますが、いくつかの注意点があります。
- 電磁波への注意: ペースメーカーは弱い電気信号を扱っているため、強い電磁波の影響を受ける可能性があります。
- 携帯電話: ペースメーカーの植え込み部位から15cm以上離し、反対側の耳で使うように推奨されます。
- IH調理器、IH炊飯器: 使用中にペースメーカーに密着させなければ通常は問題ありません。
- 電子レンジ、テレビ、パソコンなど: 通常の使用では問題ありません。
- 電気治療器(低周波治療器、高周波治療器など)、電気風呂: 使用は避けるべきです。
- 溶接機、高圧線、発電施設、レーダー基地など: 強い電磁波が発生する場所には近づかないようにしましょう。
- MRI検査: 以前はペースメーカー装着者はMRI検査を受けることができませんでしたが、現在は**「条件付きMRI対応ペースメーカー」**が増えており、特定の条件下でMRI検査が可能です。ただし、検査前に必ず医師に確認し、ペースメーカー手帳を提示する必要があります。
- 空港の保安検査: 金属探知機に反応する場合があります。事前に係員にペースメーカー手帳を提示し、装着していることを伝えましょう。手動検査を求められることもあります。
- 運動・仕事: 植え込み部位を強くぶつけたり、リードが損傷する可能性のある激しい運動や作業(ぶら下がり健康器、腕を激しく動かす作業など)は、医師に相談が必要です。
- 定期検診: ペースメーカーの機能や電池の残量を確認するため、定期的な外来受診(数ヶ月~半年に一度程度)が必要です。
費用
ペースメーカーの植え込み手術は、高額療養費制度の対象となるため、自己負担額には上限があります。機器の種類や手術内容にもよりますが、3割負担の場合で数十万円(高額療養費制度適用前は100万円以上)かかることが多いです。電池交換の手術費用も同様です。
ペースメーカーは、不整脈によって低下した生活の質を改善し、患者さんが安全で快適な生活を送るために非常に重要な医療機器です。
くも膜下出血
くも膜下出血は、脳卒中の一種であり、脳を覆う膜の一つである「くも膜」の下に出血が起こる非常に重篤な病気です。そのほとんど(8割〜9割)は、脳の血管にできた「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」というコブが破裂することで発症します。
くも膜下出血の症状
くも膜下出血は突然発症し、特徴的な症状がいくつかあります。
- 激しい頭痛: 最も典型的な症状で、「バットやカナヅチで殴られたような」「これまでに経験したことのない」と表現されるほどの突然の激しい頭痛が数秒以内にピークに達します。この頭痛は「雷鳴頭痛」とも呼ばれます。
- 意識障害: 頭痛とともに、意識がもうろうとしたり、意識を失って倒れたりすることがあります。
- 嘔吐・吐き気: 強い頭痛に伴って嘔吐や吐き気が出ることが多いです。
- 項部硬直: 首の後ろが硬くなり、前かがみに曲げることが難しくなります。これは出血によって脳を覆う髄膜が刺激されるために起こります。
- 目の症状: 目の痛み、複視(ものが二重に見える)、かすみ目などが見られることもあります。
- けいれん発作: 稀にけいれん発作を起こすこともあります。
注意点:
出血量が少ない場合、頭痛が比較的軽度で我慢できる程度であることもあり、診断が遅れるケースもあります。しかし、少しでも「いつもと違う、経験したことのない激しい頭痛」を感じたら、すぐに救急車を呼ぶなどして医療機関を受診することが極めて重要です。
くも膜下出血の原因
- 脳動脈瘤の破裂: 最も多い原因(約85%)は、脳の血管にできた脳動脈瘤の破裂です。脳動脈瘤は、血管の分岐部など血管の弱い部分にできやすい傾向があります。脳動脈瘤ができる詳しい原因は不明ですが、先天的なものに、高血圧や動脈硬化、喫煙、過度の飲酒、家族歴などが加わって発生・成長すると考えられています。
- その他: 脳動静脈奇形や脳動脈解離、もやもや病など、脳動脈瘤以外の原因で起こることもあります。
くも膜下出血の治療法
くも膜下出血は、破裂した脳動脈瘤を放置しておくと、ほぼ確実に再出血を起こし、再出血は初回出血よりも予後がさらに悪くなるため、発症後できるだけ早く再出血を予防するための治療を行うことが重要です。
