熱設計って難しいけどミッションを諦めたら意味がない🌠【夜ドラ】いつか、無重力の宙で(29)
熱設計って難しいけどミッションを諦めたら意味がない
こんにちは
猫好き父さんです
高温でカメラが動作しないというのは
現象なので
やはり原因を突き止める必要がありますね
ただ、それには時間がかかると言うことなのかな
あらすじ
飛鳥(木竜麻生)たちは、宇宙空間で衛星が上手く作動するかの試験を行うも、そこでカメラにトラブルが発生する。周(片山友希)・晴子(伊藤万理華)は、開発をやり直す余裕はないため、このまま宇宙に打ち上げようと提案する。しかし彗(奥平大兼)はカメラが上手く作動しなければ、「宇宙から地球を見る」というひかり(森田望智)との約束が果たせないと反対する。リーダーとして決断を迫られる飛鳥が出した答えは…。
出演
【出演】木竜麻生,森田望智,片山友希,伊藤万理華,奥平大兼,鈴木杏,【語り】柄本佑
【脚本】武田雄樹
🛰️ 超小型人工衛星の熱設計で気をつける点
超小型人工衛星、特にCubeSat(キューブサット)のような小型衛星の熱設計は、大型衛星とは異なる制約と課題があり、細心の注意が必要です。
1. 厳しい温度制約と大きな熱変動
1.1. 熱の慣性が小さい(温度が変わりやすい)
質量とサイズが小さい: 超小型衛星は質量が小さいため、熱容量が非常に小さいです。
影響: 太陽光の当たる/当たらない(日照/食)の変化や、内部機器の消費電力の変化に対し、温度が急激に変動しやすいです。
1.2. 極端な温度環境
宇宙空間では、衛星の表面は日当たりの良い場所では100℃を優に超える高温に、日陰では氷点下100℃以下という極低温に達します。
影響: 搭載されている電子部品やバッテリー、センサーといった全ての機器が、この極端な温度変化に耐える(あるいは許容温度範囲内に収まる)ように設計する必要があります。
2. 受動的な熱制御(パッシブ制御)への依存
リソースの制約: 電力や重量の制約が厳しいため、ヒーターや大型ルーバーといった能動的な熱制御(アクティブ制御)をほとんど採用できません。
依存: 熱設計は、表面の色や素材の組み合わせ、断熱構造といった**受動的な熱制御(パッシブ制御)**に強く依存します。
3. 構造と熱のトレードオフ
内部発熱の処理: CPUやバッテリーなどの発熱体から、熱を効率よく外部へ逃がす熱伝導パスを確保する必要があります。
課題: 機器配置や構造設計が、意図しない熱の逃げ道(熱ショート)や、逆に熱がこもる場所を作らないよう、細かく調整しなければなりません。
超小型人工衛星に搭載されるカメラ(特に市販品や車載用をベースにしたもの)の**許容動作温度(耐熱スペック)**は、衛星の設計やミッション要求によって異なりますが、一般的な目安としては以下の範囲が挙げられます。
📷 カメラの一般的な耐熱スペックの目安
多くの超小型衛星のカメラシステム(CMOSセンサー、関連回路を含む)は、商用オフザシェルフ(COTS: Commercial Off-The-Shelf)部品をベースに、宇宙環境向けに信頼性を高めたものが使用される傾向があります。
| 項目 | 動作温度の目安 |
| 動作下限 | -30℃から-20℃ 程度 |
| 動作上限 | +60℃から+85℃ 程度 |
| 参考例 | -30℃から+85℃ (車載カメラベースの宇宙実証例) |
重要な点
1. 地上部品の「耐熱」グレードを流用
超小型衛星では、コスト削減と小型化のため、車載用や産業用の**広温度範囲(Extended Temperature Range)**の部品が流用されることが多いです。
車載規格(AEC-Q100など): 車載用部品は、エンジンルームなど過酷な環境での動作を想定しているため、-40℃から+125℃程度の耐熱を持つものもありますが、実際に衛星に搭載されるカメラシステムは、関連基板やレンズの熱変形なども考慮し、上記の範囲内に温度が収まるように熱設計されます。
2. 熱設計による「温度維持」が前提
カメラ自体のスペックが「耐熱」で宇宙の極限温度に耐えるのではなく、衛星の熱設計(TCS: Thermal Control System)によってカメラの温度を許容範囲内に維持することが前提となります。
高温対策: 内部発熱を外部に逃がすための高熱伝導パス(金属板やヒートシート)の設置。
低温対策: 極低温にならないようにするための断熱材(MLI)の利用や、必要な場合のヒーターによる加熱制御。
3. 性能への影響(ノイズ)
カメラのCMOS/CCDセンサーは、温度が高くなると暗電流が増加し、ノイズが多くなるという性質があります。
影響: 動作上限温度内であっても、できるだけ低い温度(例えば$+20℃前後)で安定させることで、よりクリアな画像を取得できます。このため、熱設計では上限温度を超えないことに加えて、安定した撮影温度を維持することも目標とされます。
4. レンズや機構部の問題
耐熱は電子部品だけでなく、レンズの熱変形も大きな問題です。温度変化によるレンズの膨張・収縮は、**焦点距離の変化(デフォーカス)**を引き起こし、画像品質に影響を与えます。
対策: ゼロ熱膨張材の使用や、温度変化を許容した光学設計、あるいはヒーターによる温度の厳密な管理が必要となる場合があります。
超小型人工衛星の内部、特に主要な電子機器やバッテリーが配置される部分の許容温度範囲(耐熱強度)は、通常、$-20^\circ\text{C}$から$+60^\circ\text{C}$程度を目標に設計されます。
これは、宇宙機の熱設計が「搭載された機器の許容温度範囲内に温度を保つ」ことを最大の目的としているためです。
