最深日本研究 ~外国人博士の目~ 算額を知りたい
算額を知りたい
こんにちは
猫好き父さんです
日本人もよく知らないものを
研究されているとは
凄いねえ
最深日本研究
ドイツ出身の思想史学者アントニア・カライスルが研究しているのは、神社などに奉納されている「算額(さんがく)」と呼ばれる古い絵馬▽江戸時代に数学の難問を和算という日本独自の数学で解いていたが、その問題と答えが絵馬として残っているのだ!▽日本中の神社や寺をめぐり、これまで500以上の算額を自分の目で確認したアントニア。今回の取材旅行でも新たな資料を発見!▽算額の魅力とこれまでの研究成果を大公開!
出演
【出演】思想史学者…アントニア・カライスル,【語り】鈴村健一
算額
算額(さんがく)は、江戸時代の日本で、数学者や愛好家たちが、自分たちで解いた数学の問題を記して神社や仏閣に奉納した、一種の「絵馬」です。
数学の問題と、それを図示した美しい絵が描かれているのが特徴で、奉納された場所で誰でも見ることができました。
算額が生まれた背景
江戸時代、日本独自の数学「和算(わさん)」が発展しました。和算家たちは、数学の問題を解くことを、神仏に感謝したり、学問の成就を祈願したりする行為だと捉えていました。
算額を奉納することは、単に自分の数学の腕前を披露するだけでなく、以下のような意味合いを持っていました。
解法を神仏に奉納する: 難問が解けたことへの感謝。
学問の成就を祈願する: さらなる精進を誓う。
挑戦状として他者に示す: 自分の解いた問題を提示し、他の和算家に挑戦を促す。
算額に記された問題
算額に書かれた問題は、主に幾何学が中心でした。円の中に複数の円や三角形が内接・外接する図形の問題が多く、美しい図形と、それに付随する数式が特徴です。
現代の数学とは異なる独自の解法が用いられており、その内容や作図の美しさから、当時の数学レベルの高さや、人々の知的好奇心の旺盛さがうかがえます。
文化的・歴史的価値
算額は、単なる数学の問題集ではありません。
コミュニケーションの場: 算額は、全国各地の数学愛好家たちが交流する、一種の「掲示板」のような役割を果たしました。旅をする和算家が、各地の算額を見て学び、新たな問題を奉納することで、知識が共有されていきました。
和算の発展: 地方に住む人々も数学に触れる機会を得ることができ、和算の普及に大きく貢献しました。
現在でも、日本各地の神社や寺院に当時の算額が残されており、貴重な歴史的文化財として大切に保存されています。
代表的な算額は数多くありますが、中でも特に有名で歴史的に重要なものをいくつかご紹介します。
1. 京都・北野天満宮の算額(現存最古)
特徴: 現在、日本で現存する最古の算額とされています。
内容: 1668年に奉納されたもので、和算の大家である吉田光由(よしだ みつよし)の弟子たちが奉納しました。円の中に複数の円が内接する、幾何学の問題が描かれています。
意義: 和算が数学者の間で学問として確立していたことを示す貴重な資料です。
2. 千葉・船橋大神宮の算額(最も有名な算額の一つ)
特徴: 広く一般に知られている算額の一つです。
内容: 1835年に奉納されたもので、「算木」(和算で使われた計算用の棒)を使って解く問題が記されています。
意義: 地方にまで和算が広まっていたこと、そして数学愛好家たちが活発に交流していた様子を伝えています。また、問題の図形が美しく、江戸時代の数学レベルの高さを感じさせます。
3. 山形・酒田市の日枝神社(難問で知られる)
特徴: 非常に難解な幾何学問題が記されていることで知られています。
内容: 2つの円が重なる部分に正方形が内接するような問題など、視覚的に複雑な図形の問題が描かれています。
意義: 地方の和算家が、中央の和算家と肩を並べるほどの高いレベルに達していたことを示しています。
これらの算額は、単なる数学の問題集ではなく、当時の人々の知的好奇心や、数学を神仏に奉納するというユニークな文化を現代に伝える貴重な遺産です。
アントニア・カライスルさん
アントニア・カライスルさんは、早稲田大学高等研究所の助教を務める研究者です。
専門分野と研究テーマ
彼女の主な研究テーマは、日本の江戸時代に発展した数学「和算」です。特に、数学の問題が書かれた絵馬である算額と、西洋の数学であるユークリッド幾何学の関係性について研究しています。
具体的な活動としては、算額に関する国際的な研究ネットワークを構築し、算額の問題をまとめたバイリンガルのオープンソース・リポジトリを作成することを目指しています。
学歴と経歴
学歴:
ロンドン大学ウォーバーグ・インスティテュートで知的歴史の博士号(PhD)を取得。
ジョンズ・ホプキンス大学SAISで国際経済学とヨーロッパ研究の修士号を取得。
オックスフォード大学で古典文学の学士号を取得。
職歴:
ハーバード大学ヴィラ・イ・タッティのフェローや、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジでのティーチング・アシスタントなどを歴任。
彼女の研究は、哲学史、科学史、ラテン文献学、古文書学、そしてオープンソースのOCR技術(光学文字認識)など、多岐にわたる分野を横断しています。
和算(わさん)
和算(わさん)は、江戸時代の日本で独自に発展した数学です。鎖国下で西洋の数学から独立して発展したため、現代数学とは異なる独自の特徴を持っています。
和算の特徴
幾何学の問題が中心: 和算の最大の特徴は、図形に関する問題が多いことです。円や多角形が複雑に組み合わさった図形の問題を解くことを得意としており、その成果は「算額」という美しい絵馬として奉納されました。
厳密な証明より「解法」を重視: 現代数学が証明の厳密性を重視するのに対し、和算は特定の解法や答えを導き出すことに重きを置いていました。解答に至るまでの計算過程が、パズルのように楽しむ対象でもあったのです。
社会的な娯楽: 和算は、専門の数学者だけでなく、武士や商人、農民など、幅広い階層の人々に楽しまれていました。算額を奉納したり、和算の流派が生まれたりするなど、学問であると同時に、社会的な交流や娯楽としての側面が強かったのが特徴です。
現代数学との違い
項目 | 和算 | 現代数学 |
思想的基盤 | 仏教や儒教の影響が強く、学問を通して精神性を高める側面があった。 | 論理学や集合論を基礎とする。抽象的で、普遍的な真理の追求を目的とする。 |
学問体系 | 西洋の数学から独立して発展した独自の体系を持つ。 | 世界共通の記号や概念(微分積分、線形代数など)を用いるグローバルな学問。 |
主な分野 | 幾何学(特に円や球の幾何)や代数学。 | 多岐にわたり、代数、幾何、解析学、確率、統計などがある。 |
目的 | 娯楽、知的好奇心の追求、そして一部は測量などの実用的な問題解決。 | 理論的な研究に加え、科学技術全般(物理学、コンピュータ科学、経済学など)に応用される。 |
和算は、明治維新以降、西洋数学の導入によって姿を消しましたが、その独自の発展は、日本人の数学的センスや知的好奇心の高さを示す貴重な文化遺産として評価されています。
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