主な治療法は以下の2つです。
-
開頭クリッピング術(外科手術)
- 方法: 頭皮を切開し、頭蓋骨の一部を一時的に取り外し(開頭)、脳の隙間を通って破裂した脳動脈瘤に到達します。そして、動脈瘤の根元(頸部)をチタン製の小さな金属クリップで挟み、血液が動脈瘤に入り込まないようにして、破裂を防ぎます。
- 特徴: 術野を直接見て行うため、確実性が高く、同じ部分からの再出血のリスクは低いとされています。ただし、開頭するため侵襲性が高く、脳深部に位置する動脈瘤や、高齢者や重症な患者さんには負担が大きい場合があります。
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血管内コイル塞栓術(カテーテル治療)
- 方法: 主に太ももの付け根(大腿動脈)から細いカテーテルを挿入し、血管の中から脳動脈瘤まで慎重に誘導します。動脈瘤に到達したら、その中にプラチナ製の非常に柔らかいコイルを詰めて、動脈瘤を内側から塞いで血液の流れを遮断し、破裂を防ぎます。
- 特徴: 開頭手術に比べて体への負担が少ない(低侵襲性)ため、入院期間が短く、回復も比較的早い傾向があります。ただし、動脈瘤の形や場所によっては適用できない場合もあります。再出血予防効果はクリッピング術と同等とされていますが、動脈瘤の形状や血管の状況によっては、追加の治療が必要になる場合もあります。
急性期の管理とその他の治療
破裂した脳動脈瘤への処置に加え、以下の管理や治療も同時に行われます。
- 血圧管理: 再出血のリスクを減らすため、厳密な血圧管理が行われます。
- 鎮静・鎮痛: 患者さんの興奮や痛みを抑え、血圧の急激な変動を防ぎます。
- 脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく)の予防と治療: くも膜下出血後、数日~数週間後に脳の血管が収縮し、脳への血流が一時的に悪くなる合併症(脳血管攣縮)が起こることがあります。これは脳梗塞を引き起こす原因となるため、これを予防・治療する薬剤投与や、場合によっては血管を広げる治療(血管拡張術)が行われます。
- 水頭症の治療: 出血によって脳を循環する髄液の通り道が詰まり、髄液が脳室にたまって脳を圧迫する「水頭症」が起こることがあります。その場合は、脳室内にチューブを挿入して髄液を排出する手術(脳室ドレナージ術やシャント術)が必要となることがあります。
- リハビリテーション: 脳へのダメージによって、麻痺、言語障害、高次脳機能障害(記憶力低下、集中力低下など)などの後遺症が残ることがあります。これらの後遺症に対し、早期から集中的なリハビリテーションが行われます。
くも膜下出血は、発症すると死亡率が非常に高く(30~50%)、命が助かっても約半数に何らかの後遺症が残るとされる重篤な病気です。そのため、早期診断と迅速な治療が患者さんの予後を大きく左右します。
MRI(エムアールアイ)
MRI(エムアールアイ)は「Magnetic Resonance Imaging」の略で、「磁気共鳴画像」と訳されます。強力な磁石と電波を使って、体の内部の様子を画像化する検査です。X線を使用しないため、放射線被ばくの心配がないのが大きな特徴です。
MRIの仕組み
MRIの原理は、体内の水素原子を利用することにあります。
- 強力な磁場: まず、強力な磁場を発生させるトンネル状の装置の中に体を入れます。この磁場によって、体内の水分に含まれる水素原子の原子核(プロトン)が一定の方向に並びます。
- 電波の照射: 次に、体外からFMラジオなどで使われているような特定の周波数の電波を短時間照射します。すると、整列していた水素原子の原子核が電波のエネルギーを吸収して共鳴し、一時的に並びが乱れます。
- 信号の検出と画像化: 電波の照射を止めると、エネルギーを吸収した水素原子の原子核は元の状態に戻ろうとします。この際に、吸収したエネルギーを電波として放出します。この非常に微弱な電波をMRI装置が受信し、コンピューターで解析して画像にします。
- 組織の違い: 水素原子の量や、組織の種類(水分の量、脂肪の量など)によって、電波の放出の仕方が異なるため、その違いを画像として表現することで、さまざまな組織や病変を区別することができます。
