レシピ通りには作れない🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第10週「生きろ」(46)
レシピ通りに作っても「なんか違う」の正体
こんにちは
猫好き父さんです
草吉はレシピを残していきましたが
だからと言って
作るのは俄には難しいようです
レシピは漏れてもいい、レシピがあるから作れるもんじゃないみたいなこと
あらすじ
草吉(阿部サダヲ)は朝田家から去っていった。釜次(吉田鋼太郎)から草吉が乾パン作りを拒んでいた理由を聞いて、言葉を失うのぶ(今田美桜)。無理強いしてしまったことを悔いるのぶに、釜次はのぶのせいで出ていったのではないと言って聞かせる。そんな中、草吉が残していった乾パンのレシピを見つけた羽多子(江口のりこ)は、娘たちと共に乾パンを焼き続けようと奮起する。
出演
【出演】今田美桜,江口のりこ,河合優実,原菜乃華,吉田鋼太郎,阿部サダヲ,永瀬ゆずな,藤本健翔,瀬口直助,木村日鞠
【作】中園ミホ
レシピの「なぜ?」を解き明かす:料理の再現性を高める科学的ア考察
I. はじめに:レシピ通りに作っても「なんか違う」の正体
ユーザーの疑問提起と本レポートの目的
多くの家庭料理愛好家が共通して抱える悩みに、「レシピ通りに作ったはずなのに、なぜかお店の味にならない」「前回と同じように作れない」というものがあります。この現象は、単に調理技術の不足に起因するものではなく、料理を構成する多岐にわたる要因が複雑に絡み合って生じるものです。本レポートは、この料理の再現性の難しさについて、科学的かつ実践的な視点からその理由を深く掘り下げ、料理の質を一貫して高めるための具体的なアプローチを提示することを目的とします。
料理の再現性が難しい理由の概観
料理は、単に材料を混ぜ合わせたり、手順を羅列したりするだけでは完結しない複合的なプロセスです。そこには、食材が持つ固有の特性、調理が行われる環境、そして調理者の持つ技術や感覚といった、レシピの表面的な情報だけでは捉えきれない多くの「見えない要素」が影響を及ぼしています。これらの要素が、料理の最終的な味、食感、見た目に予測不可能な「ゆらぎ」を生み出し、結果として再現性を阻害する原因となります。
例えば、同じ「中火」という指示であっても、ガスコンロの火力や鍋の材質、さらには室温や湿度といった環境条件によって、食材への熱の伝わり方は大きく異なります。また、レシピに「塩少々」と記載されていても、その「少々」が具体的にどの程度の量であるかは、調理者の感覚に委ねられ、結果として味のばらつきにつながります。このように、料理のプロセスには、明示的な指示だけでは制御しきれない多くの変動要因が存在し、それが再現性の課題を生み出しているのです。本レポートでは、これらの隠れた要因を明らかにし、料理の再現性を向上させるための具体的な方法論について考察を進めます。
II. レシピの「形式知」と「暗黙知」のギャップ
レシピが「形式知」であることの解説
レシピは、料理の材料の分量、調理の手順、火加減などが言語化され、あるいは図式化された「形式知」の典型的な例として位置づけられます 1。この形式知は、誰でも同じ手順を踏むことで、再現性高く料理を完成させることを目指して作成されています。例えば、操作マニュアルや企業の経費精算フローと同様に、料理レシピは「何をどうすれば完成させられるのかが言語化・図式化されている」ため、形式知の代表的な例とされています 1。これにより、レシピを見た人が同じ手順を踏むことで、期待される料理を再現できるはずだと考えられます。
プロの「暗黙知」がレシピに反映されにくい理由
しかし、レシピという形式知だけでは伝えきれない、料理人の長年の経験や感覚に基づいた「暗黙知」が存在します。プロの料理人は、常に一定の味を安定して作り出す能力、定められた時間内に迅速に料理を完成させる時間管理能力、そして何よりもお客様に満足してもらえる料理を提供し続けるという顧客評価の視点を持っています 2。これらの能力は、単なる手順の羅列では習得できない、日々の反復練習と経験の積み重ねによって培われたものです。
例えば、肉を調理する際に、冷蔵庫から出してすぐに加熱するのではなく、調理の約30分前に室温に戻しておくことで、均一に火が通り、生焼けを防ぐという経験則があります 3。このような具体的な知見は、レシピには明記されにくい暗黙知の一例です。また、包丁の正確な使い方、火加減の微細な調整、油の適切な温度の見極めなど、料理の基礎となる「当たり前」の技術を丁寧にやり続けることが、プロの料理の完成度を高める強みとなりますが、これらもまた、言葉や数値で完全に表現することが難しい暗黙知の範疇に含まれます 4。
これらの暗黙知は、料理人が食材の特性や調理中の変化を五感で捉え、瞬時に判断を下す能力と深く結びついています。レシピはこれらの繊細な感覚や判断のプロセスを詳細に記述することが難しいため、形式知としてのレシピと、プロの持つ暗黙知との間にギャップが生じるのです。
レシピに書かれていない「暗黙の前提」の存在
レシピはしばしば、料理の背景にある文化やスタイル、あるいは調理者が共有していると暗黙のうちに前提されている「料理のゴール」を明示しないまま記述されています。この「暗黙の前提」の存在が、レシピ通りに作っても「想像と違う」結果になる大きな要因となります。
例えば、麻婆豆腐のレシピを例にとると、「お店っぽくない」「もっと痺れるかと思ったのに」「なんか、味に深みが足りないかも」といった違和感は、作り手が「どのような味や食感を目指すのか」という明確なゴール設定をしていないことに起因することが指摘されています 5。麻婆豆腐一つをとっても、四川省が発祥で辛味と花椒の痺れが特徴の「四川風」、香辛料よりも素材の風味を活かしたマイルドで甘旨味重視の「広東風」、そして甘口で味噌ベースが多い「日本風」といった明確なスタイルが存在します 5。さらに、辛さ一つをとっても、「麻辣(しびれる辛さ)」や「香辣(香ばしい辛さ)」など、複数の意味合いがあることが四川料理では知られています 5。これらの地域性や辛さのバリエーションといった文化背景を理解せずにレシピをなぞるだけでは、「どのスタイル」の麻婆豆腐を目指しているのかが曖昧なまま調理を進めることになり、結果としてイメージとのずれが生じます 5。
このように、レシピは、食べる人や料理の文化圏において、特定の味や食感、調理法が「当たり前」として共有されていることを前提に書かれていることがあります。例えば、食事のマナーにおいて、全員の料理が揃い、主催者が食べ始めてから自分も食べ始めるという暗黙のルールがあるように 6、料理にも「この料理はこういうものだ」という文化的な期待や前提が存在します。これらの暗黙の前提を知らないままでは、レシピの指示を忠実に守ったとしても、本来意図された味や体験を再現することは困難になります。
したがって、料理の再現性を高めるためには、単にレシピの手順を追うだけでなく、その料理がどのような「ゴール」を目指しているのか、そしてその背景にある文化的な文脈や暗黙の前提を理解することが不可欠です。この理解こそが、漠然とした「美味しい」から具体的な「想像通りの味」へと転換するための第一歩となります。
III. 料理の再現性を左右する科学的・技術的要因
A. 食材の質と特性:見えない「ゆらぎ」の影響
料理の最終的な味、食感、栄養価は、使用される食材の質と特性に大きく左右されます。レシピ通りに調理しても結果が異なるのは、食材そのものが持つ「ゆらぎ」が原因となることが多々あります。
鮮度、産地、品種による味・食感・栄養価の違い
食材の品質は、料理の味を向上させる基盤であり、飲食店の顧客満足度や評判に直結する要素です 7。新鮮で質の高い食材を使用することで、料理本来の風味や旨味が最大限に引き出されます。例えば、野菜の旨味や甘味の成分は、常温で保存すると時間とともに減少していくため、収穫直後の予冷や低温での保存・流通がその減少を遅らせるために重要です 8。魚や肉も鮮度が味に大きく影響するため、明らかな異臭や色の変化がないか、また卵であれば水に浮かべた際に底に沈むか(鮮度が落ちると浮く)といった方法で鮮度を確認することが重要です 9。
さらに、同じ種類の食材であっても、産地や品種によって味、食感、栄養価が異なります。土壌、気候、栽培方法、飼育環境などの違いが、食材の風味やテクスチャーに影響を与え、それが料理の仕上がりに反映されます。レシピが特定の産地や品種の食材を前提としている場合、異なる食材を使用すると、同じ手順を踏んでも期待通りの味にならないことがあります。
微生物の活動と食品の変質(腐敗と発酵)
食材には、目に見えない細菌やカビといった微生物が常に付着しており、これらは食べ物の腐敗や食中毒のリスクを高める原因となります 10。微生物の増殖は、温度、pH、水分、栄養などの条件に大きく左右され、特に高温多湿の環境ではその活動が活発になります 11。例えば、相対湿度70%以上の環境が数ヶ月続くとカビが発生し、湿度90%ではわずか2日で目に見えるほど増殖することもあります 11。
一方で、微生物の活動が人間にとって有用な場合を「発酵」と呼びます。味噌、醤油、ヨーグルトなどは、微生物の力を借りて作られる代表的な発酵食品です 10。腐敗と発酵は、微生物による食品成分の変質という点では共通していますが、その変質が人間にとって「有用か否か」によって区別されます 10。料理の安全性を確保し、意図しない変質を防ぐためには、食材の適切な品質管理と衛生管理が極めて重要です。
食材の適切な下処理と下準備の重要性
料理の再現性を高める上で、食材の適切な下処理と下準備は不可欠です。料理が苦手な人の共通点として、レシピの主要な手順だけに注目し、食材の下処理や下準備を怠る傾向が指摘されています 12。下処理には、野菜の洗浄や皮むき、アク抜き、下茹でといった基本的な作業に加え、魚の臭みを取るための湯引き(霜降り)など、食材や料理に合わせた様々な方法が含まれます。これらの工程を丁寧に行うことで、食材本来の味を引き出し、えぐみや雑味を取り除くことができます 13。