🌡️ 内部機器の耐熱強度の実態
超小型衛星(CubeSatなど)の内部の耐熱強度は、主に以下の要因によって決まります。
1. 搭載機器のグレード
超小型衛星では、コストと納期を抑えるため、軍事・宇宙グレード(MIL/Space Grade)の部品ではなく、商用オフザシェルフ(COTS: Commercial Off-The-Shelf)部品や、信頼性の高い産業グレード、または車載グレードの部品が多用されます。
一般的なCOTS部品: これらの部品の多くは、動作保証温度として**-20℃から+70℃** 程度、あるいはもう少し広い範囲(-40℃から+85℃など)を持ちます。
許容温度の設定: 衛星の設計では、最も熱に弱い部品(例:バッテリー、センサーなど)の許容温度を基準に、衛星全体の内部温度目標を**-20℃から+60℃** や -10℃から+40℃など、より狭い範囲に設定することが一般的です。
2. バッテリーの温度制約
搭載機器の中でも、リチウムイオンバッテリーは温度管理が特に重要で、熱設計を支配することがあります。
低温の制限: バッテリーは、0℃以下では充電できなくなる、または性能が大幅に低下するものが多いです。そのため、熱設計によって内部温度を常に0℃以上に保つよう工夫が必要です。
高温の制限: +40℃から+50℃ を超えると劣化が加速するため、これ以上の温度になることは厳しく避けられます。
3. 熱制御の役割
前述したように、衛星の外側は極端な高温(+100℃以上)と極低温(-100℃以下)にさらされます。熱設計の目的は、この過酷な外部環境から内部の機器を守り、上記のような狭い許容範囲内に温度を維持することです。
そのため、内部の部品自体が**-100℃から+100℃** のような非常に広い耐熱強度を持っているわけではありません。熱設計(断熱、放熱、ヒーターなど)によって、動作に適した温度に「制御」されているという点が重要です。
超小型人工衛星の内部温度を許容範囲に収めるためには、主に**受動的な熱制御(パッシブ制御)と、必要に応じた能動的な制御(アクティブ制御)**を組み合わせて、熱の出入りと移動のバランスを取る工夫が必要です。
内部温度の目標範囲(例:マイナス20度からプラス60度)を維持するために必要な主な工夫は以下の通りです。
1. 外部からの熱入力の調整(受動的工夫)
衛星の外部に施す工夫で、宇宙空間からの過酷な熱入力を抑制・調整します。
表面材の選択
衛星の表面(外壁)に、特殊な光学特性を持つ材料を塗布したり、貼り付けたりします。
高温対策(日照面): 太陽光の吸収を抑え、熱放射を促す低吸収率・高放射率の材料(例:白色塗料、光学ソーラーリフレクタ)を使用します。これにより、太陽光による加熱を抑え、内部の熱を効率よく宇宙空間に逃がします。
低温対策(ラジエータ面): 内部の熱を逃がしすぎるのを防ぐため、適切な放射率を持つ材料を選びます。
多層断熱材(MLI)
機能: 外部からの熱の出入り(主に輻射)を大幅に遮断するために、金色の薄いフィルムを何層にも重ねた**多層断熱材(MLI)**を、特に温度変化を抑えたい面に使用します。
効果: 外部の極端な温度(高温または極低温)が直接内部に伝わるのを防ぐ、魔法瓶のような役割を果たします。
2. 内部の熱移動と拡散(構造的工夫)
内部の発熱を効率的に処理し、衛星全体に温度を均一に広げるための工夫です。
高熱伝導パスの確保
目的: CPUや通信機、バッテリーなどの発熱量の多い機器から発生した熱を、速やかに衛星の表面(ラジエータとして機能する部分)へ移動させる必要があります。
方法: 機器をアルミニウムなどの高熱伝導性材料で作られた構造体に直接取り付けたり、機器と構造体の間に熱伝導シートや熱グリースを挟んだりして、接触熱抵抗を減らします。
配置の最適化
熱設計を考慮した配置: 発熱量の多い機器を、放熱が容易な外壁に近い場所に配置します。一方、温度変化に特に敏感な機器(例:バッテリー、高精度センサー)は、衛星の中心部や熱的に安定した場所に配置します。
3. 能動的な温度制御(アクティブ制御)
超小型衛星では電力に制約がありますが、特に重要な機器や低温になりがちなバッテリーのために、限定的な能動制御を用います。
電気ヒーター(生存ヒーター)
役割: 衛星が日陰に入り、内部温度が許容下限温度(特にバッテリーのゼロ度)を下回りそうになった場合、電力を使って発熱させ、機器を温めます。
制御: 温度センサー(サーミスタなど)からの情報に基づき、設定温度を下回ると自動的に電源が入り、安全な温度に達すると切れるよう制御されます。
熱スイッチ(限定的)
役割: 機器が高温になりすぎたとき、または逆に低温のときに、熱の移動経路をオン/オフする熱スイッチが検討されることもあります。これにより、熱の移動をより精密に制御できます。
これらのパッシブとアクティブの工夫を組み合わせ、軌道上のシミュレーション(熱解析)を繰り返し行うことで、機器が故障しない最適な熱環境が実現されます。
【最新話 配信中】#夜ドラ いつか、無重力の宙で
— NHK大阪放送局 11/1,11/2 BK大感謝祭2025 (@nhk_osaka_JOBK) October 27, 2025
≪超小型人工衛星≫で宇宙を目指す!30代女性たちの2度目の青春物語。
月~木 夜10:45~[NHK総合]
▼配信はこちらhttps://t.co/PZGxY6T0Og
<出演>#木竜麻生 #森田望智 #片山友希 #伊藤万理華 #奥平大兼 ほか
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