MRIでわかる病気と得意なこと
MRIは、特に水分が多く含まれる軟部組織(筋肉、神経、血管、脳、脊髄、靭帯、関節など)の病変の描出に優れています。
- 脳の病気: 脳梗塞(発症初期の診断に優れる)、脳腫瘍、脳出血、脳動脈瘤、脳血管奇形、多発性硬化症、認知症の評価(脳萎縮など)。
- 脊椎・脊髄の病気: 椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊髄腫瘍、脊髄炎、圧迫骨折など。
- 関節・骨・筋肉の病気: 靭帯損傷、半月板損傷、腱板損傷、骨折、炎症、関節炎、軟部腫瘍など。
- 腹部・骨盤内の病気: 肝臓、腎臓、膵臓、胆嚢、子宮、卵巣、前立腺などの腫瘍や炎症、嚢胞など。
- 血管の病気: 造影剤を使わずに血管の状態(動脈瘤、狭窄、閉塞など)を描出できるMRA(MR Angiography)検査も可能です。
MRIのメリットとデメリット
メリット:
- 放射線被ばくがない: X線を使用しないため、被ばくの心配がありません。小さいお子さんや妊娠中の女性(医師の判断による)でも比較的安全に検査を受けられます。
- 組織コントラストに優れる: 骨に囲まれた脳や脊髄、軟部組織の病変を鮮明に描出できます。CTでは見えにくい病変も検出可能です。
- 多方向からの画像化: 体を動かさずに、縦、横、斜めなど、あらゆる方向の断面画像を自由に作成できます。
- 造影剤なしで血管描出: MRAにより、造影剤を使わずに血管の走行や異常を評価できます(ただし、より詳細な情報には造影剤を使用することもあります)。
デメリット:
- 検査時間が長い: 部位や目的にもよりますが、通常15分〜1時間程度と、CT検査に比べて時間がかかります。検査中はじっとしている必要があります。
- 閉塞感と騒音: 狭いトンネル状の装置に入るため、閉所恐怖症の方には苦痛に感じることがあります。また、撮影中は「工事現場のような」大きな機械音が発生します(耳栓やヘッドホンが提供されます)。
- 金属の制限: 強力な磁場を使用するため、体内に金属が入っている場合(ペースメーカー、人工内耳、金属クリップ、一部の人工関節など)は検査を受けられないか、制限があります。また、検査室への金属類の持ち込みも厳禁です。
- 動きに弱い: 検査中に体が動くと画像がブレてしまうため、正確な画像を得るためにはじっとしていることが重要です。
- 費用: CT検査に比べて検査費用が高くなる傾向があります。
検査を受ける際の注意点
- 金属類の持ち込み禁止: 時計、アクセサリー(ピアス、ネックレス、指輪など)、ヘアピン、入れ歯、補聴器、メガネ、エレキバン、カイロなどはすべて外します。財布や携帯電話、キャッシュカードなども持ち込みできません。
- 化粧品・衣類: マスカラやアイシャドウ、ネイルアートなど、化粧品に含まれる金属成分によってやけどのリスクがあるため、メイクは控えるか落とす必要があります。金属のファスナーやボタン、ワイヤー入りの下着など、金属が付いている衣類は着用できません。検査着に着替えるのが一般的です。
- 体内の金属: ペースメーカー、人工内耳、脳動脈瘤クリップ、可動性義眼、一部のインプラントなど、体内に金属が埋め込まれている場合は、必ず事前に医師や技師に申告してください。検査を受けられない場合や、条件付きで受けられる場合があります(例:条件付きMRI対応ペースメーカー)。
- 刺青・タトゥー・アートメイク: 墨に含まれる金属成分によってやけどや画像の乱れが生じる可能性があるため、事前に相談が必要です。
- 閉所恐怖症: 狭い空間が苦手な場合は、事前にスタッフに伝えましょう。近年は「オープン型MRI」など、閉塞感が少ない装置もあります。
- 造影剤: より詳細な情報を得るために、検査中に造影剤を腕の静脈から注射することがあります。稀にアレルギー反応や副作用(頭痛、めまい、吐き気など)が出ることがあるため、アレルギー体質や腎機能に不安がある場合は申告が必要です。
検査費用(目安)
保険適用(3割負担)の場合、検査部位にもよりますが、およそ5,000円~20,000円程度が目安です。造影剤を使用したり、高機能な機種を使用する病院では、費用が高くなることがあります。