また、下準備として、調理を始める前に調味料を全て計量して用意しておくことも非常に重要です 12。これを怠ると、調理中に慌てて調味料を探したり計量したりする間に、食材に火が通り過ぎてしまったり、調味料の入れ忘れが発生したりする原因につながります 12。慣れるまでは手間がかかるかもしれませんが、焦らず丁寧に下処理や下準備を行うことが、料理の品質と効率を大きく向上させ、再現性を高める上で不可欠な要素となります。
B. 計量と調味の精度:味の「設計図」を忠実に再現する
料理の味の再現性を確保する上で、計量と調味の精度は極めて重要な要素です。レシピの指示を正確に理解し、それを忠実に実行することが、期待通りの味を実現するための基盤となります。
「塩少々」の曖昧さと正確な計量の重要性
レシピに頻繁に登場する「塩少々」や「適量」といった曖昧な表現は、料理の味に大きなばらつきを生む原因となります 14。特に塩は、料理全体の味のバランスを大きく左右する調味料であるため、その分量が不正確だと、意図しない味になる可能性が高まります。
正確な計量は、味が薄い、濃いといったブレを防ぎ、料理の味を安定させるために不可欠です 14。特に、初めての料理や新しいレシピに挑戦する際には、計量の精度を高めることで、予想通りの味を再現できる可能性が飛躍的に高まります 15。計量スプーンや計量カップ、デジタルスケールといった適切な計量器具を常備し、正確に計量する習慣を身につけることが、料理の再現性を高める第一歩です 12。
大さじ・小さじの重量換算の落とし穴とデジタルスケールの推奨
大さじ1(15㎖)や小さじ1(5㎖)といった体積での計量は一般的ですが、ここに大きな落とし穴があります。それは、調味料の種類によって同じ体積でも重量が大きく異なるという点です 14。例えば、大さじ1杯の塩は約18gであるのに対し、上白糖は約9gと、同じ「大さじ1」でも重量が倍近く異なることがあります 14。
この重量の差は、特に塩や砂糖といった味の根幹をなす調味料において、料理の味に決定的な影響を与えます。レシピに「大さじ1」とあっても、それがどの調味料を指すのか、あるいはその重量を意識しないまま計量すると、意図しない味のずれが生じる可能性があります。
このような計量の誤差を最小限に抑え、再現性を高めるためには、グラム単位での計量が可能なデジタルスケールの使用が強く推奨されます 14。特に、小麦粉のような粉末や、少量の調味料の正確な計量においては、質量ベースの計量が非常に有効です。デジタルスケールを用いることで、レシピの指示をより忠実に、かつ科学的に再現することが可能となり、味の安定化に大きく貢献します。
以下に、主要な調味料の大さじ・小さじとグラム換算の目安を示します。
表1:主要調味料の計量換算表(大さじ・小さじ vs. グラム)
調味料 | 大さじ1 (g) | 小さじ1 (g) | 1カップ (g) (液体) | 1カップ (g) (粉末/その他) |
砂糖 (上白糖) | 9 | 3 | - | 110 (すりきり) |
塩 | 18 | 6 | - | 200 (すりきり) |
醤油 | 18 | 6 | 200 | - |
みりん | 18 | 6 | 200 | - |
酢 | 15 | 5 | 200 | - |
サラダ油 | 14 | 5 | 180 | - |
小麦粉 | 9 | 3 | - | 110 (ふるってすりきり) |
注:上記は目安であり、製品や計量方法によって多少の誤差が生じる可能性があります。特に粉末は、ふるうか否か、詰め込むか否かで大きく重量が変わるため、デジタルスケールでの計量が最も確実です。
味見のタイミングとコツ、味覚のバランス調整
料理の途中で味見をすることは、味の調整を可能にし、大きな失敗を防ぐ上で非常に重要です 13。しかし、闇雲に味見を繰り返すと、味覚が麻痺してしまい、かえって正しい判断ができなくなることがあります。泉本勝代先生によると、味見は3回までにとどめるのが良いとされています 16。
味見の際には、いくつかのコツがあります。例えば、回鍋肉のような濃い味付けの炒め物を作る際、野菜だけで味見をすると物足りなく感じて調味料を足しすぎてしまう失敗が起こりやすいです 3。これは、「味の濃い肉と味が薄めの野菜」が口の中で合わさってバランスが取れるため、野菜だけでちょうどいい濃さだと、肉と合わせたときに辛すぎることがあるためです。このような場合は、お肉を食べて味をチェックすることが推奨されます 3。
また、「うま味が足りない」と感じるケースは、実は「塩気が足りない」ことが多いという傾向が指摘されています 3。次に甘みが不足している場合も考えられます。塩や醤油で調整しても改善しない場合は、割り切って食べる際にめんつゆや市販のたれなどを足す方が美味しく食べられることもあります 3。これらの味覚のバランスに関する知識は、味の調整を効率的かつ効果的に行う上で役立ち、料理の再現性を高める上で不可欠な要素となります。
C. 加熱と温度管理の妙:熱が織りなす化学変化
料理において熱は、食材の化学変化を促し、味、香り、食感を形成する最も重要な要素の一つです。しかし、その管理は繊細であり、再現性を大きく左右します。
火加減の調節の曖昧さとその影響(焦げ付き、生焼け、食感)
レシピに記載される「中火」「弱火」といった火加減の指示は、ガスレンジの目盛りだけに頼るべきではありません。重要なのは、炎が鍋底にどのように当たっているか、あるいはIH調理器であれば具材への火の通りや鍋の中の様子をこまめに観察することです 16。例えば、煮物であれば、材料がグラグラと踊っているようなら強火、ゆっくり動く程度なら中火、小さく揺れている程度なら弱火と判断できます 16。
火加減が不適切だと、料理は容易に失敗します。肉料理で強火にしすぎると、表面だけが焦げて中が生焼けになり、逆に弱すぎると火が通るのに時間がかかりすぎて硬くなることがあります 12。適切な火加減は、食材の旨味を閉じ込め、最適な食感を実現するために不可欠です。
調理器具の熱伝導性・熱容量が料理に与える影響
鍋やフライパンといった調理器具の材質は、その熱伝導性(熱の伝わりやすさ)と熱容量(蓄熱性、冷めにくさ)に大きく影響し、それが加熱調理の効率と結果に直接的な影響を与えます 17。料理の再現性を高めるためには、この調理器具の熱特性を理解することが不可欠です。
例えば、銅やアルミニウムは熱伝導率が非常に高く、素早く温まりますが、同時に冷めやすい特性も持ちます 18。これは、短時間で均一な加熱が必要な炒め物や、温度の微調整が求められる料理に適しています。一方、ステンレスは熱伝導率は低いものの、蓄熱性が高く一度温まると冷めにくい特性があります 18。そのため、長時間の煮込み料理や、保温が必要な料理に適しています。鉄製の鍋は、板厚が厚いものが多く、熱容量が大きいため、十分な予熱をすれば一気に高温で炒める中華料理や、油の温度を安定させたい揚げ物に適しています 17。
これらの特性を理解し、料理の目的に合った器具を選ぶことが、均一な加熱や適切な食感の実現に不可欠です。例えば、IH調理器は熱効率が良い反面、熱が垂直方向に集中しやすく、板が薄いフライパンでは焦げ付きやすい傾向があるため、厚底の鍋やフライパンを選ぶことが推奨されます 18。
以下に、主要な調理器具の熱特性を比較した表を示します。
表2:主要調理器具の熱特性比較表
材質 | 熱伝導性 | 熱容量 (蓄熱性) | 重さ | IH対応 | 適した調理法/特徴 |
ステンレス | 低 | 高 | 重 | ◎ (クロム系) | 煮込み、スープ、保温性の必要な料理。温まるのに時間がかかるが冷めにくい。 |
アルミ | 高 | 中 | 軽 | × (一部貼り底で◎) | 短時間での加熱、炒め物、茹で物。素早く温まるが冷めやすい。 |
鉄 | 中 | 高 | 重 | ◎ | 高温での炒め物、揚げ物、焼き物。油が馴染みやすく、焦げ付きにくい。 |
銅 | 非常に高 | 低 | 中 | × | 温度調整が繊細な料理 (卵焼きなど)。非常に素早く均一に熱が伝わる。 |
IH3層鋼クラッド | 高 | 高 | 中 | ◎ | アルミとステンレスの利点を兼ね備え、幅広い料理に対応。 |
IHマエストロ2層鋼クラッド | 高 | 高 | 軽 | ◎ | フライパンや炒め鍋に特化。アルミの熱伝導性とフッ素加工の組み合わせ。 |
注:熱伝導性、熱容量、重さは相対評価であり、製品の板厚や構造によって変動します。
料理の再現性を高めるためには、レシピの指示だけでなく、使用する調理器具の特性を考慮し、それに合わせて火加減や調理時間を調整する柔軟な対応が求められます。
オーブンの個体差と庫内温度の正確な把握
家庭用オーブンは、表示される予熱温度と実際の庫内温度に大きな差があることが多く、機種や経年劣化によってその差はさらに広がることがあります 19。例えば、設定温度300℃に対し、実際の庫内温度が210℃の時点で150℃しかないといった事例も報告されています 19。この温度差は、特にパンやお菓子作りにおいて、焼き色、膨らみ、中への火の通りといった最終的な仕上がりに直接的な影響を与えます 19。
焼きムラが発生する主な原因としては、オーブン庫内が狭いことによる温度差、加熱の弱さ、オーブンの熱当たりの癖、そしてパン生地の並べ方などが挙げられます 20。扉に近い部分が温度が低く、奥が温度が高いといった不均一な加熱は、焼き色の不均一さや生地の膨らみ不足につながります 20。
これらの問題を解決し、再現性を高めるための対策としては、以下の点が挙げられます。
- オーブン用温度計の活用: 庫内にオーブン用温度計を設置し、表示温度と実際の温度の差を把握することで、オーブンの「癖」を理解し、その後の調整に役立てることができます 19。
- 予熱を長めに取る: 「予熱完了」の表示が出た後も、数分間時間を置いてから生地を入れることで、庫内温度をより均一に保つことができます 19。
- 焼成中にオーブンを必要以上に開けない: 扉を開けると庫内温度が急激に低下するため、温度の安定を保つためには、必要以上に中を確認しないことが重要です 19。
- 2段焼きを避ける: 2段焼きは、上下の温度差や熱の循環不足により、焼きムラが発生しやすいため、品質を重視する場合は避けることが推奨されます 20。
オーブンの個体差を理解し、適切な温度管理を行うことは、特に繊細な焼き菓子やパンの再現性を高める上で不可欠な要素です。
食材の温度が味覚に与える影響と最適な提供温度
食べ物や飲み物の味覚は、温度によって感じ方が大きく変化します 21。この温度と味覚の関係を理解することは、料理の最終的な美味しさをコントロールし、再現性を高める上で非常に重要です。
- 甘味: 甘味は体温に近い温度(約30℃)で最も強く感じられ、低温や高温になるほど弱くなります 21。このため、冷たいデザートや飲み物には、甘味を強く感じさせるために多くの糖分が使われる傾向があります。特に、ハチミツや果物に多く含まれる果糖は、低温で甘味を強く感じる特性があります 21。
- 塩味: 塩味は温度が低くなるほど強く感じられます 21。温かい汁物が冷めると塩辛く感じるのはこのためです。減塩を意識する際には、料理を冷やして提供することで、少ない塩分量でも塩味を強く感じさせることができます 21。
- 酸味: 酸味の感じ方は温度によってあまり変化しませんが、加熱すると酢酸のような揮発性のある酸が飛び、酸味が弱まることがあります 21。
- 苦味: 苦味は低温から体温程度の温度で強く感じられ、高温では感じにくくなります 21。冷めたコーヒーがより苦く感じられるのはこのためです。
- うま味: うま味は甘味と同様に、体温に近い温度(約30℃)で最も強く感じられ、低温や高温になるほど弱くなります 21。出汁のうま味を最大限に引き出すためには、適切な温度で調理することが重要です 21。
料理には、その味覚の特性を最大限に引き出すための最適な提供温度があります。例えば、みそ汁は62~70℃、ごはんは40~48℃、サラダは4~10℃が適温とされます 22。料理が冷めると美味しくなくなるのは、塩味や苦味が強調されることも一因です 22。
以下に、主要な味覚と温度の関係を示します。
表3:味覚と温度の関係表
味覚 | 低温での感じ方 | 体温付近での感じ方 (約30℃) | 高温での感じ方 | 特徴/備考 |
甘味 | 弱くなる (果糖は強く感じる) | 最も強く感じる | 弱くなる | 冷たいスイーツに糖分が多い理由。 |
塩味 | 強く感じる | 中程度 | 弱くなる | 冷めた汁物が塩辛く感じる。減塩に活用可能。 |
酸味 | 変化なし | 変化なし | 変化なし (揮発性酸は減少) | 加熱で酢酸が飛ぶと酸味は弱まる。 |
苦味 | 強く感じる | 強く感じる | 弱くなる | 冷めたコーヒーがより苦く感じる。 |
うま味 | 弱くなる | 最も強く感じる | 弱くなる | 出汁の最適な温度管理が重要。 |
注:体温との温度差が25℃以上あると美味しく感じやすいが、70℃以上、5℃以下では感覚が麻痺し味を感じにくくなる傾向があります 22。
この温度と味覚の相互作用を理解し、調理中だけでなく提供時にも適切な温度を意識することで、料理の再現性を高め、食べる人に一貫して最高の味を提供することが可能になります。
加熱時間と食感・味の変化の科学
加熱時間は、食材の食感や味の浸透に決定的な影響を与えます。同じ食材でも、加熱の仕方や時間によって、全く異なる仕上がりになることがあります。
例えば、魚の煮付けでは、煮汁が冷たい状態から魚を入れ、徐々に温度を上げていくことが重要です 23。煮汁が40~50℃くらいのときに魚のうま味が引き出され始めると言われており、最初から熱々の煮汁に入れてしまうと、うま味が引き出される前に魚が煮えてしまい、パサパサとした食感になる可能性があります 23。適切な温度でじっくり加熱することで、魚のうま味を最大限に引き出し、しっとりとした食感を保つことができます。
また、「ひと煮立ち」という調理用語は、煮汁や汁物に具材を追加して温度が下がった際に、再び沸騰させて短時間(約30秒)煮立たせることを指します 24。これにより、味をなじませたり、葉物野菜の色を鮮やかに保ったりする効果があります。
食材の持つタンパク質やデンプンは、加熱によって変性し、食感やとろみを生み出します。例えば、卵の「熱凝固性」は、加熱によって固まる性質であり、カスタードクリームのダマを防ぐためには、卵黄が固まる温度を理解し、弱火でかき混ぜ続けるといった温度管理が不可欠です 25。また、小麦粉のデンプンは「糊化」することで柔らかくなり、シュー生地が膨らむ要因となります 25。
このように、加熱時間と温度を科学的に理解し、食材の特性に合わせて調整することは、料理の再現性を高める上で不可欠な技術です。
D. 環境要因と段取り:キッチンは小さな実験室
料理の再現性は、調理者の技術や食材の質だけでなく、キッチンという「小さな実験室」の環境要因や、調理プロセス全体の段取りにも大きく左右されます。
室温・湿度が料理と食品衛生に与える影響
キッチンで火を使う調理は、熱とともに蒸気による湿気を発生させ、高温多湿の環境を生み出します 26。このような環境は、調理者の熱中症リスクを高めるだけでなく、食品衛生上の問題を引き起こす可能性があります。
高湿度は、食中毒菌の増殖を活発化させ、カビの発生や害虫(ゴキブリ、コバエなど)の発生リスクも高めます 11。特に、細菌の増殖に適した温度帯(30〜38℃)と高湿度が揃うと、食材の汚染が始まりやすくなります 11。カビは温度25℃、相対湿度70%で発生し、湿度90%ではわずか2日で目に見えるほど増殖することもあります 11。食品の安全性を確保するためには、温度と同様に湿度の管理も重要であり、換気扇の活用やエアコンの使用が推奨されます 26。
標高による水の沸点変化と調理への影響
標高が高い場所では気圧が低くなるため、水の沸点が100℃よりも下がります 27。例えば、富士山の山頂(標高3,776m)では約88℃で水が沸騰します 28。
この沸点低下は、特に水を使った調理に大きな影響を与えます。ご飯を炊く際に芯が残ったり、ラーメンの麺が十分に煮えなかったりする原因となります 28。これは、水が沸騰していても、食材の内部まで十分に熱が伝わらないためです。このような環境下での調理の再現性を高めるためには、圧力鍋の使用や調理時間の延長といった対策が有効です 28。
効率的な段取りと調理手順の組み立て
料理の段取りが悪いと、食材の長時間水さらし、火の通しすぎ、味付けミスなど、様々な失敗につながり、最終的な味に影響が出ます 13。
効率的な段取りのためには、料理を始める前にレシピ全体をしっかりと確認し、必要な材料や道具を把握することが重要です 13。また、調味料を事前に計量して混ぜておく、材料を全て必要な大きさに切っておくなど、あらかじめ料理の流れを把握し準備しておくことで、調理中の焦りを防ぎ、スムーズな作業が可能になります 13。これにより、調理中の判断ミスや手際の悪さによる品質のばらつきを減らし、再現性を高めることができます。
混ぜ方、切り方など、基本的な調理技術の習熟
料理の再現性を高めるためには、混ぜ方や切り方といった基本的な調理技術の習熟が不可欠です。例えば、親子丼の卵を溶く際、均一に混ぜすぎず、白身を少し残すことで、半熟の食感と味の深みを出すことができます 30。また、食材の大きさを揃えて切ることは、均一に火が通り、味も均等に染み込みやすくなるため、料理の品質を安定させる上で重要です 13。
これらの基本的な技術は、一朝一夕に身につくものではなく、反復練習によって習熟するものです 4。プロの料理人も、日々の練習と経験の積み重ねによって確実な技術を築いています 31。正確な計量、適切な火加減の調整と並行して、基本的な調理技術を磨くことが、料理の再現性を向上させる上で不可欠な要素となります。
IV. 「料理のゴール」設定の重要性:イメージを具現化する力
料理の再現性を追求する上で、単にレシピの手順を追うだけでなく、その料理がどのような最終的な姿、味、食感を目指すのかという「料理のゴール」を明確に設定することが極めて重要です。この明確なゴール設定こそが、漠然とした「美味しい」から、意図した「想像通りの味」へと料理を導く力となります。
漠然とした「美味しい」から具体的な「ゴール」への転換
多くの人が「美味しい料理」を目指して調理を始めますが、その「美味しい」が具体的に何を指すのかが曖昧なまま進行することが少なくありません 5。例えば、麻婆豆腐を作った際に「お店っぽくない」「もっと痺れるかと思ったのに」「なんか、味に深みが足りないかも…」といった違和感が生じるのは、作り手が「どのような味や食感を目指すのか」という明確なゴールを設定していないことに起因すると指摘されています 5。
料理の再現性を高めるためには、まずレシピを探すことから始めるのではなく、「自分がどんな一口を体験したいか?」という具体的なゴールを先に言語化することが推奨されます 5。その上で、その目的を達成するために必要な食材や調理法を後から選択する、いわば「レシピ後付け」の考え方が有効です 5。このアプローチにより、調理の各段階で「この工程は、あのゴールにどう繋がるのか」という意識が生まれ、より意図的でコントロールされた調理が可能になります。
料理の地域性、スタイル、辛さの種類など文化背景の理解
料理には、その発祥地の文化や食習慣に根ざした独自の「スタイル」が存在します。この文化背景を理解することは、料理の「設計図」を明確にし、期待通りの味に近づける上で不可欠です。