MRIは、病気の早期発見や正確な診断に非常に重要な検査であり、医師の指示に従って適切に受けることが大切です。
MRIを緊急停止する方法
MRIを緊急停止する方法は、その緊急停止の目的によって大きく2種類に分けられます。
1. 検査の緊急停止(スキャン停止)
これは、患者さんの体調急変、気分が悪くなった、検査を中止したいなどの比較的緊急性の低い場合に、検査の進行を一時停止するものです。
- 患者さんの手元の緊急停止ボタン(ナースコールのようなもの): 多くのMRI装置では、患者さんの手元に緊急停止ボタンやナースコールのようなものが用意されています。これを押すと、操作室のスタッフに連絡が入り、スキャンが中断されます。
- 操作室の緊急停止ボタン: 検査を行っている技師が操作室にいる場合、スキャンを停止するためのボタンがあります。これを押すことで、即座に画像の撮像が中断されます。
2. 緊急消磁(クエンチ)
これは、MRI装置の磁場を強制的に消失させる非常に緊急性の高い操作です。
「緊急消磁ボタン」または「クエンチボタン」と呼ばれるボタンを押すことで作動します。
クエンチが必要となる緊急事態:
- 患者さんやスタッフが磁性体に挟まれた場合: MRI装置の強磁場によって、金属製の物体が強力に吸着(ミサイル効果)し、患者さんや医療スタッフが挟まれて生命の危険がある場合。
- 火災が発生し、消防活動が必要な場合: MRI室で火災が発生し、消火活動のために消防隊が金属製の装備を着用して入室する必要がある場合。強磁場が存在すると、消防隊員の安全が確保できないため、磁場を消失させる必要があります。
- 酸素濃度が低下した場合: MRI装置の冷却に使用されている液体ヘリウムが漏洩し、室内の酸素濃度が著しく低下して、患者さんやスタッフに危険が及ぶ可能性がある場合。
クエンチの注意点:
- 危険性: クエンチは、装置内の液体ヘリウムが急速に気化し、膨大な量のヘリウムガスが排出される現象です。この際、非常に大きな音と、排出されるヘリウムガスによる低温火傷や**酸欠(酸素濃度低下)**の危険性があります。そのため、クエンチが作動したら、速やかに強制排気ファンを作動させ、患者さんを安全な場所へ避難させる必要があります。
- 高額な費用: クエンチは、MRI装置の磁場を失わせるため、一度作動させると再稼働には数千万円から数億円といった莫大な費用と時間がかかります。そのため、本当に生命にかかわるような緊急事態以外では、絶対に押してはならないボタンです。
誰がMRIを緊急停止できるか?
- 患者さんの手元のボタン: 患者さん自身が押すことができます。
- 操作室のボタン(スキャン停止、緊急電源停止): 検査技師や医師など、MRI操作に関する訓練を受けた医療従事者が操作します。
- 緊急消磁ボタン(クエンチボタン): 検査技師や医師、あるいは施設管理者など、限られた責任者のみが操作できる場所に設置されており、最終的な判断と責任が伴う操作です。
まとめると、もしMRI検査中に気分が悪くなるなど、ご自身で検査を中断したい場合は、手元のナースコールや緊急停止ボタンを押してください。それ以外の、機械的なトラブルや生命の危険に関わるような緊急事態の判断と対応は、医療従事者が行います。
『#天久鷹央の推理カルテ』
— 『天久鷹央の推理カルテ』火曜よる9時【公式】 (@Ameku_ex) June 2, 2025
第7話・今夜9時📺
名探偵 🆚 恩師密室殺人の謎
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最期にして命がけの挑戦状💥
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前回までの天久鷹央の推理カルテ
アンドロゲン不応症🥼天久鷹央の推理カルテ #6 【遺体が瞬間移動…!?看護師殺人事件の謎】
急性リンパ性白血病という病🥼天久鷹央の推理カルテ #5 【鷹央が向き合う小さな命…過去最大の岐路!】
最近のドラマはリアリティを求めすぎて専門用語が多すぎるかな💉天久鷹央の推理カルテ #4 【姉が真犯人!?完結!麻酔科医殺人事件・衝撃結末】
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