麻婆豆腐の例で言えば、四川省発祥の「四川風」は、唐辛子の辛味と花椒(ホアジャオ)の痺れが特徴的であり、豆板醤や花椒が主要な材料となります 5。一方、広東風は四川風に比べてマイルドで、香辛料よりも素材の風味を重視し、甘さと旨味が特徴です。甜麺醤や海鮮醤、オイスターソースが使われます 5。さらに、日本で一般的に提供される麻婆豆腐は、かなり甘口の味付けが多く、味噌ベースで作られ、香辛料はあまり使われない傾向があります 5。
辛さ一つをとっても、四川料理には「麻辣(痺れる辛さ)」や「香辣(香ばしい辛さ)」など、6種類の「意味」があるとされています 5。これらの辛さの種類を意識することで、単なる辛さの強弱だけでなく、香りや痺れといった複雑な味の設計が可能になります 5。
これらの地域性や味のバリエーションといった文化背景を理解せずにレシピをなぞるだけでは、「どのスタイル」の麻婆豆腐を目指しているのかが曖昧なまま調理を進めることになり、結果としてイメージとのずれが生じます 5。料理のゴールを明確に描くためには、その料理が持つ文化的な背景や、味の多様性を深く理解することが不可欠なのです。
「なぜおいしくなるのか」の理由を知ることの重要性
単にレシピの「手順」をなぞるだけでなく、「なぜこの手順が、この材料が、この火加減が、最終的な美味しさにつながるのか」という根本的な理由を理解することが、料理の再現性を高める上で最も重要です 32。この理解は、料理を単なる作業から、食材の化学変化や物理的特性を操る科学実験へと昇華させます。
例えば、魚の煮付けで冷たい煮汁から魚を入れるのは、うま味成分が溶け出しやすい温度帯を長く保ち、味がしっかり染み込むようにするためです 23。また、高温で煮ると身が硬くなるのは、タンパク質の変性によるものです 23。このような科学的な理由を知ることで、レシピの指示が単なる暗記すべき情報ではなく、料理の原理を理解するためのヒントとなります。
この「なぜ」の理解が深まることで、レシピに書かれていない微細な調整や、予期せぬ状況(例えば、食材の鮮度がレシピの想定と異なる場合や、オーブンの癖)への対応が可能になります。これにより、料理の失敗を減らし、安定した品質の料理を作り出すことができるようになるのです。料理のプロセスを深く理解することは、調理者がより自信を持って、そして創造的に料理に取り組むための基盤を築きます。
V. 料理の再現性を高めるための実践的アプローチ
料理の再現性を高めるためには、理論的な理解だけでなく、日々の実践を通じて具体的なアプローチを身につけることが不可欠です。料理を単なる作業としてではなく、科学的な探求と芸術的な表現の場として捉えることで、その質を一貫して向上させることができます。
レシピを「科学研究レシピ」として読み解く
料理は、材料を加熱、冷却、混合することで化学反応や変化が起こるため、科学実験と定義することができます 29。この観点から見ると、レシピはまさに「科学研究レシピ」と捉えることが可能です 29。科学研究における再現性(reproducibility)は、別の研究者が同じ方法、同じ条件で同じ実験を行った場合に、同じ結果が得られることを意味します 33。料理においても、この再現性を目指すためには、レシピを単なる手順書としてではなく、実験の設計図として読み解く必要があります。
レシピを読み込む際には、単に材料の分量や調理手順を追うだけでなく、その背景にある科学的原理(例えば、温度が食材の性質に与える影響、物質の相変化など)を意識することが重要です 29。プロの料理人が「味の再現性」を高めるために、ターゲットとなる商品を分析し、「味の五味」(うま味、甘味、塩味、酸味、苦味)や理化学分析(Brix、塩分値、pH値)を行うように 34、家庭でも可能な範囲で、なぜその味がするのか、なぜその食感になるのかを意識的に観察し、記録することが再現性向上につながります。このアプローチにより、レシピが提供する情報をより深く理解し、自身の調理に活かすことが可能になります。
基礎技術の反復練習と五感(特に嗅覚)の活用
料理の再現性を高める上で、基礎技術の習熟は欠かせません。料理の基本である「切る」「煮る」「焼く」といった動作を丁寧に実践し、包丁の正しい使い方、火加減の微細な調整、油の適切な温度の見極めなど、小さな積み重ねが料理の完成度を決定します 4。プロの料理人も、日々の反復練習と経験の積み重ねによって、これらの確実な技術を築き上げています 31。
また、料理においては、味覚だけでなく、五感を研ぎ澄ますことが非常に重要です。特に嗅覚は、料理の再現において決定的な役割を果たします。プロの料理人が味の再現を行う際に、最初にその商品の匂いを嗅ぎ、その後、商品を分解して個々の食材の香りを確かめるように 35、調理中の香りの変化を感じ取ることで、味のバランスや調理の進捗を判断する能力が養われます。例えば、食材が焦げ始めた匂い、香辛料が油に溶け出す香り、煮詰まって味が凝縮される香りなど、微細な変化を捉えることで、レシピに書かれていない「ちょうど良いタイミング」を見極めることができます。これは経験を積むことで磨かれる感覚であり、料理の再現性を飛躍的に向上させる鍵となります。
失敗を「特徴」と捉え、創造的にリカバリーする思考
料理の失敗は、調理の過程で避けられないものです。しかし、それをネガティブな経験として終わらせるのではなく、「特徴」として再解釈し、新たな料理へと転換する創造的な思考を持つことが重要です 36。この考え方は、料理への情熱と好奇心を維持し、経験から学ぶ姿勢を育みます。
例えば、衣をつけすぎてしまったフリットを「ふわふわの美味しい衣をまとったクセのない野菜」と捉え直し、エビチリ風の餡を絡ませたり、クリーミースープに添えたりすることで、失敗作が新たな一品に生まれ変わるという事例が報告されています 36。同様に、「しょっぱい」という失敗を「十分に塩分が効いている」と捉え、「出汁で伸ばす」などの対策を考えたり、「煮込みすぎた」料理を「トロトロの食感」と捉え、「ディップソースにする」などのリカバリーを試みたりすることができます 36。
このようなポジティブな視点を持つことで、失敗から学ぶ機会が増え、問題解決能力が向上します。これは、料理の再現性を高めるだけでなく、調理者自身の創造性と適応能力を養うことにも繋がります。
プロの料理人から学ぶ一貫性、時間管理、顧客評価の視点
プロの料理人は、家庭料理とは異なる厳しい環境下で、常に高い品質の料理を提供し続けています。彼らから学ぶべき重要な視点がいくつかあります。
第一に、「常に一定の味を安定して作り出す一貫性」です 2。プロは、お客様が前回と同じ味を期待していることを理解し、その期待に応えるために、調味料の量や火加減、盛り付けの位置まで細部に気を配り、1グラム単位の調味料の違いや数秒の火入れ時間の差が料理の出来を大きく左右することを認識しています 31。この一貫性を追求する姿勢は、家庭料理においても、より安定した品質の料理を作り出す上で役立ちます。
第二に、「定められた時間内に料理を完成させる時間管理能力」です 2。お客様を待たせないよう迅速に料理を作ることは、プロにとって非常に重要です。家庭料理においても、効率的な段取りや手順の組み立てを意識することで、調理中の焦りを減らし、提供時の最適な温度を保つことにも繋がります。
第三に、「お客様に満足してもらうことを最優先する顧客評価の視点」です 2。プロの料理人は、自分が美味しいと思うだけでなく、お客様が評価してくれなければお店は継続しないという現実を認識しています。この「誰に届けて食べてもらうのかを意識する」という視点は、家庭料理においても、食べる人の好みや健康状態を考慮した料理作りに繋がり、結果として食べる人の満足度を高めます。
これらのプロフェッショナルな視点を取り入れることで、家庭料理はより計画的で効率的になり、食べる人の喜びを追求する、より深い体験へと進化するでしょう。
VI. 結論:料理は科学であり芸術である
料理の再現性は多岐にわたる要因の複合体であることの再確認
レシピ通りに作っても同じように作れないという問題は、単一の要因に起因するものではなく、多岐にわたる要素が複雑に絡み合った結果生じる現象です。レシピが提供する「形式知」としての情報だけでは、料理人の経験や感覚に基づく「暗黙知」、食材の持つ自然なゆらぎ(鮮度、産地、品種、微生物の活動など)、調理環境の変動(室温、湿度、標高)、そして調理者の微細な技術差といった、多くの「見えない要素」を完全にカバーすることはできません。料理は、これら全ての要素が相互に影響し合う「複雑系」であり、その結果は常に変動する可能性を内包しています。再現性を追求することは、この複雑性を理解し、制御しようと試みるプロセスに他なりません。
科学的理解と実践的経験の融合が、料理の質を高める鍵
料理の再現性を高めるためには、単に手順をなぞるだけでは不十分です。食材の化学変化(例:加熱によるタンパク質の凝固やデンプンの糊化)、熱の物理(例:調理器具の熱伝導性や熱容量)、微生物の働き(例:腐敗と発酵)といった「科学的理解」を深めることが不可欠です。この科学的知識は、レシピの「なぜ」を解き明かし、調理中の現象を論理的に把握するための基盤となります。
同時に、五感を研ぎ澄まし、日々の実践を通じて培われる「実践的経験」と「感覚」が、レシピの曖昧さを補い、予期せぬ状況に応じた柔軟な対応を可能にします。例えば、調理中の香りの変化で火の通り具合を判断したり、味見を通じて味のバランスを調整したりする能力は、経験によって磨かれるものです。この科学的理解と実践的経験の融合こそが、料理の質を一貫して高め、安定した結果を生み出す鍵となります。
料理への情熱と好奇心、そして食べる人への「愛」が最終的な美味しさを生み出す
最終的に、料理の美味しさを決定づけるのは、作り手の料理に対する深い情熱と探求心、そして何よりも「食べる人を喜ばせたい」という深い愛情と「おもてなしの心」です 4。これらの非科学的な、しかし極めて人間的な要素が、技術や知識を活かし、料理に「魂」を吹き込み、記憶に残る一皿を生み出します。
料理は単なる栄養摂取の手段ではなく、感情や文化を伝える芸術でもあります。科学的なアプローチで再現性を高め、技術を磨くことは重要ですが、その根底には常に、食べる人への思いやりと、料理そのものへの愛情がなければなりません。この愛情と好奇心こそが、調理者を成長させ、どんなレシピを使っても、あるいはレシピなしでも、最高の美味しさを追求し続ける原動力となるのです。
第一次世界大戦に従軍した日本人の記録に関する包括的報告
I. はじめに:第一次世界大戦と日本人の関与
第一次世界大戦は、20世紀の国際関係と各国社会に甚大な影響を与えた世界的紛争であり、日本もまたこの大戦に深く関与した。本章では、日本の第一次世界大戦への参戦概要とその歴史的背景を概観し、本報告が焦点を当てる日本人従軍者の記録の範囲と目的を明確にする。
第一次世界大戦における日本の参戦概要と歴史的背景
日本は1914年8月、日英同盟を口実として第一次世界大戦に参戦し、協商国側としてドイツに宣戦布告した 1。この参戦は、単なる同盟義務の履行に留まらず、当時の元老である井上馨が「日本国運の発展にたいする大正新時代の天佑(天の助けの意味)」と評したように、ドイツが持つ権益を奪い、自国の勢力圏を拡大する好機として捉えられた側面が強かった 1。
日本の主な軍事行動としては、まず1914年11月7日の青島要塞陥落に代表される青島のドイツ基地攻撃が挙げられる。日本軍は膠州湾を封鎖し、山東半島に上陸して青島要塞を陥落させた後、ドイツ支配地域を越えて山東鉄道沿いに進出し、済南に至る地域を占領した。この占領地は戦後も中国に還付されず、軍政が敷かれることとなった 1。さらに、太平洋方面ではドイツ領南洋諸島を委任統治領として獲得し、中国大陸への進出と太平洋における影響力拡大の足場を築いた 1。
また、1917年には地中海に艦隊を派遣し、連合国の一員としての役割を果たした 1。そして、ロシア革命に干渉するため、1918年にはシベリア出兵を行った。この出兵では、各国が約7,000人の兵力を派遣したのに対し、日本は10倍の73,000人もの兵力を派遣し、1922年まで駐留を続けたため、各国の非難を浴びることとなった 2。このシベリア出兵は、多数の死者を出し、10億円もの戦費を費やしながらも、日本にとって得るものがほとんどなかったと評価されている 2。
これらの行動は、日本が国際的な大戦を自国の国益拡大に利用しようとする明確な戦略的意図を持っていたことを示している。日本の参戦は単なる「参戦」という事実の背後にある、帝国主義的な領土拡張という動機を深く理解する上で重要な要素である。これは、大戦が日本にとって単なる国際義務ではなく、国内の政治的・経済的野心を満たすための手段であったという、より深い歴史的背景を物語る。
本報告の目的と対象範囲
本報告は、第一次世界大戦に従軍または関与した日本人の記録に焦点を当て、その多様な側面と現存する資料の所在を明らかにすることを目的とする。対象範囲は、狭義の兵士に限定せず、衛生兵や従軍看護婦といった医療関係者、さらには軍属(軍に勤務する民間人)や、カナダ軍に入隊した日系人義勇兵など、広範な「日本人」の関与を含めて考察する。これにより、戦争が社会全体に与えた影響を多角的に理解するための基礎情報を提供する。
II. 日本の第一次世界大戦における主要な動向と人的側面
日本の第一次世界大戦への参戦は、その後の国際的な地位確立と国内社会に多大な影響を与えた。ここでは、主要な軍事行動と、それに伴う日本人の多様な役割、そして戦争がもたらした人的・経済的影響について詳細に論じる。
参戦の経緯と主な軍事行動
日本は1914年8月23日、ドイツに宣戦布告を行い、第一次世界大戦に本格的に参戦した 1。主要な軍事行動は以下の通りである。
- 青島攻略戦: 日本海軍は膠州湾を封鎖し、陸軍は9月2日に山東半島に上陸。11月7日には青島要塞を陥落させ、ドイツ軍を降伏させた 1。この作戦後、日本軍はドイツの支配地域を越えて山東鉄道沿いに進出し、済南に至る広範な地域を占領した。戦後もこれらの占領地は中国に還付されず、軍政が敷かれることになった 1。
- 地中海への艦隊派遣: 1917年、日本は連合国の一員として地中海に艦隊を派遣し、連合国の海上交通路の確保に貢献した 1。
- シベリア出兵: 1918年、ロシア革命への干渉を目的としてシベリア出兵を行った。この出兵において、各国が約7,000人規模の兵力を派遣したのに対し、日本は突出して大規模な73,000人もの兵力を送り込んだ 2。日本軍は1922年までシベリアに駐留を続けたため、国際社会から非難を浴びた 2。この出兵は、ニコライエフスク事件で日本軍守備隊が全滅するなどの犠牲を伴い、多数の死者を出した上に、約10億円という莫大な戦費を費やしたにもかかわらず、日本にとって戦略的な成果はほとんど得られなかったとされている 1。
これらの軍事行動は、日本が第一次世界大戦を自国の国益拡大、特に中国大陸と太平洋地域における影響力強化の機会として最大限に利用しようとしたことを示している。
従軍した日本人の多様な役割
第一次世界大戦に「従軍した日本人」という表現は、単に前線で戦った兵士だけでなく、多岐にわたる役割を担った人々を指す。
- 兵士: 第一次世界大戦に従軍した兵士の記録は、国立公文書館アジア歴史資料センターなどで公文書として確認できる 3。これらの記録は、軍事行動の全体像を把握する上で不可欠である。
- 医療関係者:
- 衛生兵: 衛生兵は、陸軍病院での勤務や、連隊の医務室で軍医の助手を務めるなど、多岐にわたる医療支援の役割を担った 4。シベリア出兵に看護兵として従軍した作家の黒島伝治は、その経験を基に反戦文学を執筆しており、戦場の現実が個人の思想や創作活動に大きな影響を与えたことを示唆している 4。
- 従軍看護婦: 日本赤十字社は第一次世界大戦が始まると、直ちに病院船2隻と救護班を派遣し、ロシア、フランス、英国といった連合国側にも救護班を送り、傷病者の治療に当たった 6。特にパリに設置された病院では、重傷患者の手術が間断なく行われ、週に1回家族に病状を知らせるなど、患者への細やかな配慮がなされた記録もある 7。日清戦争で日赤看護婦が初めて招集され、「従軍看護婦」として国民に認知されるようになった経緯もあり、日露戦争では2160名もの日赤看護婦が従軍し、39名の犠牲者を出している(犠牲者は病死で内地勤務) 8。
- 軍属・民間人:
- 軍属: 軍属は軍人以外の者で、本人の意思により職業として陸海軍に勤務した人々を指す。彼らは技術部門の研究・開発、軍の学校・教育機関の教官、車両・航空機の保守点検、軍需物資の補給・輸送、軍事施設の建設・維持管理、基地・駐屯地内の売店や食堂の営業など、多岐にわたる非戦闘職務を担った 9。
- 日系人義勇兵: カナダに在住していた日本人約200人は、カナダ軍に入隊し、西部戦線(フランス北部)においてイギリス軍の指揮下で歩兵として戦った。この戦いでは約50名の日本人戦死者が出た記録があり、その経緯については諸岡幸麿が回想録『アラス戦線へ』を著している 11。
- ドイツ兵捕虜: 日本の第一次世界大戦への関与の人的側面として、日本に収容された約4700名のドイツ兵捕虜(ドイツ人、オーストリア人、ハンガリー人、チェコ人、ポーランド人など)の存在も挙げられる 13。彼らは国際法(ハーグ条約)を遵守した扱いを受け、経済活動は禁じられたものの、宗教活動や娯楽の自由は保障され、収容所内には売店やレストランも完備されていた 13。
戦争がもたらした人的・経済的影響
第一次世界大戦は、日本に多大な人的・経済的影響をもたらした。
- シベリア出兵の代償: シベリア出兵は、前述の通り、多数の死者と10億円もの戦費を費やしたにもかかわらず、戦略的な成果はほとんど得られなかった 2。これは、日本の国家戦略が必ずしも成功に結びつかなかった一例である。
- 元捕虜の苦悩: 第一次世界大戦中に捕虜となった日本兵に関する明確な記録は少ないが、捕虜となった後に故郷に復員した兵士の中には、開拓農家の厳しい生活や貧困、マラリア後遺症に悩まされ、アルコール依存症となるケースがあった。彼らは周囲から「戦争ぼけ」と揶揄されるなど、戦後の社会に適合できないという長期的な苦悩を抱えた 15。
- 精神的影響: 日本に収容されたドイツ兵捕虜もまた、収容所での無為な日々や閉所恐怖症によって精神障害に悩まされ、俗にいう「有刺鉄線病」を経験した 13。これは、戦争が肉体的な損傷だけでなく、精神的な苦痛を長期にわたってもたらすことを示している。
これらの記録からは、「従軍した日本人」という表現が、単に戦闘員だけでなく、医療従事者、軍属、さらには外国軍に志願した日系人まで含む多様な人々を指すことが明らかになる。これらの非戦闘員や外国軍所属の日本人の記録は、従来の軍事史観では見過ごされがちであるが、戦争が社会全体に与えた影響を多角的に理解する上で不可欠である。また、戦後の社会復帰の困難さや精神的な苦悩(アルコール依存症、有刺鉄線病など)は、戦争の直接的な人的被害だけでなく、長期的な社会・心理的影響という「見えないコスト」が存在したことを示唆している。
第一次世界大戦における日本の主要な軍事行動とそれに伴う人的・経済的側面をまとめた表を以下に示す。
表1:第一次世界大戦における日本の主要な軍事行動と人的・経済的側面
項目 | 内容 | 参照資料 |
参戦時期 | 1914年8月23日(ドイツに宣戦布告) | 1 |
主要戦域 | 青島(中国山東半島)、南洋諸島、地中海、シベリア | 1 |
青島攻略 | 1914年11月7日青島要塞陥落、山東鉄道沿い済南まで占領、戦後も軍政継続 | 1 |
南洋諸島占領 | ドイツ領南洋諸島を委任統治領として獲得 | 1 |
シベリア出兵 | 兵力:約73,000人(他国は7,000人規模)<br>駐留期間:1918年~1922年<br>戦費:約10億円<br>人的被害:多数の死者(ニコライエフスク事件含む)<br>国際的評価:各国の非難、得るものほとんどなし | 1 |
地中海艦隊派遣 | 1917年、連合国側として艦隊を派遣 | 1 |
日本人捕虜の戦後 | マラリア後遺症、アルコール依存症、社会不適合などの苦悩 | 15 |
ドイツ兵捕虜 | 約4700名が日本に収容、国際法遵守の扱い<br>精神的影響:「有刺鉄線病」に悩まされる | 13 |
この表は、日本の第一次世界大戦への関与の全体像と規模を迅速に把握する上で有用である。シベリア出兵の規模とコストの対比は、その後の日本の歴史に与えた影響を考察する上で重要な基盤となる。
III. 第一次世界大戦関連記録の種類と主要な所在機関
第一次世界大戦に従軍または関与した日本人の記録は多岐にわたり、様々な機関に所蔵されている。これらの記録は、公的・公式な文書から個人の手記、視覚資料、そして研究出版物に至るまで多様である。
A. 公的・公式記録
公的・公式記録は、国家や軍の視点から戦争の経緯や軍事戦略、統計を記す傾向がある。
- 国立公文書館およびアジア歴史資料センター:
- 国立公文書館は、明治、大正、昭和期の日本政府の中央公文書館として、第一次世界大戦関連の公文書を所蔵している 16。
- アジア歴史資料センターは、1860年代から1945年前後の日本とアジア近隣諸国との関係に関わる歴史資料(目録・画像)をインターネット上で提供する電子資料センターであり、国立公文書館によって運営されている 17。同センターでは、「第一次世界大戦と日本」をテーマとした資料も公開されており、テーマ別にキーワード検索や年表からのアクセスが可能である 18。
- 「戦争調査会事務局調査官担当予備調査項目」には、第一次欧州大戦後の国際情勢に関する判断など、軍事関連の重要資料が含まれている 3。
- 旧陸軍軍人の軍歴を記した「兵籍簿」は、そのご本人の本籍地の都道府県に保管されており、三親等以内の血族であれば閲覧が可能な場合が多い 19。
- 防衛省防衛研究所:
- 防衛省防衛研究所図書館は、「歴史的資料を特別に管理する施設」として政令指定されており、第一次世界大戦に関する研究論文や資料を多数所蔵している 16。
- 同研究所からは、「日本と第一次世界大戦」(石津朋之)や「第一次世界大戦が日本陸軍の戦術上の発展に及ぼした影響」(阿部昌平)といった専門論文が発表されている 20。
- フランス出征軍に従軍し、フランス陸軍の近代化の過程を直接体験した小林順一郎(十三期)の記録など、一部の従軍体験に関する記述も存在し、軍事技術や戦術の発展への影響を考察する上で貴重な情報源となる 22。
- 外務省外交史料館:
- 外務省外交史料館には、外国人に対する日本政府からの叙勲に関する記録など、第一次世界大戦中の日英共同作戦に従事した人物に関する記録が所蔵されている 23。
- また、終戦時の降伏文書全文や、日本軍の戦闘停止・武装解除手続き、捕虜・抑留者に関する情報提供などを規定した指令第一号の原本が特別展示された事例もある 24。
B. 個人記録・手記
個人記録・手記は、個人の内面、日常、苦悩、戦後の影響に焦点を当てることで、公式記録では捉えきれない戦争の人間的な側面を補完する。
- 日記・回想録:
- シベリア出兵に看護兵として従軍した作家の黒島伝治の『軍隊日記』は、軍務についていた頃の日記が戦後に刊行されたもので、遺稿・書簡の多くが焼却された中で残された貴重な記録である 4。香川県小豆郡内海町立図書館には「黒島伝治文庫コーナー」として蔵書が保管されている 25。
- カナダ軍に入隊し西部戦線で戦った諸岡幸麿の回想録『アラス戦線へ』は、国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧可能であり、カナダにおける日系人義勇兵の貴重な記録となっている 11。
- 群馬県立図書館には「太平洋戦争従軍記」や「シベリア抑留の記録」といった個人著書が収蔵されているが、第一次世界大戦に直接関連する従軍記であるかは明記されていない 28。
- 国立国会図書館には、大正期に出版された第一次世界大戦中の書籍や、政治家・浅沼稲次郎のノートなど、当時の政治家や経済学者の思想や自己研鑽の記録が含まれる可能性があり、当時の社会状況や個人の心情を読み解く手がかりとなる 29。
- 従軍体験談:
- 第一次世界大戦中に捕虜となり復員した日本兵の中には、故郷での厳しい生活、貧困、マラリア後遺症、アルコール依存症に苦しみ、「戦争ぼけ」と揶揄されるなど、戦後の社会に適合できなかったケースがあったことが報じられている 15。これらの体験談は、戦争が個人の人生に長期にわたり深い影を落とすことを示している。
- 大和市や諫早市では、一兵士の戦争体験記が公開されており、軍隊生活の様子や病気、空襲の恐怖などが記されているが、これらは主に第二次世界大戦期の体験が中心である可能性が高い 31。
C. 視覚・映像資料
視覚・映像資料は、当時の状況を直感的に伝えるが、その編集や選択によって特定のメッセージを伝える可能性も考慮する必要がある。
- 写真・写真雑誌:
- 当時の写真雑誌である『歴史写真』、『写真通信』、『内外写真時報』では、第一次世界大戦の戦局が写真で継続的にカバーされていた 33。これらの写真雑誌は、国立国会図書館デジタルコレクションなどで閲覧できる可能性がある 34。
- 国立国会図書館には「近代日本人の肖像」として、政治家、官僚、軍人、実業家、学者、芸術家など約750名以上の肖像写真が公開されており、当時の人物像を視覚的に捉えることができる 34。
- 靖国神社境内に併設された遊就館には、幕末維新から大東亜戦争に至る戦没者や軍事関係の資料が収蔵・展示されており、第一次世界大戦に関する資料も含まれている。ここでは、戦没者の遺影や遺品が多数展示されている 38。
- 昭和館は、昭和期の国民生活の労苦に焦点を当てた資料館であり、第一次世界大戦に直接関連する展示は少ない可能性があるが、当時の社会状況を示す写真資料は存在し、戦争が人々の生活に与えた影響を多角的に理解する上で参考となる 44。
- 平和祈念展示資料館は、兵士、戦後強制抑留者、海外からの引揚者の労苦に関する資料を展示しており、写真やグラフィック資料も含まれるが、第一次世界大戦に特化した展示は少ない可能性がある 47。
- 活動写真(映画)・ニュース映画:
- 戦時期の日本に伝えられた戦争の映像は、活動写真(映画)でも報じられていた。国立映画アーカイブでは、当時の外国映画のポスターなどがデジタルギャラリーで公開されており、第一次世界大戦を舞台にしたチャップリンの作品『担へ銃』のポスターも確認できる 55。
- NHKスペシャル『映像の世紀』第2集は第一次世界大戦を主題としており、当時の機関銃の殺傷力、塹壕の内部、毒ガス使用、戦車などの記録映像を多数含んでいる 57。また、『新・映像の世紀』第1集も第一次世界大戦を扱っており、DVDやブルーレイで視聴可能である 58。
D. 研究出版物・論文
研究出版物や論文は、既存の資料を分析し、新たな視点や解釈を提供する。
- 第一次世界大戦を主題とする日本で最初の論文集が東京大学から出版されており、この戦争が今日の世界に与えた影響について多角的に分析されている 63。
- 錦正社からは、第一次世界大戦が民間人および市民社会に与えた影響を検討した論文集『第一次世界大戦と民間人:「武器を持たない兵士」の出現と戦後社会への影響』が出版されており、ドイツ、フランス、イタリア、ロシア、ハンガリー、日本史の専門家による研究成果がまとめられている 64。
- 防衛省防衛研究所の国際共同研究シリーズにも第一次世界大戦に関する論文が多数収録されており、日本の軍事戦略や戦術の発展が多角的に分析されている 20。
第一次世界大戦に関する日本の記録は、公的機関に集中している公式記録と、個人が残した日記や回想録、そして視覚資料に大別される。公式記録は国家の視点から戦争の経緯や軍事戦略を記す傾向がある一方、個人記録は兵士や関係者の内面的な体験や苦悩、戦後の生活への影響といった、より人間的な側面を補完する。これらの異なる種類の記録を横断的に参照することで、戦争の全体像をより多角的かつ深く理解できる。
例えば、シベリア出兵の公式記録は、多額の戦費と多数の死者、そして各国の非難を浴びたという事実を述べる 2。しかし、個々の兵士がその中で何を経験し、どのように感じたかは、黒島伝治の『軍隊日記』のような個人記録でしか補完できない 4。したがって、第一次世界大戦における日本人の記録を包括的に理解するためには、これら異なる種類の記録を相互に参照し、それぞれの限界と強みを認識しながら分析することが不可欠である。これにより、単一の視点では見えにくい戦争の多面性や、公式の歴史の裏に隠された個人の体験が明らかになる。
第一次世界大戦関連記録の種類と主要な所在機関をまとめた表を以下に示す。
表2:第一次世界大戦関連記録の種類と主要な所在機関
記録の種類 | 主要な保管・閲覧機関 | 主な所蔵内容の例 | アクセス方法の概要 | 参照資料 |
公文書 | 国立公文書館<br>アジア歴史資料センター<br>防衛省防衛研究所<br>外務省外交史料館 | 日本政府の公文書、軍事関連資料、兵籍簿、外交記録、降伏文書 | オンライン閲覧可(一部)、来館要、要申請 | 3 |
日記・回想録 | 国立国会図書館<br>地方図書館<br>オンラインデータベース | 作家(黒島伝治)、日系人義勇兵(諸岡幸麿)などの手記、政治家のノート | オンライン閲覧可(一部)、来館要、要申請 | 3 |
従軍体験談 | 各種資料館<br>オンライン記事 | 捕虜経験者の戦後生活の苦悩、兵士の軍隊生活 | オンライン閲覧可(一部)、来館要 | 15 |
写真・写真雑誌 | 国立国会図書館<br>遊就館<br>昭和館<br>平和祈念展示資料館 | 当時の写真雑誌、近代日本人の肖像、戦没者の遺影・遺品、当時の社会状況写真 | オンライン閲覧可(一部)、来館要 | 33 |
活動写真(映画)・ニュース映画 | 国立映画アーカイブ<br>NHKアーカイブス | 当時の映画ポスター、記録映像(戦闘、塹壕、兵器、毒ガスなど) | オンライン視聴可(一部)、DVD/Blu-ray販売、来館要 | 55 |
研究出版物・論文 | 大学図書館<br>研究機関ウェブサイト<br>出版社 | 第一次世界大戦に関する学術論文集、各国の研究動向分析 | 書籍購入、大学図書館利用、オンライン閲覧可(一部) | 20 |
日本赤十字社関連記録 | 日本赤十字社ウェブミュージアム | 救護活動の歴史、病院船派遣、救護班の活動記録、写真資料 | オンライン閲覧可 | 6 |
この表は、ユーザーが具体的な記録を探す際の効率的なガイドラインを提供する。多数の機関が様々な種類の記録を所蔵している中で、この一覧は読者が自身の研究目的に合った資料を迅速に特定する助けとなる。
第一次世界大戦に従軍した日本人に関する注目すべき個人記録の例を以下に示す。
表3:第一次世界大戦に従軍した日本人に関する注目すべき個人記録の例
個人名 | 記録の種類 | 記録のタイトル | 内容の概要 | 現在の主な保管場所/閲覧方法 | 参照資料 |
黒島伝治 | 日記 | 『軍隊日記』 | シベリア出兵時の看護兵としての体験、反戦思想の形成。 | 小豆郡内海町立図書館「黒島伝治文庫コーナー」<br>電子書籍版も存在 | 4 |
諸岡幸麿 | 回想録 | 『アラス戦線へ』 | カナダ軍に入隊し、第一次世界大戦の西部戦線(フランス北部)で戦った日系人義勇兵の体験。 | 国立国会図書館デジタルコレクション(オンライン閲覧可)<br>全国の公共図書館で所蔵 | 11 |
浅沼稲次郎 | ノート | (タイトルなし) | 大正期の政治家・経済学者の思想、自己研鑽の記録、当時の社会状況への言及。 | 国立国会図書館(来館閲覧要) | 29 |
この表は、抽象的な「個人記録」の概念を、具体的な事例を通じて読者に示し、その多様性と深さを理解させる。これにより、研究者は自身の興味関心に合致する具体的な資料にアプローチしやすくなり、また、一般の読者にとっても、戦争の歴史が単なる統計や戦略だけでなく、個々の人間の生きた証によって構成されているという認識を深めることができる。
IV. 記録から読み解く従軍者の体験と戦後への影響
第一次世界大戦に従軍した日本人の記録は、戦場の過酷な現実だけでなく、個人の内面や戦後の人生に深く刻まれた影響を明らかにする。これらの記録は、戦争の「見えない傷跡」を浮き彫りにし、歴史の多層性を理解する上で不可欠な情報を提供する。
戦場での生活と心理的側面
戦争は、兵士や関係者の肉体だけでなく、精神にも深刻な影響を与えた。日本に収容されたドイツ兵捕虜の記録からは、彼らが国際法を遵守した扱いを受けたにもかかわらず、収容所での無為な日々や閉所恐怖症から「有刺鉄線病」と呼ばれる精神障害に悩まされたことが明らかになっている 13。これは、戦争が物理的な損傷だけでなく、精神的な苦痛ももたらすことを明確に示している。
また、シベリア出兵に看護兵として従軍した作家の黒島伝治は、その経験を通じて反戦文学を執筆した 4。彼の作品は、戦場の現実が個人の思想や創作活動に大きな影響を与え、戦争の不条理や人間の尊厳について深く考察するきっかけとなったことを示唆している。個人の体験が文学作品として昇華されることで、公式の歴史記録には表れない、より深い人間的な感情や思想が後世に伝えられることとなる。
医療活動の実態と課題
第一次世界大戦における日本の医療活動は、日本赤十字社が中心となって展開された。日本赤十字社は、大戦中に病院船2隻と救護班を派遣し、ロシア、フランス、英国といった連合国側にも救護班を送り、傷病者の治療に当たった 6。特に、パリに設置された病院では、重傷患者の手術が間断なく行われ、週に1回家族に病状を知らせるなど、患者への配慮も行われた記録がある 7。これは、国際的な人道支援活動における日本の役割を示すものである。
しかし、当時の医療環境には課題も存在した。日清戦争や日露戦争では、日赤看護婦が戦地ではなく内地勤務で伝染病により殉職した例があり 8、これは当時の医療環境における感染症のリスクが非常に高かったことを浮き彫りにしている。戦場での医療活動は、戦闘による負傷だけでなく、感染症との闘いでもあったことが伺える。
戦後の社会復帰と長期的な影響
戦争は、終結後も個人の人生に長期にわたり深い影を落とした。第一次世界大戦中に捕虜となり復員した日本兵の中には、故郷での厳しい生活、貧困、マラリア後遺症、アルコール依存症に苦しみ、周囲から「戦争ぼけ」と揶揄されるなど、戦後の社会に適合できなかったケースがあった 15。これらの事実は、戦争が物理的な負傷だけでなく、精神的な健康に長期的な影響を与えることを明確に示している。これは、戦争の「人的被害」を語る際に、死傷者数だけでなく、PTSDや社会適応障害といった「見えない傷跡」も考慮すべきであることを意味する。
また、軍隊生活の経験が、その後の個人の価値観や行動に大きな影響を与えたことは、黒島伝治がシベリア出兵の経験から反戦文学を執筆した例からも見て取れる 4。個人の体験が文学作品として昇華されることで、公式の歴史記録には表れない、より深い人間的な感情や思想が後世に伝えられる。これは、歴史研究において、公的な記録と個人の記録を組み合わせることで、より多角的で豊かな歴史像を構築できるという重要性を示唆している。
V. 第一次世界大戦関連記録の調査・活用に関する推奨事項
第一次世界大戦に従軍した日本人の記録を調査・活用するためには、多様な資料の所在とアクセス方法を理解し、効果的な研究戦略を立てることが重要である。デジタル化の進展は研究の機会を拡大しているが、同時に新たな課題も生じている。
各資料館・アーカイブの利用方法とアクセス手段
第一次世界大戦関連の記録は、主に以下の機関に所蔵されており、それぞれ異なる利用方法とアクセス手段が提供されている。
- 国立公文書館およびアジア歴史資料センター: 日本政府の中央公文書館として、明治、大正、昭和期の公文書を所蔵している 16。アジア歴史資料センターは、これらの資料の一部をデジタルアーカイブとしてインターネット上で提供しており、自宅などから検索・閲覧が可能である 3。しかし、全ての資料がデジタル化されているわけではなく、来館して閲覧が必要なものも多い。
- 国立国会図書館: 膨大な蔵書を有し、デジタルコレクションを通じて、明治から昭和前期に刊行された写真集、近代日本人の肖像写真、当時の書籍などをオンラインで閲覧できる 29。来館すれば、館内限定のデジタル資料や未デジタル化の資料も閲覧可能である 29。個人情報保護の観点から閲覧や複写に制限がある資料も存在する 80。
- 防衛省防衛研究所: 軍事史に関する専門機関であり、第一次世界大戦に関する研究論文や戦史資料を所蔵している 20。一部の論文はウェブサイトで公開されており、オンラインでアクセス可能である。
- 外務省外交史料館: 外交記録や、終戦時の降伏文書などの公文書を所蔵しており、特定の期間には原本の特別展示を行うこともある 23。外交史料の閲覧には、来館しての手続きが必要となる。
- 昭和館: 昭和期の国民生活の労苦に関する実物資料、記録映像、図書などを展示している 44。第一次世界大戦に直接特化した展示は少ないが、当時の社会状況を理解する上で参考となる資料が見つかる可能性がある。
- 平和祈念展示資料館: 兵士、戦後強制抑留者、海外からの引揚者の労苦に関する資料を展示しており、写真やグラフィック資料も含まれる 47。第一次世界大戦に特化した展示は限定的である可能性がある。
- 遊就館: 靖国神社境内に併設され、幕末維新から大東亜戦争に至る戦没者や軍事関係の資料、遺品、遺書などを収蔵・展示している 38。第一次世界大戦に関する英霊の遺品や史資料も含まれている。
- 日本赤十字社: 赤十字WEBミュージアムでは、第一次世界大戦を含む救護活動の歴史や写真資料が公開されており、オンラインでアクセス可能である 6。
デジタルアーカイブの活用とオンラインデータベースの探索
近年、多くの機関が資料のデジタルアーカイブ化を進めており、これは研究のアクセシビリティを飛躍的に向上させている。
- デジタルアーカイブの利点: デジタルアーカイブ化された資料は、地理的・時間的制約を超えて研究者が資料にアクセスできる機会を大幅に拡大させ、研究の効率性と網羅性を高める 29。これにより、自宅などから手軽に資料にアクセスできるため、研究の初期段階での資料探索の手間を大幅に削減し、より深い分析に時間を割けるようになる。
- オンラインデータベースの活用: Fold3のような軍事記録のオンラインデータベースも存在し、軍隊に勤めた人々の物語、写真、個人的な文書などを検索できる 71。これらのデータベースは、特定の個人やテーマに関する情報を効率的に収集する上で非常に有効である。
- 留意点: しかし、デジタル化された資料であっても、個人情報保護の観点から閲覧や複写に制限がある場合がある 51。また、膨大な資料の中にはまだデジタル化されていないものも多く存在するため、オンライン情報だけで全てを網羅することはできない。デジタル化は研究を容易にする一方で、新たな倫理的・実務的課題も生み出すという複雑な側面を持つ。
関連研究機関や専門家へのアプローチと協力の可能性
第一次世界大戦に関する研究を深めるためには、既存の研究成果を把握し、専門家との連携も視野に入れることが推奨される。
- 学術出版物の活用: 東京大学から出版された第一次世界大戦を主題とする日本で最初の論文集や 63、錦正社から出版された『第一次世界大戦と民間人』 64、防衛省防衛研究所の国際共同研究シリーズ 20 など、関連する学術出版物や論文を積極的に参照すべきである。これらの学術書は、先行研究や最新の学問動向の紹介、出典や原語が記されているため、さらに深く知るための手がかりとなる 64。
- 専門家との連携: 各資料館や研究機関は、それぞれの専門分野を持つ研究者や学芸員が在籍している。彼らとの情報交換や協力は、特定のテーマに関する深い知見を得る上で非常に有益である。
VI. 結論:第一次世界大戦の記録が持つ意義と今後の展望
第一次世界大戦に従軍した日本人の記録は、日本の近代史における重要な一時期を理解するための不可欠な資料である。これらの記録は、国家の戦略や軍事行動といった巨視的な側面だけでなく、戦争が個人の人生や社会に与えた多岐にわたる影響を浮き彫りにする。
歴史的記録の保存と継承の重要性
公的機関による公式記録の保存に加え、個人が残した日記や手記、写真、映像資料は、歴史の多層性を理解し、公式の記述だけでは捉えきれない人間的な側面を補完する貴重な情報源である。例えば、シベリア出兵の公式記録が兵力や戦費を記す一方で、黒島伝治の『軍隊日記』は看護兵としての個人の体験や反戦思想を伝える。これらの異なる種類の記録を相互に参照することで、戦争の全体像をより多角的かつ深く理解できる。これらの記録を保存し、次世代に継承することは、過去の教訓を学び、平和を考える上で極めて重要である。
未解明な側面と今後の研究課題
第一次世界大戦に関する日本の記録は多岐にわたるものの、依然として「空白」の部分が存在する。例えば、個々の兵士の具体的な戦闘体験や、シベリア出兵における詳細な日常、あるいは軍属や民間人が直面した具体的な困難など、公式記録では捉えきれない微細な「声」は、まだ十分に発掘・分析されていない。これは、公式記録が国家レベルの戦略や統計に重点を置き、個人の微細な体験や非戦闘員の役割が十分に記録されなかった可能性を示唆している。また、個人記録も残されたものの一部に過ぎない。
この「空白」を埋めるためには、既存の資料をより深く読み解くことはもちろん、未発見の個人記録(日記、手紙など)の発掘、口述歴史の収集、そして異分野(心理学、社会学など)との連携による多角的な分析が不可欠である。特に、戦争が個人の精神的健康に与えた長期的な影響に関する研究は、現代の紛争におけるトラウマケアにも繋がる重要なテーマである。
デジタルアーカイブの発展は、新たな資料の発掘や、既存資料の新たな分析を可能にする一方で、デジタル化されていない資料の収集と保存、そしてそれらの相互運用性の確保が今後の課題となる。デジタル化は研究を容易にする一方で、新たな倫理的・実務的課題も生み出すという複雑な側面を持つ。
これらの課題に取り組むことで、戦争の全体像がより豊かになり、過去の教訓を未来に活かすための新たな視点が得られるであろう。歴史研究は、単なる過去の出来事の記述に留まらず、現在そして未来への問いかけを続ける営みである。
🏃♀️#きょうのあんぱん🖌
— 朝ドラ「あんぱん」公式 (@asadora_nhk) June 1, 2025
石窯の中に、草吉が残した乾パンのレシピがありました。
草吉の思いに応えたい羽多子・メイコ…そして、反対していた蘭子も「家族が生きるため」と乾パン作りを決意します。#江口のりこ #河合優実 #原菜乃華#朝ドラあんぱん 見逃し配信中📱https://t.co/KLlvAoWGyl pic.twitter.com/9Oz3ZzDlKc
前回までのあんぱん
さよならヤムおんちゃん🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第9週「絶望の隣は希望」(45)
軍用食としての乾パン🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第9週「絶望の隣は希望」(44)
波うららかに、めおと日和🚢【連続テレビ小説】あんぱん 第9週「絶望の隣は希望」(43)
寛さんに献杯🍶【連続テレビ小説】あんぱん 第9週「絶望の隣は希望」(42)
寛さんロスは地域医療ロス😢【連続テレビ小説】あんぱん 第9週「絶望の隣は希望」(41)
嵩また出遅れる💛【連続テレビ小説】あんぱん 第8週「めぐりあい わかれゆく」(40)
当時のカメラはどんなもの?📷【連続テレビ小説】あんぱん 第8週「めぐりあい わかれゆく」(39)
豪は犬死にだったのか?【連続テレビ小説】あんぱん 第8週「めぐりあい わかれゆく」(38)
戦争は敵であれ見方であれ誰かが必ず死ぬ😢【連続テレビ小説】あんぱん 第8週「めぐりあい わかれゆく」(37)
当時の女性の平均初婚年齢は 24.4歳【連続テレビ小説】あんぱん 第8週「めぐりあい わかれゆく」(36)
最後までぶれませんでしたね、覚悟はできていますか?🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第7週「海と涙と私と」(35)
のらくろは可哀そうばい🐶【連続テレビ小説】あんぱん 第7週「海と涙と私と」(34)
だから言わんこっちゃない👝【連続テレビ小説】あんぱん 第7週「海と涙と私と」(33)
実は嵩もいい歌を歌うんですよ!🌴【連続テレビ小説】あんぱん 第7週「海と涙と私と」(32)
やられた~、そういうことか!👗【連続テレビ小説】あんぱん 第7週「海と涙と私と」(31)
俄愛国娘🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第6週「くるしむのか愛するのか」(30)
遂にプロポーズ、なんでもっと早く言わないかなあ💛【連続テレビ小説】あんぱん 第6週「くるしむのか愛するのか」(29)
美村屋のあんぱんの秘密、蘭子と豪の未来🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第6週「くるしむのか愛するのか」(28)
暗黒時代の始まりワッサワッサワッサリンノ😢【連続テレビ小説】あんぱん 第6週「くるしむのか愛するのか」(27)
補欠合格、その手があったか!🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第6週「くるしむのか愛するのか」(26)
嵩はほんとに大丈夫なんだろうか【連続テレビ小説】あんぱん 第5週「人生は喜ばせごっこ」(25)
ゼロワンキターーーーーー!🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第5週「人生は喜ばせごっこ」(24)
早まるな蘭子!🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第5週「人生は喜ばせごっこ」(23)
のぶだけはわかっていた!🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第5週「人生は喜ばせごっこ」(22)
意外にいい制服🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第5週「人生は喜ばせごっこ」(21)
なにもしなくても生きなければいけない🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第4週「なにをして生きるのか」(20)
のぶ合格おめでとう!高知女子師範学校🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第4週「なにをして生きるのか」(19)
人生に目標がなくても生きていかなければいかない🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第4週「なにをして生きるのか」(18)
頭を冷やせ、嵩【連続テレビ小説】あんぱん 第4週「なにをして生きるのか」(17)
丁は落第、たまるか~!😢【連続テレビ小説】あんぱん 第4週「なにをして生きるのか」(16)
のぶは正しい!誰かが言わなきゃいけない!🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第3週「なんのために生まれて」(15)
何事もなかったように現れたって!?🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第3週「なんのために生まれて」(14)
ラジオは大卒初任給くらいの価値、岩男はジョージ・狩崎📻【連続テレビ小説】あんぱん 第3週「なんのために生まれて」(13)
1等は朝田のぶ🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第3週「なんのために生まれて」(12)
アンパンマンのマーチ最高!、そして仮面ライダー最光!降臨🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第3週「なんのために生まれて」(11)
羽多子さんは嵩を探しに出たんだね【連続テレビ小説】あんぱん 第2週「フシアワセさん今日は」(10)
なぜあんぱんが売れないのか?🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第2週「フシアワセさん今日は」(9)
朝田家のあんぱんは1個2銭🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第2週「フシアワセさん今日は」(8)
一家7人食べていくのにいくら必要なのか?💰【連続テレビ小説】あんぱん 第2週「フシアワセさん今日は」(7)
あんぱん1個10銭は高いのか?💰【連続テレビ小説】あんぱん 第2週「フシアワセさん今日は」(6)
のぶは正しい👹【連続テレビ小説】あんぱん 第1週「人間なんてさみしいね」(4)
「こじゃんと」は「たくさん」という意味🍞【連続テレビ小説】あんぱん 第1週「人間なんてさみしいね」(3)
ヤムおんちゃんって美味しいおじさんだから合っている🥖【連続テレビ小説】あんぱん 第1週「人間なんてさみしいね」(2)
ハチキンおのぶ参上!【連続テレビ小説】あんぱん [新] 第1週「人間なんてさみしいね」(1)
このツーショットは本編では観られない!🥖午後LIVEニュースーン4時台 朝ドラ「あんぱん」スタート 今田美桜さん生出演